引越し時の手続きも便利に! マイナンバーカードの申請方法

  • LINEで送る
マイナンバーカード申請

引越しの際には役所でのさまざまな届け出や電気・ガス・水道の解約・契約など、たくさんの手続きが必要ですが、2019年5月24日、行政手続きを原則電子申請に統一する「デジタルファースト法」が参院本会議で可決、成立しました。これにより、マイナンバーカードを使ってこれらの手続きをスマホやPC経由でネットでできるようになり、わずらわしさが大幅に軽減されそうです。そこで改めてマイナンバーカードを取得するための手続きを解説します。

マイナンバー(個人番号)とは?

そもそも、マイナンバー(個人番号)や、マイナンバー制度とは何でしょうか? マイナンバー制度は、1人1人の国民に12桁の番号を割り振り、社会保障、税、災害の3分野で、複数の機関にまたがる個人情報が同一であることを速やかに特定できるようにしたシステムです。

日本に住民票のあるすべての方が対象となるため、外国人でも市区町村に住民登録をしていれば番号が割り当てられます。行政の効率化や国民の利便性向上などを目的に、2016年導入されました。

マイナンバーと、これにひも付けられた個人情報は、市区町村の役所・役場が管理しています。この情報を、法令で定められた一定の場合にネットワークを通じて行政機関などの間でやりとりします。

制度導入時には、このような「国民総背番号制」が超管理社会化を招いたり、サイバー攻撃などで情報漏えいして個人情報が悪用されたりする恐れがあるのではとの懸念も出ていました。こうした声に配慮して、マイナンバーを使って行う行政事務が、社会保障、税、災害対策の3分野に限定された経緯があります。

デジタルファースト法成立で引越し手続きはいち早くラクに

政府は今後、国民の理解を得たうえで、マイナンバーの利用範囲を拡大することを目指しており、行政手続きを電子申請に原則統一する「デジタルファースト法」が、2019年5月24日に衆院本会議で可決、成立しました。

デジタルファースト法の恩恵をいちはやく受けるのは、引越し手続きや法人設立関連の手続き。引越し手続きでは、19年度中に、住民票の移転手続きの際に入力した氏名や住所が、水道、ガス、電気といったライフラインの契約に使われるようになります。

「通知カード」と「マイナンバーカード」

マイナンバーの「通知カード」と「マイナンバーカード」は、同じものだと混同されることがありますが、この2つは別のものです。

住民登録されている全員に届く「通知カード」

マイナンバー制度施行に伴い、2015年11~12月ごろ、各市区町村に住民登録しているすべての人に送付されたのがマイナンバーの「通知カード」。これは各個人のマイナンバー(個人番号)や氏名、住所などが記載された紙のカードで、世帯主宛てにその世帯全員分のカードが届いています。

ただし、身分証明書として利用できる「マイナンバーカード」と異なり、「通知カード」には顔写真がなく、「通知カード」だけでは身分証としては利用できません

また、デジタルでの手続きを推進するために、行政の手続きを電子申請に統一することを原則とする「デジタルファースト法案」公布後1年以内には、「通知カード」の発行・更新が廃止される予定です。

申請が必要な「マイナンバーカード」は身分証として利用可能

「マイナンバーカード、私はもってない…」という方、「マイナンバーカード」は、通知カードとは違って、希望して申請した方のみに発行されています。ICチップを内蔵した顔写真入りのプラスチックカードで、身分証明書としても使うことができます。

現在は、マイナンバーカードを使えば、コンビニエンスストアの端末で住民票の写しや印鑑証明などの各種証明書を取得できるほか、「マイナポータル」というサイトを通じて子育てに関する各種手続きを行うことも可能です。

自治体によっては、認可保育所の利用申請や児童手当の受給手続きなどができるところもあります。民間でも一部の銀行では、マイナンバーカードを使って印鑑なしで口座を開設できます。

ただ、マイナンバーカードの普及率は2019年4月時点で約13%と低水準にとどまっているのが実情。日本は世界と比べても電子化が遅れていて、行政手続きのうちデジタル化されているのは1割程度であることから、デジタルファースト法案によって、できる手続きも増やし、マイナンバーカードの普及も後押ししようというわけです。

マイナンバーカードの用途拡大へ

政府は2019年度以降、法改正を経てマイナンバーカードの用途を拡大することを目指しています。

情報通信技術を活用した行政の推進の基本原則
デジタルファースト:個々の⼿続・サービスが⼀貫してデジタルで完結する ②ワンスオンリー:⼀度提出した情報は、⼆度提出することを不要とする
コネクテッド・ワンストップ︓⺠間サービスを含め、複数の⼿続・サービスをワンストップで実現する

出典:デジタル手続き法案について(内閣官房)

「デジタルファースト法」は、上記の原則を掲げ、2019年5月24日に成立しました。こうしたオンライン手続きでは本人確認にマイナンバーカードが使われる予定です。

引越しに関する手間が削減される部分も大きいだろうと期待されており、 手始めに電気・ガス・水道の解約・契約などもオンラインでまとめてできるようになる予定。 このほか、役所での転出・転入届や介護の手続きといった行政の手続きなどもできるようになると期待されています。もっとも、地方自治体についてはデジタルファーストは努力義務とされていますが、今後、マイナンバーカードで引越しの諸手続はラクになっていきそうです。

このほか、2019年秋に予定される消費税増税にあたっても、マイナンバーカードを持っている人には、買い物の際にポイントが還元される予定です。直前になるとマイナンバーカードの申請者も増えることが予想されますので、まだ取得していない方は、いまのうちに手続きをしておくといいかもしれません。

