公立高校に通う子どもが県外に引越したら転校?遠距離通学?

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公立高校に通う子供が引っ越すとき

公立高校在学中、どうしても県外へ引越しになってしまうことがあります。そのような場合は転校して引越し先の学区の高校に通うのか、現在の高校に遠距離通学するかを選ぶことになります。どちらにもメリットとデメリットがあり、子どもの性格や引越し先の環境によって最善策は異なります。高校生活はその後の人生を大きく左右するので、慎重に考えていきましょう。

公立高校に通う子どもが県外に引越したら転校? 遠距離通学?

公立高校では基本的に、学区内に住所がある生徒のみが通うことができます。県外に引越すとなると学区外になってしまうわけですから、この規則に則ると転校をしなくてはいけません。

しかし、ほとんどの場合は学区外になっても転校せず、元の学校に遠距離通学をすることが許可されます。高校の転校は、心身ともに子どもの負担が大きくなりがちです。また、本人が希望しても学校に欠員がない場合は受け入れてもらえない場合がほとんどです。そのため、学区外になっても遠距離通学を選ぶ生徒が圧倒的に多いのが現状です。

とはいえ、もしも引っ越し先が遠すぎて通えない場合や、本人が希望する場合は転校を選ぶことになります。ここからは、遠距離通学と転校、それぞれのパターンについて掘り下げて解説していきます。

県外に引越しても同じ公立高校に遠距離通学するパターン

学区外になっても元の高校に通う場合は、遠距離通学をすることになります。電車やバスで通える範囲内での引越しであることが大前提ですが、片道2時間以上かけて通学しているケースもあり、遠距離通学を選ぶ高校生は意外と多いのが実情です。

遠距離通学を選ぶ学生が多い理由

通学に時間と交通費がかかっても元の学校を選ぶ生徒が多いのは、やはり慣れ親しんだ学校と友人を失わずに済むというのが一番の理由です。

新しい環境でゼロから人間関係を構築することは大変です。高校生は特に学校にいる時間が長いので、生活のメインとなっている環境が変わらないということは、時間をかけて通学してでも優先したいことなのでしょう。

また公立高校の転校は、希望しても転入先の学校に欠員がない限り入ることができません。入学試験を突破する必要もあり、手続きだけで転校できるわけではないというのも理由の1つです。大学入試への影響を考え、両親が遠距離通学を推すこともあるでしょう。

遠距離通学をするうえで知っておきたいこと

遠距離通学になると、いままでよりも子どもにかかる負担が大きくなります。学校生活に変化がないので精神的な負担は軽いですが、朝起きる時間が早くなり、帰りが遅くなるというのは、本人でも気づかないうちにストレスになります。地元で遊べていた友人たちと遊びにくくなる、という寂しさも感じるかもしれません。

また、通学にかかる交通費が増えることを考慮する必要があります。遠いほどに交通費はかさみ、学生向けの割引を使っても高額になることもあるので、事前に通学方法や定期券の金額を調べておいた方がいいでしょう。

引越し先(県外)の公立高校に転入するパターン

引越し先が遠く離れていたり、本人が希望したりする場合は、引越し先の公立高校に転入することになりますが、小学校・中学校の義務教育と違い、高校での転校には様々な問題が出てきます。

公立高校は手続きだけでは転入できない

公立の小中学校は手続きだけで転校することができますが、高校になると編入試験を突破しなくてはいけません。また、希望する高校に欠員がなければ転入はできず、学校ごとに募集の条件が異なるのでそれを満たす必要もあります。

とくに欠員の有無は、転校を決めたら真っ先に確認しましょう。引越し先の公立高校すべてに欠員がない場合は入ることができないので、私立の高校を改めて探すことになります。欠員の有無は学期ごとに更新されるので、欠員がない場合は次の学期まで待つしかありません。

高校転入はストレスが大きい

無事に編入試験を突破して編入できても、すでにできているコミュニティに入っていくのは非常に難しく、子どもの性格によっては全く馴染めずに辛い思いをすることもあります。

また、高校によって授業の進行度や学力に差があります。編入試験は合格できても、実際の授業に付いていけないということは多くありますので、友人もいない状態で、学力を大きく下げてしまうことも多々あります。

人間関係・学力の差だけでも、子どもには大きな負担がかかります。転入をきっかけに引きこもりになってしまうという子もいるので、家族のサポートがとても大切です。

子どもが公立高校在学中に県外へ引越しする場合の注意点

最後に、引越しをする前に知っておきたい注意点を遠距離通学と転校に分けて解説します。事前に準備しておくことで引越し後に慌てなくて済むこともあるので、必ず確認しておきましょう。

同じ公立高校に遠距離通学する場合

学校が変わらない場合、注意点は少ないです。しかし、引越しのバタバタで忘れてしまうことも多いため、以下の点に注意してください。

  • 学区外通学が許可される条件
  • 引越しまでに学区外通学の申請と許可をもらうこと
  • 通学に使う交通機関と時間の確認をしておくこと
  • 通学に必要な定期券などの準備をしておくこと

引越した直後は環境の変化で体調を崩しやすく、遠距離通学で疲れも溜まりやすいです。慣れないうちは送り迎えをするなど、少しでも子どもの負担を減らしてあげると良いでしょう。

県外の引越し先の公立高校に転入する場合

転校をする場合は多くの手続きが必要なので、チェックリストを作るようにしましょう。抜けがあると子どもが困ったり、負担が大きくなったりしてしまいます。

  • 転入希望先の学校に欠員があるかの確認
  • 学力差がどれくらいあるかの確認
  • 「在学証明書」「教科書給与証明書」「入学通知書」が揃っていること
  • 合格後の書類手続き
  • 制服や新しい学校の教科書の準備

意外と忘れやすいのが合格通知を受け取ってからの手続きです。学校によって異なりますが、手続きを行っていないと合格しただけでは生徒として受け入れてもらえません。確実に行い、スムーズに新しい学校での生活に入れるよう、準備を整えましょう。

まとめ

高校生に限らず、学生のうちの引越しは学区外になると子どもへの負担がとても大きくなります。特に高校生は将来のことを真剣に考えるようになり、悩みも多い繊細な年ごろなので、大人が思っているよりもずっと引越しによる影響を受けてしまいます。転校か遠距離通学かは両親だけで決めずに、家族全員で一緒に考えるようにしましょう。

高校生になるとある程度自立して生活ができるので、子どもだけが学区内に残って1人暮らしをする、という手段もあります。大学入試への影響を考えると一人暮らしをしたほうが良い場合もあります。

しかし、金銭的な問題や安全面を考慮すると、やはりまだ家族が一緒に生活した方が安心できますよね。とても難しい問題ですが、子どもの希望と負担軽減を第一に考えて、できるだけ無理のない引越しを行うようにしましょう。