引越しで住所が変わるときは、郵便局に転居届を出しておけば、1年間は旧住所宛ての郵便物を無料で新住所に転送してもらえます。ただし、重要な郵便物には本人の所在確認のため「転送不要」と指定されているものがあり、これらは転居届を出しても転送されないので注意が必要です。郵便物の転送について詳しくみていきましょう。
郵便物転送のための転居届の手続き方法
郵便局の窓口のほか、ネットでも手続き可能
郵便局への転居届は、引越し前に最寄りの郵便局に出向いて、備え付けの届け出用紙に必要事項を記入して、窓口に提出しましょう。1枚の届け出用紙で、家族6人まで手続きが可能です。
窓口に行けない場合には、転居届に記入の上、切手を貼らずに郵便ポストに投かんするか、日本郵便のウェブサイト「e転居」で申し込むこともできます。
届け出用紙には転送開始希望日を記入する欄があり、希望日以降の郵便物が新住所に転送されます。ただし、転居届を提出してから登録されるまでには3~7営業日を要するため、引越しが決まったら早めに郵便局に転居届を出しておきましょう。
なお、転居届の手続き状況は日本郵便のウェブサイト「ウェルカムタウン」で、転居届の「お客さま控」に記載されている受付番号を入力すれば、確認することができます。
転居届の提出時に必要なもの
転居届の提出時には、提出者の本人確認と、転居届に記載された旧住所の確認が行われます。このため、手続きの際には、下記を持参するようにしてください。
- 転出者の本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)
- 旧住所が確認できるもの(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、住民票の写し、官公庁が発行した住所記載のある書面など)
届け出に際して本人確認や旧住所確認ができない場合は、転居届の受け付け後、旧住所宛てに確認書が送られてくることがあります。
転居の事実確認のため、日本郵便の社員による現地訪問が行われる場合もあります。訪問時に転居者本人が不在の場合は、同居人などに転居者の居住の事実確認が行われることもあります。
そこまでするの? と思われるかもしれませんが、赤の他人に勝手に転送届の手続きを出されたりするのを防ぐ大切な手続きです。
郵便物の転居・転送サービスで気をつけたい注意点
海外への引越しの場合、郵便物の転送はできません
郵便局の新住所への転送サービスができるのは、国内宛ての郵便物のみです。このため、海外に引っ越す場合は、転送はできません。
家族全員ではなく、一部が引っ越す場合
同居している家族の一部のみが引っ越す場合の手続きは、どうすればいいのでしょうか。たとえば一家4人家族のうち1人が大学進学のため家を出て一人暮らしを始めるような場合です。
その際は、転居届の「転居者氏名」欄に転居する人の氏名を記入した上で、「上記の転居者以外で引き続き旧住所にお住まいになる方の有無・人数」欄の「います」を塗りつぶし、引き続き同じ住所に住む人の人数(この場合は3人)を記入します。
旧住所宛ての郵便物の転送期間は1年間
転送期間は、転居届の提出日から1年間です。転送開始希望日から1年間ではありませんので、気をつけましょう。
なお、1年経過後でも、再度転居届の手続きをすれば、さらに1年間転送サービスを受けることができます。
転居届で転送されない郵便物がある
郵便物の表に「転送不要」と記載されているものは、差出人が「この住所に住んでいない場合は新住所に転送せずに返還してほしい」という意思表示をしていることになります。このため、転居届が提出されていても転送されません。
このような「転送不要」郵便は、郵便物が名宛て人の所在確認を兼ねていることが多く、たとえばキャッシュカードやクレジットカードの送付に当たっては、この「転送不要」がよく使われます。このため、引越しで住所が変わった場合には、口座を持っている金融機関への住所変更手続きも忘れないようにしましょう。
引越し先に前の住人宛ての郵便物が届いた場合
引越し先の家に、前に住んでいた人宛ての郵便物が届いた場合、前の住人が転居届を出していないことが考えられます。
そのような場合は速やかに日本郵便の事業所に連絡するとともに、間違って届いた郵便物には誤配である旨の付せんを貼って、最寄りの郵便ポストに投函しましょう。事業所の社員が訪問調査などで居住状況を確認をすることになります。
きちんと対応しないと刑罰の対象に!?
間違って届いた郵便物について受け取った人がどうすべきかは、郵便法に規定されています。
第四十二条(誤配達郵便物の処理) 郵便物の誤配達を受けた者は、その郵便物にその旨を表示して郵便差出箱に差し入れ、又はその旨を会社に通知しなければならない。
○2 前項の場合において誤つてその郵便物を開いた者は、これを修補し、かつ、その旨並びに氏名及び住所又は居所を郵便物に表示しなければならない。
引用:郵便法(平成二十七年六月十二日公布(平成二十七年法律第三十八号)改正)
つまり、誤配達を受けた人は、その旨を郵便物に記載して郵便ポストに投函するか、日本郵便の社員に知らせなければなりません。もし間違って郵便物を開けてしまった場合は、補修した上で、その旨を自分の氏名・住所とともに郵便物に記載することも義務づけられています。
面倒くさくても、そのまま放置しておいたり、捨ててしまったりすると、刑法の遺失物横領罪や信書隠匿罪などに問われる恐れもあるので、注意しましょう。
ダイレクトメールの誤配対応
なお、「○○メール便」と記された商品カタログなど、日本郵便以外の事業者(宅配便業者など)が誤配達したものについては、郵便ポストに投函してはいけません。配達を行った事業者に連絡して回収してもらいましょう。