マイナンバーカードの申請・入手方法

では、マイナンバーカードを入手するための申請方法をみていきましょう。

マイナンバーカードはPC、スマホ、まちなかの写真機で申請可能

マイナンバーカードは地方自治体が共同運営する「地方公共団体情報システム機構(J-LIS)」で作成されます。

① 住民票の住所に届いた「通知カード」と「個人番号カード交付申請書」を手元に用意

●紛失した場合は、市区町村の窓口で再交付手続きを

マイナンバーカードの申請には「通知カード」と「個人番号カード交付申請書」が必要です。 どこにあるかわからない…という方、どちらもお住まいの市区町村の役所窓口で発交付可能ですのでご安心ください。 郵送のの場合の「個人番号カード交付申請書」 だけであれば、ウェブからのダウンロードも可能です。

ただし、「通知カード」を紛失した場合には、役所での再交付手続きの前に警察に遺失物届を提出しましょう。受理番号を控えたうえで、役所で再発行の手続きをしてください。なお、「通知カード」の再交付には手数料がかかります。

②郵送、ネット、証明写真機のいずれかで申請

種類内容
郵便「個人番号カード交付申請書」に署名、または記名押印
顔写真添付のうえ郵送
パソコン交付申請用サイトから申請
※申請書ID(交付申請書に記載)、 顔写真データ必要
スマートフォン交付申請書にあるQRコードをスマホで読み取り「申請者専用WEBサイト」にアクセスして申請。
顔写真はあらかじめ撮影したものを使っても、手続き途中でカメラを立ち上げても可
証明写真機お金を入れて交付申請書のQRコードをバーコードリーダーにかざし、画面の指示に従って必要事項を入力顔写真を撮影して申請

マイナンバーカードは、郵送またはオンライン、まちなかの証明写真機で申請が可能です。できあがったカードは各市区町村に納品されるので、それらの役所・役場の窓口で本人確認の上受け取ります。現在は、申請から発行までに1ヵ月半程度かかっています

発行手数料は初回は無料です。更新時に手数料がかかるかどうかは、まだ決まっていません。なお、カードの有効期限は、20歳以上の人は発行日から10回目の誕生日まで、20歳未満の人は5回目の誕生日までとされています。

2019年5月末までは、氏名・住所に変更がない限り、マイナンバー通知カードに同封されている「個人番号カード交付申請書兼電子証明書発行申請書」を使って申請となっていましたが、期限は過ぎてしまいましたので、各市区町村の役所・役場のサイトでダウンロードするか、窓口で受け取ってください。

マイナンバーカードには電子証明書機能が搭載されており、これを使って確定申告などのオンライン申請を行ったり、コンビニの端末で各種証明書を取得したりすることができます。この機能が不要な人は、申請書の「署名用電子証明書 不要」「利用者証明用電子証明書 不要」の各欄にチェックを入れてください。

・マイナンバーカードには顔写真が必須

マイナンバーカードは顔写真付きの身分証明書として機能するものであるため、申請には申請者の顔写真が必要です。

マイナンバーカード顔写真のポイント

OK サイズ:縦4.5cm×横3.5cm
・最近6ヶ月以内に撮影
・正面、無帽、無背景のもの
・裏面に氏名、生年月日を記入
・白黒の写真でも可
NG・顔が横向き
・無背景でない
・正常時の顔貌と著しく異なる
・背景に影がある
・ピンボケや手振れにより不鮮明
・帽子、サングラスで人物を特定できない

宗教上や健康面の理由がある場合

宗教上の理由で顔を一部覆う必要がある場合や、乳幼児、寝たきり、障がいがあるなどの理由で顔写真の撮影がむずかしい場合には、下記のいずれかの対応が可能です。

・お住まいの市区町村に電話し、または来庁して、申請書IDを伝えてください。
・交付申請書の表面の氏名欄に理由を記載して、交付申請書を送付ください。
・個人番号カードコールセンターに電話して、申請書IDを伝えてください。
※各市区町村の窓口で、マイナンバーカードの交付時にご事情を確認させて頂く場合がございます。
顔写真が規格外(暗い、トリミングができない等)である場合や、顔写真以外の理由で不備となることがありますのでご注意ください。

引用:マイナンバーカード 総合サイト

オンライン申請には申請書IDが必要

なお、オンライン申請の場合は、交付申請書に記載の申請書ID(半角数字23桁)の入力が必要になります。交付申請書を紛失してしまった場合は、各市区町村役所・役場の窓口で新しく発行された交付申請書か、「手続き交付申請書」を使って申請してください。

申請書の記載事項に不備がなければ、申請から約1カ月半で、各市区町村役所・役場からマイナンバーカードの発行通知書兼照会書が届くので、受け取り日時を予約の上、窓口に出向いて受け取ります。顔写真や顔認証システムによる本人確認を行うため、受け取れるのは原則として本人に限られます。

マイナンバーカード受け取りに必要な書類

  • 通知カード
  • 交付通知書
  • 本人確認書類

受け取りの際は、発行通知書兼照会書のほか、マイナンバー通知カード、本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)が必要になります。住民基本台帳カードを持っている方は、本人確認書類の代わりに住民基本台帳カードを持参いただき、返納することで引き替えでの受け取りとなります。

なお、受け取りの際、マイナンバーカードに暗証番号を設定します。暗証番号は、カードを使ったさまざまな手続きに必要となるので、忘れないようにしましょう。