女性が進学や就職で家族から離れて新しく一人暮らしを始める場合、あるいは一人暮らしの女性が新居に引っ越した場合、近隣への挨拶まわりをすべきかどうかは悩ましいところです。女性ひとりで住んでいることは知られたくない。でも、挨拶するのがルールなら、挨拶しないで近所から正体不明の人物とみられるのも何となく居心地悪い。どうすればいいのでしょうか?
引越し先でのご近所への挨拶は「しない派」も増えている
かつては引っ越しの際は近隣へ挨拶まわりをするのが常識とされていました。でも最近は、とくに単身者用の賃貸マンションやアパートなどでは挨拶まわりをしない人も増えています。
2013年に賃貸サイト・キャリルーノが賃貸アパート・マンションで一人暮らしをしている20~29歳の男女に行ったアンケート調査では、引っ越してきた際、近所に挨拶に行ったと回答したのは33.0%と、3分の1に留まっています。
挨拶まわりするかどうかは住宅種別や地域環境などによっても変化
挨拶まわりが必要かどうかは、集合住宅の形態や地域環境などによっても事情が変わってきます。ワンルームマンションなどの単身世帯が多いところでは、住人同士の関係が希薄なところが多く、とくに挨拶まわりをしなくても不都合はなさそうです。
逆にファミリー向けの分譲マンションや、分譲住宅の一部住戸を賃貸として借りているような場合は、比較的近所づきあいが活発なことが多く、正体不明の入居者を嫌がる傾向があるので、挨拶まわりをして隣近所の人々に礼儀正しい人という好印象を与え、緊密な関係を築いておく方が賢明でしょう。
大都市でも町内会・自治会が活発なエリアも
都会では田舎に比べて人間関係がドライだとよく言われますが、大都市でも町内会・自治会の組織率が高く、地域住民同士の交流が活発なところもあります。住民同士の絆の強さは、裏返せば新参者やよそ者に対する排他性にもつながります。そのような地域環境の場合は、できる限り近隣との関係を深めておく方が良さそうです。
自分の住戸の周囲にどんな人が住んでいるか、どの程度の近所づきあいがあるかといった状況については、管理人や大家さんに聞けば教えてもらえる可能性があります。そうした情報収集のためにも、管理人や大家さんへの引っ越し時の挨拶は欠かさないようにしましょう。
引っ越し時の挨拶まわりメリット、デメリット
引っ越し時の挨拶まわりをすることのメリットは、隣近所同士で互いにどんな人が住んでいるかを把握でき、顔の見える関係を築くきっかけになるということです。集合住宅には、とかく騒音やごみ出しなどをめぐるトラブルがつきもの。
さらに一人暮らしの賃借人は管理規約やマナーを守らないといった偏見を持たれがちです。よくワンルームマンション建設反対の住民運動が起こるのもそのためです。
万が一、自分がなにかトラブルを起こしてしまった場合に、顔見知りであるかどうかで相手の対応も違ってきます。また、強盗やストーカーに襲われたり、火災や大地震に遭遇したりといった緊急時に、隣の住人が顔見知りであれば、すぐに助けを求めることができるという安心感にもつながります。
一方で、一人暮らしの女性の場合、引っ越しの際に挨拶まわりをすることによって、あそこは女性の一人暮らしだという情報が不特定多数の人に知れ渡ってしまう恐れがあるというセキュリティー上のデメリットもあります。
女性の一人暮らしでは引っ越しの挨拶をしないという選択もアリ
最近の傾向を踏まえれば、ワンルームマンションなど単身世帯の多い集合住宅では、引っ越しの際に挨拶まわりをしなかったからといって、非常識と思われたり変わり者扱いされたりすることはなくなっています。廊下ですれ違った際などに挨拶する程度で十分でしょう。
挨拶まわりをするにしても、わざわざ自分が女性の一人暮らしであることまで知らせる必要はありません。引っ越しの時に手伝いに来てくれた両親や家族などを伴って、挨拶まわりをするのもよいでしょう。
挨拶をする場合はどこまで?
挨拶まわりの範囲は、集合住宅であれば、騒音や排水などで互いに迷惑をかけやすい両隣と上下の住戸に行っておけば十分でしょう。手土産としてはタオルセットなどが安くてお勧めです。食べ物は初対面の相手から受け取るのを嫌がる人もいるので、手作りのクッキーなどは避けた方が無難です。