引っ越し後の住民税はどこに払う?

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引越し後の住民税について

住民税は原則として居住地の自治体に支払う地方税なので、他の市区町村に引越しをすると納付先も転居先の自治体となります。ただ、引越してすぐに納付先が変わるわけではありません。今回は住民税の仕組みと引越しをした場合の処理について解説します。

住民税とは何か

まず住民税とはどのような税金なのか、所得税との比較で知っておきましょう。

一般に住民税と呼ばれるものは、市町村民税(東京23区の場合は特別区民税)と都道府県民税を合わせた総称です。所得税が国から徴収される国税であるのに対し、住民税は都道府県と市区町村から課税される地方税です。個人の場合、都道府県民税も市町村民税や特別区民税と一緒に市区町村に一括納付します。

前年の所得に基づき課税される

所得税はその年の所得に対して課税されますが、住民税では前年1年間の所得から税額が計算され、課税されます。このため、引っ越しなどをした場合、住民税の納付先は現在住んでいる住所のある自治体ではなく、その年の1月1日時点で住んでいた所の自治体になります。

住民税には均等割と所得割がある

住民税は、市区町村内に住所や事務所、家屋敷を持っている人が全員同額を負担する「均等割」と、前年の所得に応じて課税される「所得割」などで構成されています。このほか、預貯金に利子に課税される「利子割」や、株の配当に課税される「配当割」などもあります。

これらのうち「均等割」については、自分の住んでいる自治体でなくても、仕事をするための事務所や、家族が住むための家屋敷がある自治体から課税されます。

住民税には「普通徴収」と「特別徴収」がある

住民税は会社員などの場合は「特別徴収」といって、所得税の源泉徴収と同様に勤務先の給与から天引きされるので、納付先や手続きについてあまり意識する必要はありません。会社などの事業主には、従業員の給与から所得税の源泉徴収分と住民税の特別徴収分を天引きして納付することが義務づけられています。

自営業などの場合は、「普通徴収」といって、所得税の確定申告などから計算された納税通知が市区町村役所・役場から来るので、それに従って年4回に分けて納めることになります。

住民税の申告方法は?

住んでいる市区町村とは別の場所に事務所や家屋敷を持っている人は、それらのある市区町村に、毎年3月、住民税の申告をする必要があります。そうでない人は、税務署に所得税の申告をしていれば、住民税について別途申告をする必要はありません。

住民税の税率は自治体によって違う?

住んでいる地域の自治体によって、住民税が高い、安いといった差はあるのでしょうか。実は多少の差があります。

住民税については、地方税法で課税の基準となる標準税率が定められており、個人の場合、所得割では市町村民税が6%、都道府県民税が4%(政令指定都市の場合、市民税8%、道府県民税2%)となっています。

均等割では、市町村民税が年額3000円、都道府県民税が1000円(2014〜23年度については市町村民税3500円、都道府県民税3500円)です。ただし、自治体ごとの財政事情などによって、税率を上乗せしたり、安くしたりすることも認められています。

たとえば名古屋市では、2012年度から、地域経済活性化のための施策として市民税の税率を引き下げており、均等割は政令指定都市の標準税率より200円安い3300円、所得割は0.3ポイント低い7.7%となっています。

逆に、財政再建団体である北海道夕張市では、2016年度まで、財政再生のための超過税率として市民税の均等割を500円加算して3500円にしていました。

東日本大震災後には地方税に関する臨時特例法により、2014年度から自治体が防災施策の財源確保のため独自に税率を上乗せできるようになりました。これを受けて税金を引き上げる自治体が出てきています。たとえば、横浜市では、個人市民税の超過課税「横浜みどり税」が適用され、市民税の均等割が900円上乗せされて年額4400円となっています。さらに神奈川県の個人県民税でも超過課税「水源環境保全税」が実施され、均等割が1800円、所得割の税率も従来の2%から0.025%上乗せされて、2.025%になっています。

このように自治体によって住民税の税率に多少の差はあるのですが、それよりも生活への影響が大きいのは国民健康保険料の地域差です。厚生労働省の2016年度の集計(2018年9月発表)によると、都道府県別で保険料が高いのは徳島、佐賀、大分の順、安いのは埼玉、東京、神奈川の順で、最も高い徳島県は最も安い埼玉県の1.4倍。市区町村別で見ると、最も高い北海道天塩町は、最も安い北海道幌加内町の3.4倍にもなっています。国民健康保険は市町村ごとに運営が異なるので、引越し先を決めるときには、各自治体の保険料にも注意しておきましょう。

引っ越した場合の住民税

住民税は毎年1月1日時点で住んでいた市区町村で課税されます。このため、4月に別の市区町村に引っ越した場合も、その年の住民税は以前に住んでいた住所地の自治体に納付することになります。その場合、普通徴収であれば、転出届を出していれば、納税通知書は現在の住所に送られてきます。

住民登録なしで課税される場合も

住民税は基本的には住民登録に基づいて課税されます。では、別の市区町村に引っ越したのに転出・転入届を出していない場合はどうなるでしょうか。

たとえ新しい住所の住民登録がされていなかったとしても、居住していることが市区町村役所・役場によって確認されれば、住民税は課税されます。そうなると、以前の住所地の自治体と二重課税される恐れもあります。こうした事態を防ぐためにも、引越したら遅滞なく転出・転入届を出すようにしましょう。

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