引越しの際に必要な行政手続きとは?転居・転出・転入手続きなどをチェック

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引越しに必要な行政手続き

引越しをするときは役所での様々な手続きが必要です。なかでも誰もが行わなくてはならないのが、転居届・転出届・転入届など住民票の移動・変更に関するもの。これらの手続き方法を中心に解説します。

引っ越しに伴う自治体での手続き一覧

引越しの際に必要な自治体での主な手続きには、以下のようなものがあります。

  • 転居届または区間移動届(同じ市区町村内に引っ越す場合)
  • 転出届(別の市区町村へ引っ越す場合)
  • 転入届(別の市区町村へ引っ越す場合)
  • マイナンバーの住所変更
  • 引越し先での印鑑登録(別の市区町村に引っ越す場合)
  • 国民健康保険の住所変更(国保加入者のみ)
  • 国民年金の住所変更(受給権者のみ)
  • 妊婦の健康診査受診票や検診補助券の交換(該当者のみ。別の市区町村へ引っ越す場合)
  • 児童手当の住所変更(該当者のみ。別の市区町村へ引っ越す場合)
  • 保育園・幼稚園の転園手続き(該当者のみ)
  • 公立小中学校の転校手続き(該当者のみ)
  • 要介護・要支援認定の引き継ぎ手続き(該当者のみ。別の市区町村に引っ越す場合)
  • 高齢者受給証(あるいは「老人医療証」「医療証」など、自治体によって名称やサービス内容に違いがあるが、主に75歳未満の高齢者の医療負担を補助する制度の受給者証)の手続き
  • 在留カードまたは特別永住者証明書の提出(外国人の場合)
  • 犬の登録事項変更(犬を飼っている人のみ)

自治体での手続き以外にも、警察署などでの運転免許証の住所変更手続きなどがあります。

これらの諸手続の中でも、転入届など住民票の移動・変更に関する届け出は、住民として行政サービスを受けるための最も重要な手続きです。

転居届・転出届・転入届とは

基本的には、引越し先が同一市区町村内である場合は、市区町村の役所・役場に転居届を提出します。この届け出によって住民票記載の住所が変更されます。

別の市区町村への引越しの場合は、引越し前の市区町村の役所・役場に転出届、引越し先の役所・役場に転入届を、それぞれ提出します。これによって住民票が移動し、引越し先の市区町村の住民として登録されます。

なお、ここで言う市区町村の「区」とは、東京都内に23ある特別区のことを指します。政令指定都市の区(行政区)のことではありません。東京の特別区は、市町村と同様に住民登録の単位となっている基礎的自治体ですが、政令指定都市の行政区は自治体ではなく、単なる地域分けにすぎないからです。

届け出人はいずれの場合も世帯主または同一世帯の人です。代理人を通じて届け出ることもできますが、その場合は本人が全文を自書し、押印した委任状と、代理人自身の身元確認書類が必要になります。

届け出はいつ行うか

転出届は引越し前に、転居届と転入届は引越し後14日以内に提出するのが原則です。病気・事故などのやむを得ない事情がないのに届け出が遅れると、罰せられることもあるので注意しましょう。

転出届の提出は、自治体によっては引越し後でも届け出可能なところはありますが、その場合でも転出届の提出を済ませていないと引越し先で転入届が受理されません。なるべく引越し前に届け出るようにしましょう。できれば余裕を持って1、2週間前に行っておくとよいでしょう。

転出届は郵送で提出することもできます。春の引越しシーズンは役所の窓口が大変混み合い、待ち時間も長くなるため、市区町村によってはこの時期の転出届の郵送提出を推奨しているところもあります。ただ、郵送だと手続きに数日かかるため、急ぎの場合は窓口に出向いて手続きしましょう。

一方、転居届と転入届は引越し前には出せません。引越し後すみやかに提出するようにしましょう。2週間の期限を過ぎて提出すると、いつから居住し始めたか確認できる疎明資料(賃貸契約書など)の添付を求められることもあります。

転出の手続き

それまで住んでいたのとは別の市区町村に引っ越す場合は、引越し前の市区町村の役所・役場には転出届を、引越し先の市区町村の役所・役場には転入届を提出します。

転出届を出す際には、本人確認書類が必要です。本人確認書類として使えるのは、マイナンバーカードや住民基本台帳カード(写真付きのもの)、運転免許証、パスポートなどです。

