仕事や家族の都合などで、どうしても夜に引っ越しをしたいという人もいます。ここでは、夜間・深夜の引っ越しの対応業者や注意点ついて解説します。
夜は何時まで引っ越せる? 引っ越し業者の対応時間
「仕事の都合で日中はどうしても引っ越しの時間が取れない」
「配偶者や恋人による暴力(DV)から逃れたい」
「転居先を知られたくない理由がある」
何らかの理由で、夜中にこっそり引っ越したいという方もいることでしょう。こうしたニーズに応えてくれる引越会社はあるのでしょうか?
大手の引っ越し業者の場合、引っ越しの作業時間帯によって「午前便」、「午後便」、「フリー便」があり、フリー便は料金が割安になる代わり、他の引っ越しとの関係で作業が夜間にずれ込んでしまうこともあります。
しかし、利用者の側から希望で、夜間の引っ越し申し込みができる引っ越し業者は限られています。夜間の引っ越しを簡単に! というわけにはなかなかいきません。
21時までに搬入を終えるが一般的
多くの引っ越し業者は、荷物輸送中の交通渋滞や事故など不慮の事態でもない限り、遅くとも21時ごろまでに新居への荷物搬入を終えるのが一般的です。
日本通運の「引越し単身パックの場合」は、4つの時間帯が選べますが、最も遅い「夜間」は18時から21時まで。この最終の時間帯を選ぶと、夜間配達扱いとして、1ボックスあたり2,000円の追加料金がかかります。
●日本通運の引越し単身パック 配達時間帯
1 | 午前:9:00~12:00 |
2 | 午後:12:00~16:00 |
3 | 午後: 16:00~18:00 |
4 | 午後: 18:00~21:00 ※ |
※18:00~21:00 の夜間配達については、1ボックスあたり 2,000円の追加料金がかかります。
一部の引っ越し業者は、夜間の引っ越しが可能であると明言
そうした中で、一部の引っ越し業者は、利用者側から夜間を選んで引っ越し作業ができるところもあります。
たとえば、アーク引越センターの公式サイトでは、夜間の引っ越しについて、下記のように書かれています。
Q. 夜間の引越しもできますか?
A. 可能です。お客さまのご要望に極力そえるよう努めますので、ご相談ください。引用:よくある引越しQ&A 運搬編(アーク引越センター)
夜間や深夜の時間帯を専門とする引っ越し業者も
また、夜間や深夜の時間帯専門で引っ越しを請け負う会社もあります。
こうした時間帯を希望する利用者には特別な事情があることも多いので、深夜作業に伴う騒音への配慮や秘密厳守などをうたっているところもみられます。
深夜専門の引っ越し業者のなかには、「夜逃げ屋」(!)を名乗る業者もあります。
忘れてはいけない夜の引っ越しの注意点
深夜は料金が割り増しになる
引っ越し時間を指定しない「フリー便」を使った引っ越しが夜間になった場合は例外ですが、夜間や深夜の時間を指定して引っ越しをしようとすると、料金は割高になるのが一般的。
引っ越し業者がスタッフに支払う賃金自体、労働基準法により、23時以降の深夜勤務では25%増しになります。
騒音対策など特殊な作業内容も求められるので、引っ越し料金が割高になるのは、当然といえば当然ですね。
集合住宅の管理規約で引っ越しできない場合も
注意が必要なのが、マンションなど集合住宅での夜間引っ越しです。
集合住宅の場合、管理規約で夜間の引っ越し作業が禁じられているところがあります。
たとえ禁止されていなくても、管理人が昼間しか常駐しないマンションもあるので、夜間は入り口のオートロック開放などの便宜を図ってもらえず、作業に支障が出ることがあるので、事前に確認しましょう。
近隣への迷惑に配慮を
夜間や深夜は、近隣の家庭も在宅していることが多く、就寝時間帯ともなると騒音で迷惑をかける恐れがあります。
あとあと住みづらくなるのを防ぐためにも、近隣の住人にはあらかじめ夜間・深夜の引っ越し作業になる旨を伝え、挨拶しておくことが必要です。
また、新居への荷物の搬入が深夜になる場合、近隣への迷惑を考えて、荷ほどきは夜が明けてからにしましょう。
マナーを守った引っ越しを心掛けてください。
電気と鍵の手配は昼のうちに
夜間の作業には照明が必須です。
電気が通電していないと作業ができないので、新居に荷物を搬入することを考え、昼間のうちに電気の開通手続きを済ませ、照明器具が使える状態にしておきましょう。
旧居からの荷物搬出の際も照明が使えるように、電力会社への解約手続きは翌日以降にする必要があります。
もう一つ、忘れてはいけないのが「新居の鍵」。
新居の鍵は入居日に不動産屋や大家さん、管理人から手渡されるのが一般的ですが、昼間のうちに忘れずもらっておくようにしましょう。
交通手段の確保を
公共交通機関が止まってしまう深夜の作業の場合、交通手段はマイカーやタクシーを利用するなど、自分で確保する必要があります。
なお、引っ越し業者のトラックに乗せてもらうことは、原則としてできません。
これは引っ越し業者が「貨物を運ぶ事業者」だから。
「貨物自動車運送事業法」にも定められており、道案内など、特殊な事情を除いて、人を運んではいけないことになっています。
夜間・深夜対応が可能な引っ越し業者の一例
アーク引越センター |
全国の引っ越しに対応しており、利用者の要望により夜間の引っ越しも可能です。 |
引越のケーワイ |
夜専門の引っ越し業者で、深夜の引っ越しに対応しています。 関東・中部・近畿地方がサービスエリア。 申し込み当日の引っ越しや、夜間の直行便や荷物の一時保管も可能で、秘密厳守を掲げています。 |
プレミアムストレージサービス(株式会社チトセ) |
首都圏を中心としたエリアに対応。 24時間対応をうたっており、緊急の引っ越しも受け付けています。 公式サイトによると、夜間作業に伴う騒音を出さないよう、静音台車、底の柔らかい靴、手話による作業指示などの対策を取っているとのこと。 DVやストーカーの加害者に転居先を知られないよう配慮した移転先秘匿引っ越しのサービスも行っています。 なお、深夜帯の引っ越しについては「日中のお引っ越し料金の2倍〜3倍のご料金」がかかるとされています。 |