エアコンが備え付けでない賃貸に住み、自分で設置した場合は、引越しの際に取り外す必要があります。新居がエアコン備え付けでなかったり、戸建の場合は、設置に必要もあるでしょう。引越しに際し、エアコンの取り外しや新居への取り付けはどうすればよいのでしょうか。今回はその方法を解説します。
エアコンの取り外しや取り付けは自分でできる?
エアコンの取り外しや取り付けを専門業者に頼むとお金がかかるため、節約のため自分で行おうとする方もいます。取り外し作業自体はそれほど複雑ではありませんが、取り扱いを誤ると感電などの恐れもあるので、経験のない人にはあまりお勧めできません。
お使いのエアコンが200V電源を使うものである場合は、新居にコンセントを配線・設置するのに電気工事士の資格も必要になります。参考までに、自分でエアコンの取り外しを行う場合の大まかな手順を説明します。
エアコンの取り外し方
エアコンは室内機と室外機からなり、その間が2本の金属管でつながっていて、室内機と室外機の間を冷媒ガスが行き来します。エアコンの取り外しは、まず「ポンプダウン」という作業を行って冷媒ガスを室外機の中に閉じ込めてから、配管の取り外し、室外機と室内機の取り外しという順序で進めます。
必要なものは、カッター、レンチ、ニッパー、ドライバーなどの工具類のほか、コードを絶縁したりとりまとめたりするためのビニールテープ、それに脚立です。
(1)室外機のバルブキャップを外す
室外機の側面のカバーを開けると、2本の金属管がつながっています。細い方が冷媒ガスの送り側、太い方が戻り側となります。2本とも、つなぎ目のバルブキャップを外します。
(2)ポンプダウンを行う
次にエアコンの冷媒ガスを室外機に閉じ込めるポンプダウンの作業を行います。まず、エアコンを強制冷房運転にした上、室外機のファンがちゃんと回っていることを確認した上で、室外機の2本のバルブのうち細い方(送り側)を六角レンチで締めます。すると、室内機から室外機へ一方的に冷媒ガスが送り込まれることになり、室外機にガスがたまっていきます。
この状態で強制冷房運転を2〜3分続けた後、太い方のバルブ(戻り側)を六角レンチで締めます。これで冷媒ガスは室外機の中に閉じ込められました。
(3)室外機の配管と配線を外す
エアコンの電源を切った後、室外機の金属管2本と電源コードを外します。金属管は2本ともナットを緩めて外します。室外機の電源コードについては、まず感電しないようにコンセントから外した上で、室外機のは室外機側面のカバーを開けると接続部が出てくるので、取り外します。
(4)室外機を台座から取り外す
室外機を、ボルトで固定されている台座からレンチなどを使って取り外します。
(5)室内機を壁から取り外す
室内機は高い位置に取り付けられているので、脚立に乗って取り外します。かなりの重量があるので落とさないよう気をつけましょう。また、内部に結露による水がたまっていこともあるので、床を汚さないよう事前に養生しておきましょう。室内機は、壁に取り付けた金属板の爪に引っかける形で固定されています。室内機を持ち上げてずらすと、金属板から外れるので、裏側に接続されている金属管2本と排水用ドレーン、電源コードを引き抜いた後、ゆっくり下に下ろします。最後に壁の穴にキャップをはめれば完了です。キャップがない場合はパテでふさぎます。
参考:エアコンの取り外し工事を自分でする方法(エアコンサポートセンター)
エアコンの移設工事、プロに頼む場合の選択肢は?
引越しに伴うエアコンの移設をプロの業者に頼むには、専門の電気工事業者に依頼するか、引越会社に依頼するかの選択肢があります。
取り外したエアコンを新居に再設置する場合、引越し先が近場であれば、専門業者に頼むとしても同じ業者にまとめて依頼できますが、遠方への引越しだと、新居の近くにある専門業者を別に探す必要も出てきます。
一方、引越会社の多くでは引越しの有償オプションサービスとして、エアコンの取り外し・設置を請け負っており、こちらを使えば引越し予約の際に一括して依頼できるので、余計な手間がかからず便利です。実際に作業を行うのは引越会社と提携する専門業者ですが、万が一トラブルが起きた場合でも、引越会社が窓口になってくれるの、その点でも安心です。
エアコンの取り外し・設置の注意点
プロの業者にエアコンの取り外しや取り付けを依頼する場合の基本料金は、それぞれ1万円以内で済むことが多いようです。
ただし、新居での取り付けに際しては、希望する室内機の設置位置と壁の穴の距離がある場合に配管を延長する必要が出てきたり、室外機をベランダの天井からつり下げるなど特殊な設置方法で取り付ける場合は専用の取り付け器具が必要となる場合もあります。
取り付け作業がスムーズに進められるよう、事前に、新居でのエアコン室内機・室外機それぞれの設置希望位置や壁の穴との距離が分かる写真を撮っておくとよいでしょう。
また、夏場の引越しでエアコンを取り外す場合は、その後の荷物の搬出作業などの際に熱中症にならないよう、扇風機を使うなどして対策しましょう。
なお、エアコンは冷蔵庫と並んで家庭の中でも消費電力の大きい家電製品の一つですが、エアコンも冷蔵庫もこの十数年で省エネ性能は飛躍的に向上しています。エアコンはたいてい10年以上は使えますが、あまりに古い機種の場合は、電気代のことも考えて、引越しを機に買い換えてもよいかもしれません。