熱帯魚は急激な環境変化に弱いので、引越しで運ぶ際には十分な事前準備と注意が必要です。引越業者の多くは熱帯魚の輸送には対応していません。近距離・短時間の移動であればクーラーボックスやバケツなどに入れてマイカーで運ぶ手もありますが、長距離の移動の場合は、熱帯魚に対応しているペット専門輸送業者に任せた方が安心です。
引越し業者の水槽・熱帯魚運搬の対応
引越会社では、ペットの搬送可能な業者でも、熱帯魚や水槽の搬送に対応している業者はあまり多くありません。大手でも、日本通運、サカイ引越センターなどでは熱帯魚は運べませんので、熱帯魚を飼っている方は、引越会社が対応しているかどうか、事前確認をしましょう。
熱帯魚輸送に対応している引越会社には以下のようなところがあります。
引越会社 | 熱帯魚輸送 |
アート引越センター | 可能。引越荷物とは別送。 長距離の場合は航空便対応可。 ※魚の種類によっては運搬不可。 |
ヤマトホームコンビニエンス | 地域によって可能。 引越荷物とは別送。 |
ハート引越センター | 可能。 専門ノウハウを持つ輸送スタッフ 担当。 |
キタザワ引越センター | 可能。 ペット輸送専門の会社と提携 。 |
専門輸送業者での熱帯魚の輸送方法・料金は?
引越業者が熱帯魚輸送に対応しておらず、自分でも運べない長距離の場合は、熱帯魚に対応したペット専門輸送業者に依頼することになります。
専門輸送業者のひとつ、おさかな引越しセンターの「おまかせプラン」を例に、作業内容をみてみましょう。
おさかな引越しセンター「おまかせプラン」
作業はすべて業者のスタッフが行い、当日は、飼育水と生体を運搬用のバケツに移し、水槽の機器類を取り外します。生体はバケツに携帯用エアレーションで酸素供給しながら運びます。飼育水も可能な限りすべて持って行きます。水槽本体は梱包した上で積み込みます。
新居では、スタッフが指定された場所に水槽を設置し、機器類やレイアウトを再セッティングした上、運んできた飼育水を注水し、最後に生体を水槽に入れます。元の飼育水をそのまま使うので、生体への影響は最小限に抑えられます。
同社の基本料金は、生体のパッキングから水槽の解体、輸送、再セッティング、生体投入まですべてやってもらえる「まるごとプラン」の場合、水槽の大きさによって、2万2000円(幅30×奥行き30×高さ30㎝、水量30リットルまで)から12万3000円(幅180×奥行き60×高さ60㎝、水量650リットル)まで5段階に分かれています。
本社のある東京都杉並区浜田山から半径30㎞以内の引越しであれば、基本料金だけで済みます。出発地または到着地が片道30㎞を超える場合は、超過1㎞につき100円の加算料金がかかります。
熱帯魚の引越し前の準備
熱帯魚や水槽を自分で運ぶ場合でも、業者に依頼する場合でも、いくつかの事前準備が必要です。
水槽の水温を常温に近づける
まず、熱帯魚はゆっくりした温度変化には順応できますが、急激な変化には弱いため、ヒーターなどで水槽の温度管理をしている場合は、1週間程度かけて水槽内の水温を少しずつ常温に近い温度に変えていき、熱帯魚を慣らします。
水替え頻度をあげて、魚を水替えに慣らす
また、新居ではどうしても水槽に新しい水を入れる必要があるので、普段あまり水槽の水替えをしていない人は、引越し日の1カ月ぐらい前から水替えの頻度をすこしずつ上げていくことで、魚が水替えに慣れ、引越しに伴う新しい水によるストレスが軽減されます。
前日はえさを与えず絶食させる
引越しの前日からは魚にえさを与えず、絶食させます。これは、運搬中に狭いビニール袋の中の水質悪化を防ぐため、魚にふんをさせないのが目的です。1~2日程度えさをやらなくても、魚の健康には影響ありません。
引越し当日の作業(自分で熱帯魚を運ぶ場合)
自分で熱帯魚や水槽を運ぶ場合、それまで使っていた水槽の飼育水は捨てずに、ポリタンクなどに詰めて新居に持って行きましょう。
魚は網で救って、水槽の飼育水と一緒に、二重にしたビニール袋に入れで輪ゴムで口を閉めた上、発泡スチロール箱やクーラーボックスに入れて運びます。水温保持のため、夏は保冷剤、冬は携帯カイロを一緒に入れます。
輸送中はときどき、アウトドアショップなどで売られているスプレー缶入り酸素をビニール袋の中に噴射し、酸素を補給してやります。
近距離・短時間の引越しであれば、バケツなどの容器に直接魚と飼育水を入れ、電池駆動のエアポンプで酸素を供給しながら運ぶやり方でも大丈夫です。
引越し先では運んできた飼育水を新しい水と共に水槽に入れます。それまでの環境の飼育水を入れることで、魚のストレスを緩和することができます。
えさは引越し当日は与えず、翌日以降、魚の様子を見ながら徐々に与えていくようにしましょう。