賃貸物件の引越し。退去時の立会いはどうするのが正解?

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賃貸物件の退去時のチェック

引越しで賃貸住宅から退去する場合、明け渡しの際には必ず、家主や管理会社の担当者に来てもらって室内の状態を確認してもらいましょう。もし借り主の故意や過失により汚れや傷が生じていたり備品が壊れていたりした場合には、補修費用が敷金から差し引かれることになるので、あとあとトラブルにならないよう当事者双方が立ち会って室内を確認する重要な手続きです。今回は賃貸住宅退去時の立ち会い確認のポイントを解説します。

退去時の立ち会い確認のタイミングは

退去時の立ち会い確認は、引越しの荷物を運び出した後、契約上の退去日(賃貸借契約の終了日)までの間に行います。通常は引越し当日に行うことが多いのですが、室内の状態を確認しやすい日中に行ったほうが好ましいので、引越し作業が夜までかかりそうな場合には、日を改めて契約終了日までの間に行ってもよいでしょう。

具体的な日時については、こちらにも先方にも都合があるので、引越しの日程が決まったら早めに家主側に連絡して調整しておきましょう。

立ち会い確認の所要時間は、部屋の広さにもよりますが、30分から長くても1時間程度とみておけばよいでしょう。

退去の際に何をチェックされる?

退去時の立ち会い確認では、

  • 室内に汚れや傷がないか
  • タバコのにおいなどの悪臭が染みついていないか
  • もともと備え付けられていた機器類などの備品に不具合があったり持ち去られていたりしないか
  • 借り主が設置した物が室内に残されていないか

−などを点検します。

貸主負担と借主負担は、どこからどこまで?

当事者双方の立ち会いによる点検の結果、室内に傷や汚れなどが見つかり、それらが借り主の責任である場合には、補修費用が敷金から差し引かれることになります。その旨の同意書に署名・押印を求められることもあります。

ただし、室内が入居時とまったく同じ状態であることまでは本来要求されるべきではありません。借主が通常の部屋の使い方をしていて日焼けや経年劣化によってできた汚れや傷などの補修は、借り主の明け渡し時の義務である「原状回復」の対象には含まれないと考えられており、消費生活センターなどの第三者紛争解決機関がトラブル解決をあっせんする際には、こうした解決基準が取られています。

したがって、「原状回復」費用として敷金から差し引かれてもよいのは、借主の故意や不注意によって汚損が生じた場合に限られます。たとえばペット禁止の特約があるマンションでこっそり飼っていた猫が柱を傷だらけにしてしまったような場合は、現状回復費用の請求対象となります。

貸主と借主、原状回復の負担はどっち? 目安はコチラ

退去立ち会いの事前準備

退去時の立ち会い確認に際しては、事前に室内を念入りに掃除し、壁の汚れや浴室のカビなどをきれいに除去し、日ごろ部屋の掃除をおざなりにしていたとしても、それを家主に悟られないようにしましょう。

借主の退去後は、たいていは家主が次の入居者のためにハウスクリーニングをするものですが、だとしても部屋を大事に扱っていたと家主に印象づけることは敷金返還交渉を有利に導くために大事です。

立ち会い確認の際は、賃貸借契約書と部屋の鍵のほか、印鑑も用意しておきましょう。確認後に同意書への署名・押印を求められる場合があるからです。また入居の際の部屋の状態を家主側と立ち会い確認していた場合には、その際の確認書や室内の汚損箇所を撮影した写真なども忘れずに持参しましょう。

退去立ち会いで気をつけるべきポイント

立ち会い確認は荷物の運び出し後になりますが、運び出しが遅くなって、引越し先の荷物到着までに時間的余裕がない場合などは、代理人に立ち会ってもらうことも可能です。

それでも、なるべく借り主本人が立ち会った方がよいでしょう。代理人だと、室内の汚損箇所について、それが入居前からあったものか、あるいはどのような事情でできたものかなどについて説明できない場合も考えられるためです。

このため、退去時の立ち会い確認の日時は、引越しのスケジュールに差し支えないよう、余裕を持って設定するようにしましょう

賃貸契約書は自分で保管しましょう

立ち会い確認の後で、家主側から賃貸借契約書を引き渡すよう求められることがあります。しかし、後日何かトラブルがあった場合に契約内容を確認する必要が起こることもあり得ます。本来、契約書は貸主、借主双方が持っているはずのもので、借主の分を貸主に引き渡す必要はありませんが、万一のためにコピーは取っておきましょう。

補修費用の内訳は必ずチェック!

確認の結果、補修費用を敷金から差し引くことになった場合は、具体的な金額は後日の計算となることがあります。いずれにせよ、家主側には業者による補修費用の見積書や費用内訳を提出するよう求めましょう。また、敷金からの控除にどうしても納得行かない場合は安易に同意書にサインしないことも大事です。消費生活センターのあっせんや簡易裁判所での調停、少額訴訟などを通じて紛争を解決することもできます。