各自治体では地震や津波、台風、集中豪雨などので被害が起きやすい場所を記載したハザードマップや、非常時の避難場所などを記載した防災地図を作成・配布しています。はじめての土地に引っ越したら、いざという時に備えて、これらの地図で自宅周辺の災害リスクや避難場所を把握しておきましょう。地図で見るだけでなく、一度自分の足で実際に避難経路を歩いてみるのがおすすめです。
防災対策に役立つ「ハザードマップ」って何?
ハザードマップとは、各自治体ごとに、大雨による水害や河川の洪水、土砂災害、津波などの危険のある地域を示した地図のことです。
たとえば水害ハザードマップであれば、大雨によって河川が増水した際の浸水予測に基づき、浸水する範囲と程度を示しています。これを見れば、自分が住んでいる場所や通勤・通学経路の災害リスクを把握することができます。
自治体によっては、このハザードマップとは別に、避難所や緊急避難場所、備蓄倉庫、貯水槽などの防災施設や、災害時に設けられる妊産婦・乳児救護所や帰宅困難者一時滞在施設、帰宅支援対象道路を記載した防災地図を作成・配布しているところもあります。
災害で自宅が危険になった場合は、まずは食料などの物資の備蓄がある避難所(小中学校など)に避難します。その後、火災の延焼などで避難所が危険になった場合は、公園などの緊急避難場所へと避難することになります。
ハザードマップを見たことがない人が過半数
このハザードマップはまだ浸透度が低く、一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワークが2019年1月に行った調査によると、ハザードマップを「知らない」「見たことがない」人は全体の過半数に当たる50.8%に上る一方、「見たことがあり、周辺の災害リスクを理解している」人は17.7%にとどまっています。特に年齢が若いほど認知や理解が進んでおらず、20代で内容を理解している人はわずか7%となっています。
家探しの前にハザードマップの確認を
知らない土地に引っ越す場合、できれば家探しをする際に自治体のハザードマップを参照して、危険地区はなるべく避けるようにしましょう。
引っ越した後であってもハザードマップは防災に役立てることができます。いざという時になって慌てないよう、日頃からハザードマップで地域の災害リスクや非常時の避難経路などを確認しておきましょう。
ハザードマップはオンラインでも提供されており、スマートフォンに登録しておくこともおすすめですが、通信回線が止まったり、電池切れでスマホが使えなくなった時のために、紙の地図を非常時に持ち出す防災用リュックの中に常備しておくと安心です。ハザードマップや防災地図は、市区町村役所・役場や図書館などでも配布していますので、確認してみましょう。
ハザードマップポータルサイト
何を見れば良いのかわからないという方は、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」を確認しましょう。「わがまちハザードマップ」から、エリアを指定すると、洪水ハザードマップや、土砂災害ハザードマップなど、その地域で公開されているハザードマップを確認することができます。
「防災ピクニック」をやってみよう
ハザードマップや防災地図で危険箇所や避難場所を確認したら、避難所や家族で取り決めた集合場所までの避難経路を実際に歩いてみることをお勧めします。自宅から避難場所までどのぐらいの時間がかかるかや、道筋の途中に歩きにくい場所はないかといった情報は、地図を見るだけではなかなか分かりません。
東日本大震災の発生以降は、非常時に備えて家に防災用リュックや非常食を用意している方も多いと思いますが、これらを実際に背負って避難場所まで歩いてみることで、持ち運びに耐えられる重さかどうかが実感できます。非常食の試食も兼ねて、家族で「防災ピクニック」をしておきましょう。