引っ越しの際のテレビの梱包。自分でやるのはどこまで?

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引っ越しの際のテレビの梱包

最近は液晶や有機ELの価格が下がり、4K放送が始まったこともあって、各家庭のテレビは大画面化しています。大画面テレビは重量がある上、精密機器であり、画面も割れやすいので、気をつけて運びたいもの。今回は引越しの際のテレビの梱包について解説します。

テレビを梱包するのは自分? 引っ越し業者?

大画面テレビを含む大型の家電や家具の梱包は、主な引越会社では基本サービスに含まれています。このため事前に自分で梱包しなくても、引越し当日にスタッフが梱包してくれますので、安心して任せましょう。ただし配線などは自分で取り外して、梱包できる状態にしておく必要があります。

お持ちのテレビが引越会社の梱包サービスの対象になるか分からない場合は、訪問見積もりの際などに確認しておきましょう。

自分でテレビを梱包することになった場合は、購入時の外箱に梱包するのがベストですが、外箱はかさばるので保管している人はあまりいないことでしょう。また、大画面テレビは、外箱に収納する際はテレビスタンドを取り外さなくてはならない場合もあり、かなりの重量があるので1人ではできない面倒な作業です。

外箱がない場合は、衝撃緩衝材を巻き付けた上で毛布にくるむなどして厳重に梱包しましょう。また、薄型テレビは倒れやすく、輸送中のトラック内で倒れたり他の家具とぶつかったりした拍子に画面が割れたりひびが入ったりする恐れがあるので、引越会社のスタッフに荷物がテレビであることを伝え、トラックの荷室内で転倒しないよう固定してもらいましょう。

テレビ用梱包資材とプロの養生

液晶やプラズマ、有機ELなどの薄型テレビは、精密機械であるため、持ち運びには慎重な取り扱いが必要な上、画面のガラスはちょっとした衝撃で割れてしまうこともあります。運ぶ際に、液晶画面に触れるなどはご法度ですので、画面に触れないように、テレビの枠の下部分を持つようにしましょう。

実際にスタッフが購入した際にテレビが入っていたダンボールにも「画面を握らない」という注意書きが

また、大画面のテレビだと重量もかなりあり、1人では持ち運べません。このため引越会社では解消材などを使ってテレビに損傷が生じないよう慎重に梱包します。引越会社の中には、テレビ用の使い回しできる梱包資材をあらかじめ用意しているところもあります。また重量物であるため、移動させる際に床や廊下を傷つけないよう養生もしています。

引越会社のテレビケース

アート引越センターの場合は、下記のサイズで薄型テレビ用のケースがあり、引っ越し当日に作業員の方が梱包してくれる仕組みです。

サイズ 全メーカー薄型テレビ(32インチ~52インチ)
費用 無料
(レンタル・引越当日当社作業員にて梱包)
主な特徴 反復資材で資源節約/
運搬時における画面への負荷防止/運搬時の転倒防止/運搬時のホコリ・チリ侵入抑制

出典:テレビケース(アート引越センター)

動画で見るテレビの運搬準備・梱包方法

サカイ引越センターでは、テレビの梱包の様子を動画で紹介しています。どこまでを自分たちが行えばよいのかもわかりやすく説明されているので、気になる方はチェックしてみましょう。

これだけは自分でやっておこう。テレビ輸送の下準備

テレビの梱包は引越会社に任せられるとしても、アンテナ線や録画機などのコードの脱着や引越し先での受信チャンネルの再登録は自分で行う必要があります

また、壁掛けにしている場合の取り外しや設置も、専用部品や工具が必要な場合があり、引越会社のスタッフではできないこともあります。これについては引越会社に事前に確認しておきましょう。

コード類は事前に外しておく

引っ越し当日にスタッフがスムーズにテレビの梱包作業に取りかかれるように、事前にコード類はすべて外しておきましょう。どのジャックにどのプラグを接続していたかわかるように、テレビとコードの双方に記号や番号を記載したラベルやシールを貼っておくと便利です。アート引越センターなど、一部の引越会社では配線用のシールを準備していることころもあります。

取り外したコードはテレビのリモコンと一緒の箱に梱包しましょう。

テレビの受信に必要なB-CASカードは引越し先でも使えるので、テレビに挿入したままにしておいても大丈夫です。輸送の際の振動で抜けないか心配な場合は、テープで固定しておきましょう。

DVDなどのディスクは自分で梱包

DVDやブルーレイなどの録画ディスク類も自分で梱包します。割れ物なので緩衝剤を使用し、梱包した段ボールには割れ物である点を注記しておきましょう。

運搬でテレビが故障? あとで慌てないために

プロである引越会社のスタッフがテレビの梱包、輸送を行った場合でも、輸送中にテレビが損傷する場合がないとはいえません。

輸送中の事故への補償については、国土交通省が定めたモデル約款の「標準引越運送約款」に定められています。多くの引越会社はこの標準引越運送約款をそのまま個別の契約に使っていますが、大手でも一部の会社は独自に約款を定めているところがあるので、補償の内容が不明な場合は契約書面の約款を確認しましょう。

故障の申告は3ヵ月以内に!

標準引越運送約款では、たとえば輸送中に画面が割れたり本体に傷が入ったなどの損傷が生じた場合には、引越し会社側は自らに過失のなかったことを証明しない限り、補償する責任を負うことになっています。ただし、引越会社が責任を負うのは、荷渡し日から3カ月以内に利用者から通知を受けた場合に限られます。

内部故障の発生の有無は現場で確認

問題なのは、外から見てわからない故障が発生した場合です。たとえば、引越し先で電源を入れたところ何も映らないとか、画面に色むらや液晶のドット欠けが生じたとか、内蔵ハードディスクやブルーレイディスクドライブが動作しなくなった、といったケースが考えられます。

引越会社に損害を賠償させるためには、故障が引越会社による梱包や輸送などの作業が原因で発生したことを、利用者側が立証しなくてはなりません

そのためには、引越し当日に引越会社のスタッフがテレビの梱包作業を始める前に、電源を入れて正常に動作することを確認してもらったうえで、引越し先でもテレビの荷解きが終わったらすぐにスタッフ立ち会いのもとで電源を入れて動作確認すること、その証拠を写真や録音などの記録に残しておくことが重要です。

それでも、引越し後しばらくたってから症状が表れることもあり、そのような場合は故障原因の因果関係がわかりづらいため、立証が難しくなります。

パソコンのデータは補償されません

パソコン内のデータについては、補償がされないため、あらかじめ自分でバックアップする必要があります。ノートPCなどの場合は、自分で運ぶという方法も検討しましょう。

パソコンなどの配線は、お客様で取り外し、取り付けをお願いしております。また外損のない内部故障は補償しかねます。特にパソコンは、データのバックアップを必ずしておいてください。データの補償は、いかなる場合もいたしかねますので、ご了承いただきますようお願いいたします。

引用: パソコンなどの精密機械の梱包や輸送もお願いできますか? (サカイ引越センター)

引越しに伴う電化製品の故障をめぐっては、テレビのほか、パソコンの不具合などもトラブルになりがちです。万一の場合に備えて、証拠を残すなど防衛策を講じておきましょう。また各社の約款の内容も、契約前にじっくり検証した方がよさそうです。