このほか、世帯全員分の国民健康保険証(国保加入者のみ)、マイナンバーカード、住民基本台帳カードも、これらを持っている人は持参する必要があります。

また、自治体ごとの行政サービス内容、あるいは都道府県をまたぐ引越しかどうかなどによって違いもありますが、転出時には高齢受給者証、身体障害者手帳、マル障受給者証、後期高齢者医療被保険者証、乳幼児医療証、子ども医療証などの返却や変更手続きも必要な自治体もあります。

印鑑登録をしている人は、転出日の日付で登録が抹消され、印鑑登録証も使えなくなりますので、窓口で返却しましょう。

転出届が受理されると、窓口で転出証明書が発行されます。これは引越し先の役所で転入届を提出する際に必要となるので、大事に保管しておきましょう。ただし、マイナンバーカードまたは住民基本台帳カードを持っている人は、それらのデータを使った特例転出届として処理され、転出証明書は必要ないため発行されません。

転入の手続き

引越し先の市区町村の役所・役場には転入届を提出します。届け出には、本人確認書類とマイナンバーカードまたはマイナンバー通知カードが必要です。住民基本台帳カードを持っている人は、これも持参する必要があります。

マイナンバーカードまたは住民基本台帳カードを使って特例転出届を出した人は、転入届の際に窓口でカードの暗証番号を入力する必要があります。これらのカードが使わず通常の転出届を出した人は、転入届を出す際に転出証明書の添付が必要になります。

高齢者がいる家庭の手続き

65歳以上の人が市区町村をまたいで引っ越す場合は、引越し前の市区町村の役所・役場に介護保険被保険者証を返却し、引越し先で新たに交付を受ける必要があります。

引越し前の市区町村で「要介護」または「要支援」の認定を既に受けている人の場合は、被保険者証の返却と引き替えに「介護保険受給資格者証明書(被保険者の転出に係る受給資格者証明書)」を渡されます。これを引越し先の市区町村に期限内に提出することで、それまでの認定区分が原則6カ月間引き継がれます。この手続きを怠ると、新たに認定申請をやり直さなくてはならないので気をつけましょう。

ただ、別の区市町村の特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(対象施設のみ)、ケアハウスなどに入所・入居して、その施設の所在地に住民登録する場合は、「住所地特例者」として、引き続きこれまで住んでいた市区町村の被保険者となり、認定区分もそのままです。この場合、引越し前の市区町村の役所・役場に住所地特例適用届を提出する必要があります。

同じ市区町村内に引っ越す場合

同じ市区町村内に引っ越した場合は、市区町村の役所・役場に転居届を提出します。

転居届を出す際には、本人確認書類のほか、マイナンバーカードまたはマイナンバー通知カード、世帯全員分の国民健康保険証(国保加入者のみ)、住民基本台帳カード(保有者のみ)を持参する必要があります。マイナンバーカードまたは住民基本台帳カードを持っている場合には、窓口で暗証番号を入力する必要があります。自治体によっては、高齢受給者証、乳幼児医療証なども、それぞれの該当者の場合は変更手続きが必要になります。

注意が必要なのは、政令指定都市に住んでいる人が、同じ市内の別の区(行政区)に引っ越すときです。この場合、転出届や転出証明書は必要ありませんが、引越し先の区役所に提出すべき届け出書の種類が、市によって異なっています。

たとえば横浜市や名古屋市、大阪市、神戸市、福岡市などでは、区をまたぐ引越しの場合は転入届を出す必要がありますが、岡山市や相模原市などでは転居届、広島市や北九州市、新潟市などでは区間移動届を出すことになっています。どの種類の届け出用紙を使うのか、各自治体の窓口で確認するようにしてください。

引越しに伴う届け出がネットで簡単に

このように引越しの際は煩雑な手続きが必要ですが、「デジタルファースト法案」が成立したため、2019年度中には、役所に出向かなくても、これらの手続きをネット上でまとめてできるようになる見通しです。そうなると、わずらわしさが大幅に軽減されますね。

デジタルファースト法案はの対象となるものは、まだまだ限られますが、引越しに関しては、役所への届け出だけでなく、電気・ガス・水道の解約・契約も一緒にできるようになる予定です。