特定優良賃貸住宅(特優賃)は家賃補助が受けられるお得な物件ですが、誰でも入居できるわけではありません。
入居するには原則としてファミリー世帯であることに加えて、世帯全員の収入が一定の範囲内に納まっていることなどが要件となります。
今回は、特優賃の入居条件について解説します。
ファミリー世帯しか申し込めない
特定優良賃貸(特優賃)は、安く優良な物件か借りられる制度という認識をされている方も多いかもしれませんが、この制度は本来、子育て世帯の住宅不足解消を目的として設けられたものです。
そのため単身者は入居できず、同居の親族、または同居しようとする親族がいることが入居条件となります。恋人同士での同居や、友人同士でのルームシェアなどもできませんのでご注意を。
申し込めない例
- 単身者(一人暮らし)
- 恋人同士
- 友人同士
- 親族同士でないルームシェア
申し込みに必要な書類
入居申し込みの際には、入居予定者全員の関係を証明する、住民票記載事項証明書などの提出が必要となります。
正式に結婚している夫婦であれば問題はないのですが、内縁関係の場合は、同証明書で世帯主との続柄が「見届の夫」または「未届の妻」と記載されていることなどが必要です。
婚約者と同居する予定で申し込む場合は、一定期間内に入籍し、婚姻受理証明書または、入籍後の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)などの、公的な証明書類を提出する必要があります。
この証明書類を提出した翌月から、家賃補助を受けることができます。
婚約者同士で入居を申し込んだ後に、婚約の相手が変わったり、一定の期限までに入籍しなかったりした場合は、入居資格を失います。
入居すると結婚できなくなる?
一方、大阪府住宅供給公社の管理する特優賃の一部には、単身(独身)でも入居できる住宅もあります。
ただ、独身で入居を申し込んだ人は入居日より3カ月以内は入籍できないという、規定があります。入籍日まで日数がある場合は対象外となってしまうため、ここも注意です。
高額所得者も低所得者も入居できない
特優賃は主として中堅所得層のファミリー世帯を対象に創設された制度です。
このため、入居条件として入居者全体の所得額の上限と下限が定められています。 制度上は原則として、所得が国民全体の中で下から25%から50%の間に収まっていること とされています。
この所得要件については各自治体ごとに基準額を変更することもできますが、制度の趣旨から、 基本的に富裕層と貧困層は入居対象から除かれています。生活保護受給者も入居を申し込むことはできません
大阪府の特定優良賃貸の例
たとえば大阪府住宅供給公社が管理する特優賃の場合、入居を申し込むには、入居予定者全員分を合計した月額所得が15万3000円(または20万円)以上60万1000円以下の範囲内に収まっていることが必要となります。
入居者全員の月額所得の合計 |
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15万3000円(または20万円)以上 60万1000円以下 |
ここでいう月額所得とは、入居予定者全員の年間の所得金額から親族控除額と特別控除額を差し引いたうえ、12で割った額のことです。
入居申し込みにあたっては、入居予定者全員の最新の所得を証明する書類の提出が必要となります。
給与所得者であれば勤務先の源泉徴収票または住民税課税証明書、自営業者であれば確定申告書の控えか住民税課税証明書、年金生活者であれば公的年金等の源泉徴収票など年金受給額が確認できる書類です。
提出が必要な所得証明書
給与所得者 | ・源泉徴収票 ・住民税課税証明書 のいずれか |
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自営業者 | ・確定申告書の控 ・住民税課税証明書 のいずれか |
年金生活者 | ・ 公的年金等の源泉徴収票など |
入居後も毎年所得証明が必要
特優賃では、契約上の家賃は近隣の民間賃貸住宅の家賃相場と同水準に設定されていますが、国や自治体から家賃補助があるため、入居者の家賃負担額は抑えられます。
ただ、 補助額は毎年の所得に応じて変わるため、入居してからも毎年審査があり、そのたびに入居世帯全員の所得を証明する書類を提出する必要があります
入居後に収入が一定の基準を超えるあると、その年度は家賃補助が受けられなくなります。
敷金は必要
礼金は不要ですが、敷金は必要となります。たとえば埼玉県や大阪府の住宅供給公社の特優賃の場合、3カ月分の敷金が必要とされています。
連帯保証人も必要
特優賃では入居にあたり連帯保証人が必要となります。この点は、同じ公的賃貸住宅の中でも連帯保証人不要のUR賃貸住宅とは大きく異なるところです。
連帯保証人の資格
【1】日本国籍または特別永住者、あるいは入管難民法に基づく永住者であること
【2】日本国内に居住しているか、勤務先を有すること
【3】家賃の4倍以上の平均月収があること、あるいは60歳以上であれば、貯蓄合計額が家賃の100倍以上あること
連帯保証人は誰でもよいというわけではなく、上記が資格要件とされています。
連帯保証人になってくれる人がいない場合は、指定の保証会社を使うこともできますが、その場合は保証料がかかります。
国籍要件
入居予定者が日本国籍を持っているか、外国人の場合は中長期在留者または特別永住者の資格を持っていることが必要となります。
指定暴力団の構成員でないこと
民間賃貸住宅の場合も同じですが、入居予定者が暴力団対策法に基づく指定暴力団の構成員でないことも要件となります。
このため、自治体によっては、入居申込者の氏名を警察当局に照会するところもあります。