防災グッズや備蓄対応は50%以下。安全対策見直しのススメ

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防災グッズや備蓄対応の安全対策見直し

いざという時の災害対策の準備はできていますか? 引っ越しのタイミングで見直すのも一つの方法ですが、そういった予定がない方も、避難所の位置や避難経路を確認しておくだけでなく、非常用食料や防災グッズについても再点検しておきましょう。ご近所の人たちとは、いざという時に助け合えるような近隣関係も築いておけると安心です。

防災グッズや災害備蓄をしている人は半数以下

2011年の東日本大震災以降は防災グッズが注目を集めるようになり、防災用リュックや非常用持ち出し袋といった商品も市販されています。いざという時に備えて、防災用リュックを常備したり、食料の備蓄をしている方も増えたのではないでしょうか。

しかし、フィールド・クラウドソーシング事業を展開するソフトブレーン・フィールドが2019年1月に行った調査によると、防災グッズを備蓄・保管している人は全体の48.8%と、まだ半数以下というのが実情のようです。


出典:防災への備えに関する意識調査(ソフトブレーン・フィールド)

防災リュックは、持ち運べる重さ?

防災リュックに必要なものは入れたから安心!と思っている方、ご自分で背負ってみたことありますか? 非常用の持ち出し品を防災用リュックにあれもこれもと詰め込みすぎると、重くなって避難先までの持ち運びに耐えられなくなることもあるので要注意です。

防災リュックの中身は1日分を目安に

たとえば、人間が1日に必要な水の量は2リットルと言われます。500ミリリットルのペットボトル4本をリュックに入れれば、リュックに入りはするでしょうが、水1リットルが1キロなので、それだけで2キロになります。かなりの重さです。

そこで、防災用リュックに入れる物は、避難先までのその日1日をサバイバルできる程度に絞り込み、翌日以降に必要となりそうな物は二次持ち出し用の別の袋に入れて保管しておきましょう。自治体が指定する各地域ごとの避難所(小中学校など)には、非常食などの災害用備蓄があります。

一度、避難所までの経路をリュックを実際に背負って歩いてみて、自分に耐えられる重さかどうかを確認しておきましょう。また、防災用リュックは自宅の玄関近くに置いておくほか、自家用車のある人は車のトランクにも備えておくとよいでしょう。

防災リュックに入れておく物

市販の防災用リュックには一通りの災害対策グッズが入っているものもありますが、自分で中身を用意する場合、最低限以下の物は入れておきましょう。飲料水などはもちろんですが、そのほかは、支給されるような一般的ではないもの、「簡単に入手できないあなたにとって必要なものを入れておく」という基準が大切です。

常備薬

一般的な痛み止めや解熱剤などであれば、避難所でも手に入る可能性はありますが、持病があり、薬を常用している方は、防災リュックの中にも薬を入れておくようにしましょう。症状にあった薬を処方してもらえるまでに時間がかかることがあるので、避難の際に忘れないようにしてください。

メガネ・コンタクト

メガネやコンタクトも、自分の視力にあったものなので、誰かのものを借りる…というわけにはいきません。コンタクトだと、手入れがなかなかできない可能性が高いため、普段コンタクトを使用している人も、一つメガネを持っておくと安心です。

家族写真

家族とはぐれた時などに必要となるのが家族写真です。とくに小さな子どもや年配の方、ペットがいる家庭の場合、行方不明となった家族を探す際の重要な手がかりとなります。掲示板に貼る分、持ち歩く分などを考慮し、複数枚プリントして防災リュックに入れておきましょう。

ラジオ

停電でテレビが映らなくなったり、スマホが電池切れや通信回線途絶で使えなくなったりした場合に、情報源として頼りになるのは乾電池で動作するラジオです。ハンドルを手回しして充電できる防災用ラジオも市販されています。

懐中電灯

LED照明を使った小型で高性能のものだと、軽くて便利です。ラジオと一体型のものなどもあるので、探してみましょう。

抱っこひも

小さなお子さんのいる家庭では、非常時には抱っこひもが活躍します。ベビーカーだと自身や停電でエレベーターが止まって階段を使うことになったり、道路にがれきが散乱していたりすると使えなくなるためです。

生理用品・女性用下着

女性の場合は生理用品や下着類なども防災用リュックに常備しておきましょう。これらは避難所に届く救援物資の中でも後回しにされがちで、過去の災害時には手に入らなくて困った人もいました。

飲料水

2リットルの大型ペットボトルよりは、500ミリリットル入りのものを何本か入れておいた方が使い勝手が良いのでおすすめです。

非常食

救急キット

健康保険証のコピー

携帯用簡易トイレ

ティッシュペーパー

自治体が発行するハザードマップや防災地図

ペットを飼っている場合

犬や猫などのペットを飼っている人は、災害時の避難生活を想定して日ごろからペットのしつけ・訓練を行っておくことも重要になります。

東日本大震災など過去の災害では、避難所でペットの持ち込みが認められなかったり、犬が吠えて迷惑をかけるため避難所を出ざるを得なくなったりした例もありました。自分の住んでいる地区の避難所がペット受け入れ対応をするのか、あるいはペットを受け入れる避難所がどこになるかも事前に確認しておきましょう。

ペットを連れて逃げる「同行避難」の重要性

環境省は2018年9月に発表した飼い主向け災害対策ガイドラインで、災害時にペットを守るためには、ペットを連れて逃げる「同行避難」が重要だとしたうえで、避難所生活に備えてペットをケージに慣れさせておく、トイレをしつけるなどの事前対策の必要性を指摘しています。

避難所に届く救援物資の中でもペット用の物は後回しにされる恐れもあるので、ペットフードなどの備蓄もしておきましょう。災害時の混乱ではぐれた場合に備え、識別情報を登録したマイクロチップをペットの体内に埋め込んでおくことも検討しましょう。

大切な家族の一員であるペットを守るためにも、日頃の備えが大切です。環境省が公開している「あなたとペットは大丈夫? ペットの災害ガイドライン」を一読するところからはじめてもいいかもしれませんね。

災害に備えた近隣関係を

都会の集合住宅では、隣に誰が住んでいるか知らないことも珍しくありません。それでも、東日本大震災以降、近隣関係の重要性が再認識されつつあります。引越しを機に、近所の人たちといざという時に助け合えるような信頼関係を築いておくことは、災害対策の見地からも有効です。

避難所で見知らぬ人たちと一緒の生活をすると、ストレスもたまりやすくなります。過去の大震災の際には、泣き声に苦情が出たりして、小さな子供や障害者のいる世帯が避難所にいられなくなるような事例もありました。日ごろ顔を見知っている関係かどうかで、そうした際の人の対応も変わってきます。

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