所得証明書(課税証明書)にはどんなことが記載されているのでしょうか。今回は、その記載内容や見方について説明します。
所得証明書、課税証明書、納税証明書はどう違うの?
賃貸マンションの入居審査や、マンション購入のローン審査などで必要となる収入を証明する書類。所得証明書、課税証明書、納税証明書など、必要だと言われる書類の名前がいろいろあって、混乱したことはありませんか? 今回は、それぞれがどんなものなのか見ていきましょう。
所得証明書(課税証明書)
所得証明書(課税証明書)は、住民税の課税額と、その基準となる前年の所得額について証明する書面で、市区町村が発行するものです。市区町村によって、所得証明書と呼んでいるところと課税証明書と呼んでいるところ、両方を発行するところとさまざまですが、所得証明書と課税証明書は基本的には記載内容は同じです。課税証明書しか発行していない場合でも、これを所得証明書として使用することができます。
所得が一定以下の場合は「非課税証明書」が発行
所得が一定以下の場合などには住民税は課税されませんが、その場合は非課税証明書が発行されます。非課税証明書は、課税証明書と内容は同じですが、課税額が0円(非課税)となっており、証明書のタイトルも「非課税証明書」となっている点が違います。
税金を申告していないと証明書発行はされないので注意
所得証明書(課税証明書)、非課税証明書のいずれの場合も、申請者が何らかの形で税の申告をしていないと、市区町村としては所得を把握する資料がないため、これらの証明書を発行することができません。証明書の発行を受けるには、所得が一定以下で住民税を支払う必要がない人であっても、自分で確定申告をしているか、あるいは勤務先から申告が行われている必要があります。
納税証明書
一方、納税証明書とは、申請者が実際に納税した金額を証明する書面です。融資の審査などの際には、この納税証明書の提出を求められることもあります。
税務署発行のものと市区町村発行のもの
納税証明書には、税務署が発行する「納税証明書その1・その2」という所得税の納税額を証明する書面と、市区町村が発行する住民税の納税証明書があります。
このうち、「納税証明書その1・その2」を取得できるのは、税務署に確定申告と所得税の納付をした人のみです。サラリーマンなど、所得税を勤務先の給与から源泉徴収されて支払っている人は、取得することができません。
一方、住民税の納税証明書は、市区町村に住民税を納めた人であれば誰でも取得できます。
納税証明書は、実際に税金を納めたことを証明する書面なので、当然ながら、所得税や住民税が未納の場合には交付を受けることができません。
所得証明書(課税証明書)の見方
所得証明書(課税証明書)の細かい様式は市区町村によって異なりますが、以下のような項目が記載されている点は共通しています。
●証明書の年度 |
タイトル部分に「令和○年度課税(所得)証明書」というふうに、証明する年度が記載されています。注意すべきは、証明されるのは前年の所得であるという点です。たとえば、「令和元年度」の証明書の場合、前年の平成30年(2018年)の所得が証明されます。 |
●証明の対象者の宛て名 |
氏名と現住所のほか、賦課期日の住所(1月1日時点の住所)も記載されています。住民税は1月1日時点で住んでいた自治体から課税されるためです。 |
●証明する所得の期間 |
令和元年度(2019年度)の証明書であれば、「平成30年中の所得(平成30年1月1日〜平成30年12月31日の所得)」などと記載されています。 |
●所得の内訳 |
サラリーマンなどの給与所得者であれば、「給与収入金額」と、そこから給与所得控除を差し引いた「給与所得」のそれぞれの金額が記載されています。給与所得以外の所得(営業所得、不動産所得、雑所得など)がある場合は、その金額も記載されています。 |
●所得控除の内訳 |
医療費控除や社会法見料控除、生命保険料控除、扶養控除、基礎控除といった項目が記載されています。 |
●課税標準額 |
所得の合計から所得控除を差し引いた金額(課税標準額)が記載されています。 |
●年税額 |
住民税の年税額(その年度の課税額)とは、課税標準額に応じて金額のランクごとに税率を適用し、そこから税額控除(ふるさと納税や住宅ローン控除など)を差し引いた金額です。都道府県民税と市町村民税(東京23区の場合は特別区民税)のそれぞれについて、定額部分の「均等割」と、所得に応じて課税される「所得割」の金額と、それらを合計した年税額が記載されています。 |