今回は、お金のない人ができるだけ費用をかけずに引っ越す方法について解説します。これから引っ越す人、引っ越しをしたいけれど予算の関係で躊躇している人は参考にしてみてください。
「訳あり物件」やURの「特別募集住宅」を探す
居住者が相次いで不審死を遂げたり、殺人事件や自殺の現場になったりしたような物件は「事故物件」「訳あり物件」などと呼ばれています。
「いきなり訳あり物件!?」と思うかもしれませんが、こうした部屋はなかなか借り手が付かないため、家賃も安くなります。
住宅の構造や設備に欠陥があることを「物理的瑕疵(かし)」と呼ぶのに対し、こうした事故物件の場合は「心理的瑕疵」があるとされ、宅地建物取引業法の重要事項説明で借り主にその旨の告知をしなかった場合は、貸主に損害賠償責任が発生する恐れがあります。
ただ、事件があってからどれぐらいの期間、その住宅が「事故物件」であり続けるかや、事件性のない孤独死などが対象に含まれるかについては明確な定めがありません。
それでも、前の居住者が室内で殺されたり自殺したりして空き家になった部屋であれば、事故物件であることを告知された上で、家賃は大幅に安くなることでしょう。「そんなの気にならない!」という方は選択肢の一つとしては有効です。
大阪府では孤独死の発生住宅を家賃半額で提供
大阪府住宅供給公社では、孤独死等が発生した住宅を「特定募集住宅」として入居者募集しており、最大2年間、家賃が半額になる とのことです。もっとも、実際に募集している物件を見ると、家賃半額期間は1年間であるところが多いようです。腐乱死体が長期間放置されていた場合、床が変色したり部屋に異臭が染みついたりしていることがありますが、同公社では「ご入居までに修繕を行いますので、住宅のご使用にあたっては他の住戸と変わりません」としています。申し込み前の見学も可能です。
UR賃貸でも物件内での死亡住宅を家賃半額に
UR都市機構でも、居住者が物件内で死亡した住宅を「特別募集住宅」として1年間または2年間、家賃を半額に割り引いています。
URのサイトを見ると、全国各地にかなりの数の「特別募集住宅」が掲載されているので、霊の存在を信じない、地縛霊なんか怖くないという人は、探してみると安くて好条件の物件に巡り会えるかもしれません。
友人の家に居候する
初期費用をかけずに引っ越すには、友人の家に居候として転がり込むという手段もあります。
ただ、居候期間が長期に及ぶ場合、部屋の借り主の友情だけに期待するのは得策ではありません。借り主に自分を居候させるメリットがあると認識させることが重要になります。
家賃の一部を負担するとか、お金がなければ掃除、洗濯、食器洗いなど労働で奉仕するとかいったことです。家賃を折半するとなればルームシェアと同じことになります。
何よりも大事なのは、居候することによって部屋の借り主の生活リズムを乱さないよう注意することです。
そもそも賃貸借契約上、一人暮らし限定となっていて同居人を認めない場合もあるので、この点にも気をつけましょう。へたをすると契約違反となって借り主が部屋を追い出される恐れもあります。
大切な友人を失う羽目にならないように十分気をつけてください。
シェアハウスに入る
最近流行のシェアハウスは、礼金や仲介手数料が不要な上、専有部が狭い代わりに家賃も比較的安く、共用部にはテレビやソファ、洗濯機など、生活に必要な家具や家電が備え付けられているところも多いので、初期費用を抑えられます。
ただ、 シェアハウスは契約更新のない定期借家契約となっているのが一般的で、契約期間も数カ月から長くても1年以内というところが多いようです 。このため長期間住み続けるにはあまり向いていません。
また、入居申し込みの際には、家賃が支払えるかどうかの所得面だけでなく、他の住人とうまくやっていけるコミュニケーション能力を備えているかについても審査されます。共同生活を送る上で、騒音や掃除当番などをめぐるトラブルが起きやすいことにも注意しましょう。
敷金・礼金ゼロやフリーレント付き物件を探す
初期費用を安く抑えるには、敷金・礼金ゼロの物件や、一定期間家賃が無料になるフリーレント付きの物件を探す手もあります。
ただ、フリーレント付きの場合、契約期間中の中途解約には高額の違約金を課す特約が付いているのが一般的なので、住んでみて気に入らないからと言って退去した場合、かえって割高になってしまいます。
そもそも設定された家賃では借り手が付かなかった割高な物件であることも多いので、契約期間が満了したら更新せずに退去するつもりで住むとよいでしょう。
独身寮や社宅に入る
会社に就職する場合は、勤務時間外も上司や同僚と顔を合わせるのが苦痛でなければ、独身寮や社宅に入るという手もあります。公務員であれば官舎が整備されていますが、民間企業でも社宅や社員寮を用意しているところがあります。
社宅には入れなくても、賃貸住宅に住む場合は家賃補助が出る企業もあります。就職先を決める上では、こうした福利厚生がどの程度充実しているかも考慮しましょう。
まとめ
初期費用を安く抑える方法をご紹介しました。「これならいいかも!」と思える方法はありましたか?
初期費用は、安いに越したことはありませんが、そのために気に入らない物件に入居する羽目になっては元も子もありません。じっくり検討して後悔しないようにしましょう。