引っ越しには繁忙期と通常期、閑散期があり、オフシーズンの閑散期にはトラックや作業員の人員に余裕ができるため、料金が割安になる上、引っ越しの日時を自由に選べる余地が大きくなります。引っ越し時期を選べるのであれば、お得に引っ越すには閑散期を選ぶとよいでしょう。
人手不足で、引っ越しの時期選びがますます重要に!
引越業界は現在、ドライバーなどの慢性的な人手不足の状態に陥っています。このため引越し料金も高くなる傾向にあり、2019年春には見積額が中堅運送会社で前年比2~3割上昇したと報じられました。
引越し業界の人手不足は、2018年に労働条件の改善を打ち出した宅配便業界に運転手が大量に流出したことが一因と言われています。また、引越し業界シェアの約1割を占めていたヤマトホームコンビニエンスが料金不正請求問題の発覚で国土交通省から行政処分を受け、引越しの新規受注を停止しているため、その分の引越しを他の業者が引き受けていることも背景にあります。
こうした中、より良い条件で引越しをするためには、引越し件数が少なくなる閑散期を選ぶことが、ますます重要になっています。転勤や入学など、引越し日程が動かしづらい場合は仕方ありませんが、自分の裁量で引越し時期を調整できる方は、繁忙期を避ける引越し計画を立てましょう!
引越しの最大の繁忙期は3月中旬~4月上旬、9月も注意
1年のうちで引越しが最も多くなる繁忙期は、年度が変わる3月中旬から4月上旬にかけての時期です。大手引越会社の場合、年間の引越し受注件数の約3割が毎年3~4月に集中しています。この時期は新年度にあわせた転勤に伴う引越しが多くなるうえ、新入学シーズンでもあるため、どうしても混み合ってしまい、その結果、料金も割高となってしまうのです。
ちなみに、うっかり忘れがちなのが9月。じつは9月は、会社で人事異動がある時期のため、 転勤による引越しが増加する引越繁忙期。料金が割高になるのでこちらも注意しましょう。
どのぐらい割増になるかは業者によって違いがありますが、おおむね通常期の1.5倍から2倍ぐらいになっているようです。
各企業では、引越し業者からの要望もあって、混雑緩和のため転勤の時期を繁忙期の前後にずらす動きも出ていますが、大学などへの新入学に伴う引越しの場合は、合格が決まってから入学までの短期間に引越し先を決めて引っ越ししなくてはならないため、どうしても3月後半に集中してしまいます。
この繁忙期の引越しでは、料金が割高になるだけでなく、早めに引越し予約を入れておかないと、引越しを受注してもらえない「引越し難民」になったり、自由に日程が選べなかったりと、さまざまな制約があるので、早め早めに準備をしましょう。
タワーマンションなどでは、搬入・搬出時間調整も発生
とくに大規模なマンションなどの集合住宅では、同じ日に複数の引越しが入ることもあり、そうした場合にはトラックの駐車場所や荷物の搬入・搬出に使うエレベーターの占用などで作業時間帯が重ならないよう事前の調整も必要になりますので、注意してください。
引っ越しは月末や大安も混雑
なお、春の引越しシーズンほどではありませんが、年間の中では、ゴールデンウイークや8月から9月にかけての時期にも、引越しの件数はやや多めとなります。
また、毎月月末や、金曜日を含む週末にも引越しは混雑する傾向にあります。さらに、引越し日に関しては、縁起を担いで「大安」や「仏滅」を気にする人はいまでも多いため、「大安」の日は混み合うことがあります。
最も引越しが減るのは6月の梅雨時
逆に引越しが最も少なくなる閑散期は、いつなのでしょうか? 毎年ゴールデンウイーク明けから7月にかけての時期、とくに6月の梅雨時です。
雨の日に引越しをすると、荷物の搬入・搬出時に、大事な家具や家電製品、荷物を詰め込んだダンボール箱などがどうしても雨に濡れてしまうので、雨の多い梅雨時が避けられる傾向にあるからです。
実際には、雨の中の引越しでも業者が必要な対策をしてくれるので、それほど心配する必要はありません。あまりにひどい雨の場合は、手数料を支払うことで延期やキャンセルをすることもできますが、6月の閑散期であれば、もともと引越し件数が少ないため、引越し日の再設定もやりやすいでしょう。
引越しの件数は年間を通じて大きく増減するので、引越し業者側としては、この6月を中心とした閑散期にトラックや作業員の稼働率をいかに高められるかが課題となっています。このため、閑散期を選べば、年間の中で最も値引率の大きい格安料金で引越しをすることができます。
月初~中旬の平日もねらい目
このほか、毎月の月初めから中ごろにかけての平日は、比較的引越しの予約が少ない時期となります。また、六曜を気にしないのであれば、「仏滅」の日は「大安」とは逆に引越し件数は少なくなりがちなので、ねらい目ですよ!