入居したい賃貸物件を見つけたら、少しでも安い家賃で契約したいもの。月額家賃が下がれば月々の固定費を節約できるだけでなく、敷金・礼金は家賃を基準にその何ヵ月分という形で支払うため、引っ越しに伴う初期費用も抑えることができます。今回は、不動産会社を通じて大家さんと行う家賃値下げ交渉を成功させるためのポイントについて解説します。
不動産市場の閑散期が狙い目
賃貸住宅市場の繁忙期である毎年1~4月は、空き物件を借りる人が見つかりやすいので、大家さんも不動産会社も強気で、なかなか値下げ交渉には応じてもらえません。入居したい物件の家賃値下げを交渉するなら、繁忙期が終わった後、中でも6~8月ごろの閑散期がお勧めです。
この時期の空き物件であれば、そのまま翌春まで借り手が見つからない恐れもあるため、大家さんもまったく家賃が入らないよりはと考えて、値下げに応じてくれる可能性が高くなります。
交渉前には情報収集をしよう
ただやみくもに値下げを求めても効果はありません。交渉に当たっては、相手を説得できる情報を十分収集しておくことが大事です。
家賃相場との比較
まず、周辺の家賃相場と比べて、その物件が割高かどうかを調べること。部屋の広さや駅からの距離、築年数などの条件が同じ他の物件と比較し、家賃が割高なのであれば、その理由を不動産会社に担当者に尋ねてみましょう。
空室期間や空室部屋数
また、希望する物件がこれまでどれぐらいの間、空室となっていたかや、集合住宅であれば同じ建物の他の住戸にどれだけ空室があるかなども確認しましょう。不動産会社の担当者に聞けば、教えてもらえる場合もあります。空室率が高かったり空室期間が長いのであれば、大家さんも早く部屋を埋めて資本投下分を回収しなくてはと焦って、家賃値下げに応じてくれる可能性が高くなります。
物件の内見の際にも細かくチェック
さらに、希望する物件を内見する際には、室内を子細に点検し、何か気になる点や欠陥がないかを確認します。また、不動産会社の担当者の説明や、契約書の重要事項の記載内容と実際の物件の間に食い違いがないかもチェックしましょう。
たとえば、説明にある設備が実際にあるかどうか、ちゃんと機能する状態か、「クリーニング済み」とされているのに室内に壁や床に汚れがあったりしないかといった点です。
好感度は大切。好ましい賃借人と印象づけよう
大家さんに家賃の値下げに応じさせるには、この人に入居してほしいと思われるような好印象を持たれる必要もあります。
不動産会社で記入する申込書には、職業や年収、連帯保証人などの欄にしっかり記載し、家賃を踏み倒したりトラブルを起こしたりする心配のない安全な借り手であることを印象づけましょう。
大家さんとの交渉は不動産会社の担当者を通じて行います。そこで、まずは担当者に好印象を与え、こちらの味方になって交渉を後押ししてもらうことが大事です。不動産会社を訪れる際は、きちんとした身なりで、言動にも注意し、この人は好ましい借り手になると思ってもらえるようにしましょう。
本気で住みたい意思を伝える
まだどの物件にするか決まってない段階で値下げを持ちかけるよりは、契約の一歩手前で、本気で住みたいという意思を伝えてから交渉した方が、うまくいくことが多いようです。
「ここにぜひ住みたいと思っているのですが、予算をちょっとオーバーしているので、なんとかならないでしょうか」といったような形で担当者に頼んでみましょう。
また、長く住みたい意思を表明すれば、大家さんにとっては安定した家賃収入につながるので、望ましい借り手ということになります。交渉の際には、「とても気に入った物件なので、ぜひ長く住み続けたい」という意思を表明しましょう。
ただし、何年間は退去しないということを契約内容にまでしてしまうと、これに拘束されるので、あくまで現時点では長期入居を希望しているという程度の意思表明にとどめることが肝心です。
家賃値下げが無理なら敷金・礼金を交渉する手も
集合住宅の場合、家賃の値下げを他の入居者に知られてしまうと不都合があるとしていやがる大家さんもいます。そのような場合は、月額の家賃ではなく、敷金・礼金の減額や、一定期間の家賃を免除する「フリーレント」を提案してみる手もあります。
まとめ
引越し初期費用と、月々の固定費用を抑えるための家賃交渉ノウハウいかがでしたか? 安くするための努力は大切ですが、これから住むことになる賃貸物件。今後の友好的な関係のためにも、家賃交渉をする際には、ゴリ押しするのではなく、住みたい意思を伝えたうえで、相談するというスタンスで上手に話しましょう。