安い物件に引っ越したい! UR賃貸はアリ、ナシ?

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UR賃貸について

「UR賃貸が安いらしい」 と聞いたことはありませんか? 引っ越しを機に固定費である家賃を抑えようと思った際に、物件の候補としたことがある方もいるかもしれませんね。実際のところ、UR賃貸とはどんなものなのでしょうか?

UR賃貸住宅とは

UR賃貸住宅は、都市機構(UR)が管理する賃貸住宅で、現在、全国に約1700団地、約75万戸があります。

もともとは高度成長期の住宅不足解消のため1955年に設立された日本住宅公団が、幾度かの機構改革や統合を経て、現在のURとなりました。かつての公団住宅には分譲住宅もありましたが、現在のURは賃貸住宅のみを管理しています。

URにはタワーマンションやリノベーション物件も

団地のイメージが強いURですが、中にはタワーマンションなどの都市型の物件もあります。

また、イケアや無印良品などと提携して古い団地の内装をリノベーションした物件や、入居者が自由に室内を改装することができ、退去時の原状回復が不要な「UR-DIY」という物件もあります。

UR賃貸住宅のメリット

敷地の広さと日当たり、風通しの良さ

URの団地の最大のメリットは、敷地が広く、住棟と住棟の間の距離が十分に取られているため、日当たり良好で風通しも良いことです。

これは各住戸の1日の日照時間を計算した上で建設されているためです。

入居時の初期費用が抑えられる

UR賃貸の場合、入居時に必要は費用は、敷金と日割り家賃、共益費です。

礼金が不要

退去時に返ってこない礼金はありません。敷金は月額家賃の2カ月分ですが、キャンペーン期間中は安くなることもあります。

仲介手数料が不要

また、UR賃貸住宅の部屋探しは、UR営業センターやUR賃貸ショップ、現地案内所などのURの店舗で行っているため、不動産仲介業者に仲介手数料を支払う必要がありません。

更新料不要

契約は自動更新で、手続きは不要。更新料も不要です。

保証人不要

UR賃貸住宅の契約にあたっては保証人を付ける必要はありません。

申込時に住民票の写し、収入証明書などの必要書類を提出し、入居資格を確認されるだけです。

原状回復の負担区分が明確

退去の際の原状回復については、入居時に、UR賃貸住宅が負担する内容と入居者が負担する内容が明確に案内されます。通常の使用に伴う損耗などの復旧費用はURが負担します。

抽選なしの先着順

かつては公団住宅と言えば抽選になかなか当たらないというイメージもありましたが、現在ではUR賃貸住宅のほとんどが抽選なしの先着順受付となっており、空室があれば申し込むことができます。

ただし、新築住宅や高齢者向け優良賃貸住宅などの一部については、抽選制のところもまだあります。

耐震性の高さ

UR賃貸住宅には、1981年の新耐震基準になる前の旧耐震基準に沿って建設された建物も多くありますが、これまでの大震災でも大きな被害を受けませんでした。

これは、1戸1戸の住宅の境に耐震上有効な壁が規則的に配置されていることによって、安全上の余力があったためと考えられています。

また、耐震診断は住棟の約99%で実施済みで、診断結果に基づき、必要な耐震改修を計画的に進めています。

子育て世帯や若年層向けの割引制度も

割引種類 対象 内容
子育て割 18歳未満の
子どもがいる世帯
家賃を最大9年間
20%減額
U35割 35歳以下 3年間の定期借家契約で
家賃が割引
近居割 高齢の親の
近くのURに入居
家賃が5年間最大5%減額

UR賃貸住宅には、18歳未満の子どもがいる子育て世帯について家賃を最大9年間にわたり20%減額する「子育て割」や、35歳以下であれば3年間の定期借家契約で家賃が割引になる「U35割」、高齢の親の近くにあるUR賃貸住宅に入居すると家賃が5年間最大5%減額される「近居割」などの割引制度もあります。

UR賃貸住宅のデメリット

必ずしも家賃は安くない

UR賃貸住宅では礼金や仲介手数料が不要なため、初期費用は抑えられますが、月額家賃は周辺の同条件の物件と比べて特に安いわけではありません。

一定以上の収入があることが入居条件

もともとUR賃貸住宅の前身である公団住宅は、低所得者向けの公営住宅とは異なり、中所得者向けを想定して供給された住宅です。
このため現在でも、入居にあたっては一定以上の収入があることが条件となっています。逆に公営住宅のような収入上限は設定されていません。

●単身者の場合

家賃 必要な収入
6万2500円未満 家賃の4倍以上の
平均月収
6万2500円以上
20万円未満
月収25万円以上
20万円以上 月収40万円以上

単身者の場合、家賃6万2500円未満の部屋については家賃の4倍以上の平均月収があることが必要です。

家賃6万2500円以上20万円未満の部屋については月収25万円以上、家賃20万円以上の部屋では月収40万円以上が必要です。

●家族(世帯)の場合

家賃 必要な収入
8万2500円未満 家賃の4倍以上の
平均月収
8万2500円以上
20万円未満
月収33万円以上
20万円以上 月収40万円以上

世帯で申し込む場合は、申込者本人について、家賃8万2500円未満の部屋では家賃額の4倍の月収があることが必要です。

家賃8万2500円以上20万円未満の部屋では月収33万円以上、家賃20万円以上の部屋では月収40万円以上が条件となっています。

UR賃貸住宅に申し込みをする際には、これらの平均月収が入居基準を満たしていることを証明する書類を提出する必要があります。

駅から遠く不便な物件も

URの団地では、一定の日照時間や敷地の広さが確保されている代わりに、とくに首都圏の1970年代後半以降に建設されたところには、駅から遠く、通勤・通学や買い物に不便な団地も見受けられます。

もっとも、住宅公団草創期からある古い団地には、駅前の交通至便な立地のところも多くあります。

古い規格で圧迫感を感じることも

5階建て以下の古い団地を建て替えずに賃貸しているUR賃貸では、基本的にエレベーターがありません。

内装についてはリノベーションされているところもありますが、それでも天井の低さだけはどうしようもなく、圧迫感を感じたり、鴨居に頭をぶつけそうになることも。昔の日本人は背が低かったんだなと実感させられます。

まとめ

結論として、ただ安さだけを求めてUR賃貸住宅を探しても、希望に沿った物件はなかなか見つけられない可能性が高そうです。

家賃の安いところは、駅から遠いなどそれなりの理由があり、それは一般の賃貸住宅と同様です。

ただ、働く人たちに良質な住宅を供給するという日本住宅公団の設立の趣旨は現在のURにも引き継がれており、建物の耐震性のほか、日当たりの良さなど居住環境の面では民間の賃貸住宅に比べて優れているといえそうです。