マンションなど共同住宅での騒音トラブルは、逃げ場がないだけに深刻です。リフォーム工事や赤ん坊の泣き声、掃除機の音や足音など、他の住戸からのさまざまな生活音に悩まされることがありますが、逆に自分では気づかないうちに周囲に迷惑をかけていることもあるので気をつけましょう。
最も気になる生活音は子ども関連
マンションの暮らしに関する情報を発信しているマンション・ラボが2014年に行った行ったアンケート調査によると、気になるよそからの生活音として最も回答が多かったのは、「子どもが走る音」(32.2%)。2位も「子どもの騒ぎ声・泣き声」(20.2%)で、子どもが発する騒音が他人に迷惑をかけている実態がわかりました。
子どもは泣いたり騒いだりするもの…とわかっていても、毎日のこととなると「どうにか静かにしてほしい」と、騒音に悩む気持ちもわかります。
◎他所からの音「特に気になっている生活音」
1位 | 子どもが走る音 | 32.2% |
2位 | 子どもの騒ぎ声・泣き声 | 20.2% |
3位 | 物を落とす音 | 16.6% |
4位 | ペットの鳴き声 | 11.1% |
5位 | 掃除機をかける音 | 9.9% |
6位 | 共用廊下等での井戸端会議 | 8.5% |
7位 | 玄関ドアの開け閉め | 7.3% |
8位 | 楽器の演奏音 | 7.3% |
9位 | 洗濯機を使用する音 | 6.6% |
10位 | バルコニーでの会話 | 6.3% |
以下、3位「物を落とす音」(16.6%)、4位「ペットの鳴き声」(11.1%)、5位「掃除機をかける音」(9.9%)、6位「共用廊下等での井戸端会議」(8.5%)、7位「玄関ドアの開け閉め」(7.3%)、8位「楽器の演奏音」(7.3%)、9位「洗濯機を使用する音」(6.6%)、10位「バルコニーでの会話」(6.3%)と続いています。
◎自分自身が「迷惑をかけているのでは?」心配する生活音
1位 | 子どもが走る音 | 16.4% |
2位 | 物を落とす音 | 16.3% |
3位 | 洗濯機を使用する音 | 13.9% |
4位 | 掃除機をかける音 | 12.0% |
5位 | 子どもの騒ぎ声・泣き声 | 11.5% |
6位 | テレビの音/ステレオの音 | 9.2% |
7位 | ペットの鳴き声 | 6.2% |
8位 | 楽器の演奏音 | 5.6% |
9位 | 玄関ドアの開け閉め | 4.8% |
10位 | アラーム/目覚ましの音 | 3.4% |
出典:「迷惑を掛けているのでは?」と心配する生活音TOP10(マンションラボ)
自分自身が「迷惑をかけているのでは?」と心配している生活音についても、1位は「子どもが走る音」(16.4%)でした。
以下、2位「物を落とす音」(16.3%)、3位「洗濯機を使用する音」(13.9%)、4位「掃除機をかける音」(12.0%)、5位「子どもの騒ぎ声・泣き声」(11.5%)、6位「テレビの音/ステレオの音」(9.2%)、7位「ペットの鳴き声」(6.2%)、8位「楽器の演奏音」(5.6%)、9位「玄関ドアの開け閉め」(4.8%)、10位「アラーム/目覚ましの音」(3.4%)の順です。
いずれも「子どもが走る音」がワースト1となっているほか、「子どもの騒ぎ声・泣き声」がワースト5以内に入っている点も共通しており、迷惑をかける側、かけられる側の双方とも、子どもが立てる騒音や声を最も問題視する認識では一致しています。
このほか、「物を落とす音」「ペットの鳴き声」「掃除機をかける音」「玄関ドアの開け閉め」「楽器の演奏音」「洗濯機を使用する音」についても両方の調査でワースト10に入っています。
その一方で「共用廊下等での井戸端会議」や「バルコニーでの会話」については、気になるよそからの生活音の中で上位に入っているのに対し、自分が迷惑をかけているのではと心配する生活音ではワースト10圏外に入っているのが目を引きます。
また、「テレビの音/ステレオの音」や「アラーム/目覚ましの音」については、自分が気にするほどよそには響いていないことも分かります。
生活音で他人に迷惑をかけないための心得
以上のような調査結果も踏まえ、自分の生活音で他人に迷惑をかけないよう注意すべき点をチェックしていきましょう。
下の階に響く衝撃音はとくに注意
【注意すべき音の一例】
- 歩くときの足音、スリッパの音
- 掃除機の音
- 物を落とす音
- 子どもやペットの飛び跳ねる音
最近の集合住宅は窓に防音性の高い二重ガラスを採用しているところも多く、外からの騒音をめぐるトラブルは、ひと昔前に比べて減っています。問題なのは、同じマンション内の上下階や隣室からの生活音、とくに足音や掃除機をかける音など、上階から響いてくる音です。
上階から伝わってくる音には、スリッパで歩く際に発生するパタパタという音や、スプーンを落としたときのチャリーンという音などの「軽量床衝撃音」と、子どもが跳びはねたときのドンドンという音などの「重量床衝撃音」があります。
◎下の階に響く音を軽減させる方法
軽量床衝撃音であれば、床にカーペットを敷いたり、ホームセンターに売っているコルクなどでできたクッション材を敷き詰めたりすれば、それだけでかなり軽減することができます。
これに対し、重量床衝撃音に対する防音性は建物の剛性などに左右されるので、カーペットや吸音材では対処できません。子どもが床で飛び跳ねたりしないよう注意するとともに、自分自身もラジオ体操やダンスの練習、縄跳びなどは屋上や外で行うようにしましょう。
窓を開けたまま話し声を立てない
人の声は空気を伝わってくる音なので、防音性の高い最近のマンションであれば、窓を閉めるだけでかなりの程度カットすることができます。
ただ、季候が良くなる春や秋などの季節には、窓を開け放つことが多くなり、そうなると途端に隣室に話し声が響くようになります。窓を開けたまま大声で会話や夫婦げんかをしたりすると近所迷惑なだけでなく、プライバシー情報も筒抜けになってしまうので気をつけましょう。
赤ちゃんのいる家庭では、泣き声が近所の人の安眠妨害にならないよう、ベビーベッドはできるだけ窓から離れた位置に設置するとともに、換気の際を除いて窓は閉めておくようにしましょう。
そのほか、乱暴に窓を開け閉めすると、その音自体がうるさくて近所迷惑なので気をつけましょう。
深夜の入浴は控える
生活リズムの問題で、帰宅が深夜になる場合など、深夜の入浴を控えるのは難しいかもしれませんが、浴室からの音も伝わりやすいものです。浴室の床や壁は音が響きやすい材質である上、排水管を通じて上下階に音が伝わってしまうのが原因です。
バスマットを敷けば騒音は軽減できますが、カビの原因にもなります。排水管については防音材でくるむなどの対策も考えられますが、排水管は共用部に当たるため、勝手にいじれない場合もあります。
浴室からの騒音のトラブルを防ぐため、できるだけマンションでは深夜の入浴を控えましょう。