引っ越しで本籍を移す必要はある? 本籍変更のメリット・デメリット

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本籍変更のメリットとデメリット

本籍地から遠く離れた所に引っ越して、もう帰ってくる予定がないような場合、住民票を移動させるのは当然として、戸籍まで移すかどうかは迷いどころです。今回は本籍地変更のメリットとデメリットについて解説します。

戸籍とは

戸籍とは、日本国民についての親族的関係を公に証明する台帳のことです。戦前は「家」を単位に「戸主」を筆頭として作られていましたが、戦後の現行戸籍法にもとづく戸籍は、夫婦とその未婚の子を単位として作られています。

戸籍には何が載っている?

戸籍には、夫婦とその未婚の子どもについて、氏名と生年月日、父母との続柄、出生、婚姻、離婚、死亡その他の重要な事項が記載されています。

結婚する夫婦が夫の姓を名乗る場合は夫、妻の姓を名乗る場合は妻が、戸籍の「筆頭者」となります。

夫婦の他方は「配偶者」となります。筆頭者が亡くなったりしてその戸籍から除かれても、筆頭者は変わりません。

住民票と戸籍の違い

住民票はその人が住民登録をしている場所を管轄する市区町村役所・役場で管理されており、その人の現住所が記載されています。

これに対し、戸籍は本籍地を管轄する市区町村役所・役場で管理されています。戸籍には本籍地が記載されていますが、住所は記載されていません。

住所については、戸籍の「附票」と呼ばれる書面に、その戸籍が作られて以降の住民登録地とそこに住所を定めた年月日が記載されており、住所の移り変わりを知ることができます。

このため、戸籍謄本(全部事項証明書)や戸籍抄本(一部事項証明書)にも住所の記載はありません。一方、住民票の写しには、その人が現住所にいつから住んでいるかという情報しか載っていません。

したがって、 ある人がこれまでどの時期にどこに住んでいたかを証明するには、戸籍の附票を取得する必要があります 

住所が変わっても本籍地は変更は任意

引っ越しで現住所が変わる場合は役所で住民登録や住所変更の手続きをする必要がありますが、これによって本籍地が変わることはありません。また、住所が変わったからといって本籍地を変える必要もありません。

ただ、本籍地と現住所が遠く離れているような場合には、たまに必要になる戸籍関係の証明手続きに手間がかかることから、利便性を考慮して本籍地を移す人もいます。

本籍を変える方法

現在の本籍地を他の場所に変えるには、転籍届を出す必要があります。転籍届を出すと、戸籍に記載されている人全員(結婚や死亡などによる除籍者を除く)の本籍地が変更されます。

結婚や独立で戸籍を分けるときは分籍届

親と同じ戸籍に入っている人が結婚して夫婦で新しい戸籍をつくる場合は、分籍届を出すことになります。

未婚であっても20歳に達していれば、分籍届を出すことにより、現在の戸籍から分かれて1人で新しい戸籍をつくることができます。

本籍を変えることのメリット

 本籍を変えることの一番のメリットは、戸籍の全部事項証明書(戸籍謄本)や一部事項証明書(戸籍抄本)が必要になったときに、本籍地と現住所が同じであれば、近くの役所で手続きできる点 です。

これらの戸籍に関する証明書は、パスポート発行の手続きや不動産取引をするときなど、何年かに一度ぐらいは必要になることがあります。

本籍地が遠方の場合、郵送での手続きもできるものの、日数がかかるため、やはり近くで手続きできた方が便利でしょう。

それ以外のメリットといえば、本籍地は日本全国どこでも好きな場所に置くことができるため、たとえば首相官邸や国会議事堂、皇居などを本籍地にしてみたいといった願望をかなえられる点でしょうか。

ただ、現在は個人情報の管理が厳しくなった関係で、運転免許証にも本籍地は表示されなくなったので、変わった本籍地を人に見せて驚かす楽しみは減ったかもしれません。

本籍を変えることのデメリット

一方で、本籍地を変えるとデメリットもあります。戸籍には附票というものが付属しており、附票には新しく本籍を定めたとき以降の住所の移り変わりが記録されていますが、 本籍地を変えてしまうと、1つの戸籍の附票ですべての住所の移り変わりを証明できなくなります 

また、本籍地を移すと、元の本籍地のある市区町村役所・役場には、除籍簿というものが150年間保管されることになります。

相続手続きの際には、現在の本籍地の戸籍だけでなく、過去に本籍地だった所からも除籍簿を取り寄せる必要があるため、何度も本籍地を移している人が亡くなった場合は、残された遺族が除籍簿の取り寄せるのに苦労すこととなります。

まとめ

引っ越しをしたと場合も、本籍を移すことは義務ではありません。メリット、デメリットを比較して、どうすべきか検討してみましょう。