女性が一人暮らしをする際、安全に引越しするために、何を重視しているのでしょうか? 新居を探すに当たって、マンションやアパート自体、部屋のつくりも気になりますが、防犯面から建物自体の構造や防犯設備だけでなく、周辺の地域環境にも十分注意する必要があります。物件探しから、安心・安全のコツを押さえておきましょう。
女性は一人暮らしで「治安の良さ」や「階数」を重視
ネット調査会社インターワイヤードが2016年に行ったアンケート調査によると、一人暮らし用の新居を選ぶに当たって重視した点として、女性のうち30.0%の人が「治安の良さ」、30.5%の人が「階数(2階以上)」、13.2%の人が「洗濯機置き場が室内か」を挙げています。
男性でこれらの項目を選んだ人の割合はそれぞれ16.0%、13.1%、6.8%にとどまっているのと比べると、一人暮らしの女性がいかに新居選びで防犯面を重視しているかがわかります。
集合住宅でも、住戸が1階にあると、ベランダから侵入されやすく、また洗濯機が屋外にあると洗濯物の下着を盗まれやすい点が不安なのでしょう。もっとも、建物の2階程度であればベランダから不審者の侵入を受けた実例もあるので、女性の場合は、心配ならばできる限り高層階に住んだ方が安心できそうです。
安全な引越しは、安全な物件探しから
引越し先の物件を探すに当たっては、建物周辺の地域環境にも十分注意しましょう。警視庁の集計によると、痴漢などの強制わいせつ事件が最も多く発生している場所は、屋外の道路上・公園で、31.4%と全体の3割を占めています。
強制わいせつの場所別発生状況
場所 | 割合 |
中高層住宅 (4階建て以上の建物) | 15.4 % |
その他の住宅 | 9.2 % |
一戸建て住宅 | 3.1 % |
道路上・公園 | 31.4 % |
駐車(輪)場 | 1.8% |
ホテル・ラブホテル等 | 1.5% |
電車内 | 15.5 % |
その他 | 22.0 % |
出典:都内における性犯罪(強制性交等・強制わいせつ・痴漢)の発生状況(平成29年中/警視庁)
これから住もうとする建物自体のセキュリティーがしっかりしていても、通勤・通学や買い物などで毎日通る道が安全でなければ、とても安心はできませんよね。物件を決めるまえに、候補エリアの治安がどうなのか、きちんと確認しておきましょう。
引越し先の治安を確認する方法
とはいえ、治安の確認はどのように行えばいいのでしょうか? これから住もうとする地域の治安状況を確認する方法のひとつとしておすすめなのが、全国の各都道府県警ごとに作成している犯罪発生マップの活用です。
これらのマップには、各都道府県警が認知した侵入盗や自動車盗、路上犯罪、不審者の声かけ事案などの発生場所が記載されており、住みたい場所の治安を確認する一つの手がかりとなります。
各都道府県警の犯罪マップは、新聞販売店でつくる全国読売防犯協力会のウェブサイト「ぼうはん日本」に犯罪マップが掲載され、都道府県別のリンクが張られているので、参考にしてみてください。
都内在住なら警視庁のスマホアプリ「Digi Police」も活用可能
東京都内の情報については、警視庁が配布しているスマートフォン用防犯アプリ「Digi Police」も活用可能です。iOS版とAndroid版が配布されており、地域ごとの犯罪発生状況を見られるだけでなく、事前に自分が確認したい市区町村を登録しておくと、そのエリアで犯罪が起こると「◯月×日(曜日)午後◯時×分頃、◯◯区××丁目付近でオートバイ利用のひったくりが発生」というように、アラートを届くようにすることも可能です。
「防犯ブザー」画面を開いて、画面をタップすると、ブザーが鳴る仕組みや、「子どもと女性の安全」コーナーでは子どもや女性のための防犯対策情報が載っているので、都内在住以外の方も一度チェックしてみてもいいかもしれません。
物件の周辺状況は日中だけでなく夜間もチェック
安全面だけを考えれば、早い時間に帰宅できるのが理想ですが、時には残業や飲み会などで帰宅するのが深夜になることもあるでしょう。
帰宅経路の夜道が安全かどうか確認するため、内見をしてもいいなと思う物件を見つけたら、日中の内見だけで決めるのではなく、夜間にも、建物の周辺状況や駅からの道筋をチェックしましょう。
不動産業者の車に乗せてもらって現地まで行っただけでは、こうした点はわかりません。実際に物件から最寄り駅までの歩いてみて、人通りの多さや街灯の明るさ、家までの道のりに暗がりやガラの悪い人のたまり場がないか、いざというときに駆け込める交番の位置などを確認してみましょう。