引っ越し当日の作業員への心づけ。あるとないとで違いはある?

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かつては引越会社の作業スタッフに「心づけ(チップ)」を渡したり食事の用意をしたりすることが広く行われていましたが、最近ではそうした風習もなくなりつつあるようです。

心づけを渡すと渡さないとでサービスの質に違いはあるのでしょうか。また、渡すとすればいくらぐらいが妥当な金額でしょうか。

大手引っ越し会社では受け取らない決まりに

心づけ(チップ)とは、正規の料金とは別に、引っ越し当日の作業を行うスタッフに謝礼として渡すお金のことです。

日本では欧米と違ってチップの習慣はあまりありませんが、それでもかつては引っ越しのときのほか、料亭や旅先で宿泊する旅館の仲居さんなどに心づけを渡すことはあり、それによって特別な便宜を図ってもらえることもありました。

ただ、こうした習慣も、少なくとも引っ越し業界では時代の変化とともに徐々に廃れつつあるようです。

いくつかの会社が心づけを渡したかどうかをアンケート調査しており、それぞれの結果にはかなりの違いがありますが、引っ越し業者の作業スタッフに心づけを渡していない人が、だいたい3割から半数ぐらいになっているようです。

大手引っ越し業者の公式サイトをみると、心づけについてはどこの会社も不要と明記しており、中には、渡されても受け取らないと宣言しているところもあります。

日本通運の場合

日本通運は、受け取らないことを宣言している会社のうちの一社です。

すべてお断りしていますので、お気遣いいただかないようお願いします。
以前は、引越しの作業スタッフに、労いの意味を込めて心づけを渡すといった風習が残っていましたが、最近では、そういった風習もなくなってきております。また、現在は、引越しを少しでも安く、信頼できる会社に頼みたいという消費者心理から、複数の引越会社に見積もりを依頼して検討されることが一般的になっており、当社としては、数ある引越会社の中から選んでいただいたことだけでたいへん有難く、感謝して作業にあたっております。

引用:作業スタッフの方に、心づけや食事の用意をした方がよいですか?(日本通運)

「以前は、引っ越しの作業スタッフに、労いの意味を込めて心づけを渡すといった風習が残っていましたが、最近では、そういった風習もなくなってきております」との明記もあり、心づけを渡すのが一般的ではなくなってきたことも説明しています。

アーク引越センターの場合

アーク引越センターも「アーク引越しセンターでは心づけ拝辞をしております」と、受け取らない旨を明言しています。

その他の引っ越し業者も不要という明記が主流

他の引っ越し業者も、心づけや食事の用意については「当社引越作業スタッフへの心遣いは必要ございません」(アート引越センター)、「当社のスタッフにそのような心遣いはご不要です」(サカイ引越センター)などとしています。

いずれも「よくあるご質問」欄にこのQ&Aが記載されているのを見ると、利用者が心づけを渡すべきかどうかでいかに迷っているかが、よくうかがえます。

ともかく、大手引越会社に関する限り、心づけを渡さなかったからといって引っ越し作業が手抜きになるようなことはないので、その点は安心してよいでしょう。

心づけを渡すタイミングや金額は

それでも作業スタッフに感謝の気持ちを伝えるため心づけを渡したいという場合には、引っ越し作業開始の前にスタッフ全員がそろったところで渡すとよいでしょう。

スタッフ1人あたりの心づけの金額は1000円程度、だいたい昼食代相当分ぐらいが相場のようです。裸で渡すのは失礼なので、それぞれの分をポチ袋に入れ、代表の人にまとめて渡しましょう。

引っ越し業者によっては、作業スタッフに心づけの受け取りを禁止しているところもあります。

規則で受け取れないスタッフにむりやり心づけを渡そうとしても、押し問答になってぎくしゃくしてしまいます。受け取りを断られたらすんなり引きましょう。

差し入れで感謝の気持ちを伝えるのもOK

引っ越し業者の内規で心づけを受け取れない場合でも、単価100円程度の缶コーヒーやお茶などの差し入れであれば、抵抗なく受け取ってもらえるでしょう。

暑い時期であれば冷たい飲料を、冬場であれば温かいものを差し入れすれば、喜んでもらえるはずです。

差し入れのドリンク類を渡すタイミングは休憩しているとき。仕事中に渡しても作業の邪魔になるだけなので気をつけましょう。

昔は引っ越しの作業スタッフに昼食の弁当を差し入れることもよく行われていましたが、現在では作業スタッフの弁当はあらかじめ手配済みであることが多いので、やめておいた方がよいでしょう。

まとめ

心づけは、あくまでも気持ちであり、必ず必要なものではありません。
とはいえ、引っ越し業者のスタッフは、あなたの大切な荷物を運んでくれる人たちです。

お互いに気持ちよく引っ越しができるように、感謝の気持ちを伝えるといいかもしれませんね。


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