専門業者か、引越し業者か? 引っ越しの車の輸送をどうする?

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自動車

引越しの際に自家用車を運ぶ方法は、(1)自分で乗っていく、(2)業者に輸送を依頼する、のいずれかになります。車両輸送専門業者に直接依頼することもできますが、多くの引越し業者では自動車の輸送依頼を受け付けており、提携している車両専門輸送業者が運んでくれます。自分にあった方法を選択しましょう。

自動車を自分で引越し先まで運転して運ぶ

引越し先まで自家用車を最も安く運搬する方法は、自分で運転することです。とくに近距離の場合ならこれがベストでしょう。

東京-大阪間なら約6時間、2万円程度

とはいえ長距離の場合は、運転時間も長くなり、体力的にも負担がかかります。たとえば東京-大阪間は、約500キロ。新東名・新名神の部分開通で以前に比べて早く行き来できるようになりましたが、それでも休憩を挟みながらだと6時間はかかります。陸路だけで自分で運転して運べるのは、このぐらいの距離が限界でしょう。

それ以上の距離だとカーフェリーを併用することが考えられます。たとえば東京-福岡間であれば、東京から大阪まで高速道路で行き、大阪から北九州まではカーフェリーを使うわけです。このケースだと出発から2日目の午前中には目的地に着けるでしょう。

輸送にかかる費用は、東京から大阪(豊中インター)までだと、高速道路料金(通常料金)が普通車の場合で通常料金1万900円。これに燃料代数千円を合わせても、2万円以内に収まるといったところでしょうか。

東京-福岡間ならフェリー併用で約4~5万円

東京から福岡までだと、大阪(泉大津)-北九州(新門司)間を阪九フェリーに乗船する場合で、フェリーの車両航送運賃(ドライバー1名の2等運賃ならびにスタンダード和室運賃は無料)が5メートル未満の車両で2万2830円(ネット予約すれば2割引)。高速道路料金(通常料金)は東京-泉大津が1万4480円、新門司-福岡が1860円。燃料代を合わせて総額4万~5万円弱といったところです。

引越し先への荷物の到着日まで余裕があれば、これを機会にあちこち立ち寄って温泉にでも漬かりながら、のんびり旅するのも楽しいかもしれません。いずれにしても、引越しの荷作りで普段より疲れていることも考えられるので、くれぐれも安全運転を心がけましょう。

車両輸送業者に依頼する

移動が長距離になったり、日程の都合が悪かったりして自分で車を運転していくのが難しい場合は、引越会社か車両輸送専門業者に自動車の運搬を依頼することになります。

多くの引越会社は車の運搬も受け付けているので、オプションで依頼することが可能ですが、実際には、引越し業者自身が運搬するわけではなく、提携する車両輸送専門業者が運ぶことになります。手間はかかっても、少しでも安くしたいという方は、ご自分で車両輸送専門業者に見積りを取って比較するのも選択肢のひとつです。

車両輸送専門業者の一例

大手の車両輸送専門業者として知られるトヨタ輸送や株式会社ゼロ(旧日産陸送)は、もともとは自動車メーカーの系列企業ですが、最近はB to Cの個人向け営業にも力を入れています。

日本自動車連盟(JAF)の会員であれば、10%割引の優待価格で利用できます(なお、トヨタ輸送は輸送能力不足を理由として、2019年6月13日現在、マイカー輸送の受け付けを一時休止しています。受け付け再開は同年夏ごろになりそうです)。

引越し業者を通じて車の輸送を依頼すれば、窓口がほかの荷物と一本化でき、自分で車の輸送業者を探さなくくていいという利点はあります。ただし、引越しの日程と車両輸送の日程は別々に設定されますので気をつけましょう。

車両輸送を業者に依頼する上での注意点

車の輸送を引越し業者に依頼する場合でも、車両輸送専門業者に依頼する場合でも、実際の輸送は車両輸送専門業者が行うので、申し込みのとき以外の注意点は同じです。詳しく見ていきましょう。

運賃は自分で運ぶ場合の数倍に

引越し業者や車両輸送専門業者に自動車の輸送を依頼すると、自分で運ぶ場合に比べて約2~3倍の費用がかかります。

株式会社ゼロ(旧日産陸送)の場合で見ると、たとえば、トヨタ・プリウスを東京から大阪まで運ぶ料金(税込)は6万8040円、東京から福岡までだと8万7480円です。

車にルーフキャリアを載せていたり、最低地上高が13㎝未満だったり、希少車や旧年式(初年度登録から30年超)の車だったりする場合は、別途見積もりとなり、さらに料金が上乗せされる場合があります。

車両の輸送には日数がかかる

輸送にかかる日数は、東京-大阪間で通常4日間、東京-福岡間だと7~9日間を要します(通常便の場合)。自分で運べば、東京-大阪間なら6時間、東京-福岡間でフェリー併用の場合でも1日半で到着するのに比べると、かなりの日数がかかることがわかります。

引き渡し前と受け取り時の車の状態確認は重要

車両輸送業者は、車を引き取りに来た際、所有者立ち会いのもとで車の状態を点検し、傷やへこみの位置などを確認の上、図面に記載。運搬先での受け渡しの際にも同様の確認を行います。

搬送する車には車両保険がかけられており、万が一輸送中に車が損傷した場合には、保険で補償されます。

しかし、所有者がこの確認作業に立ち会わないと、補償の対象外となるので、必ず点検作業には立ち会って、自分でもしっかり車の傷やへこみの位置を確認しましょう。万全を期して、トラブルが起きた場合の対策として、写真を撮っておくと安心です。

搭載品はあらかじめ下ろしておく

車に積んでいる荷物は、車検証や自賠責保険証明書などの必要書類を除き、すべて車から下ろしてください。

輸送業者のドライバーが直接運転する場合がある

車両輸送専門業者による車の運搬は、基本的には車両の運搬するためのトラックである、キャリアカーに積んで行います。しかし、キャリアカーの大型化や路上駐車に関する規制に伴い、自宅前で車の積み下ろしを行うのが難しくなってきているため、最近では車両の受け渡しの際には輸送業者のドライバーが直接運転(自走)して運ぶことが多くなっています。

このため、車の燃料タンクにはいくらか燃料を残しておく必要があります。車を引き渡す際にはどれぐらいの燃料が残っているか確認しておきましょう。なお、自走で運んだ区間の燃料は、業者が補充した上で引き渡してくれます。

輸送キャンセルや日程変更は前日までに

株式会社ゼロの場合、キャンセルは車両引き取り予定日の前日の18時まで(その日が休業日の場合はその前日の18時まで)に電話で連絡すれば、キャンセル手数料はかからず、支払った料金から振込手数料を差し引いた金額が返金されます。

引き取り予定日当日になってキャンセルすると、キャンセル手数料として利用金額の全額を要求される場合もありますので、注意しましょう。

まとめ

引越準備に追われていると、うっかり後回しになってしまいそうですが、自動車の輸送方法をどうするのか、早めに検討しておきましょう。

引越しは、ただでさえやることが多く、体力も消耗します。専門業者に運んでもらうのか、自分で運転する場合には、無理のないスケジュールを立てて休憩をはさみながら安全運転をしてくださいね。