引越しの料金は曜日によっても変わります。土日や祝日は割増料金となるところが多いのですが、平日でも曜日によって料金が異なります。今回は、引越しが安くなるのは何曜日なのか、またその理由について解説します。
なぜ曜日によって引越し料金が変わるのか?
引越し料金は、休日よりも平日の方が安いと、よく言われています。それはなぜでしょうか。
引越し料金には業界標準価格や適正価格、相場というものがなく、個々の業者ごとに、また引越し時期によって大きく違っているのが実情です。業者と利用者の間で交わす契約の条項は、監督官庁である国土交通省が作った「標準引越運送約款」というモデル約款に基づいて各業者が規定する約款で定められています。しかし、お手本となる標準引越運送約款には、そもそも引越し料金についての具体的な規定がないのです。
引越し料金モデル「標準引越運送約款」 の規定
標準引越運送約款では、引越し運賃・料金については、「運賃及び料金並びにその適用方法は、当店が別に定める運賃料金表によります」(18条1項)、「運賃及び料金並びにその適用方法は、営業所その他の事業者の店頭に開示します」(18条2項)、「当店は、申し込みを受けた運送に附帯するサービスを行ったときは、これに係る料金を収受します」(18条3項)と規定されているのみです。
引越し料金は、業者の裁量次第のところが大
このため、引越し料金は業者側が個別の事情によって自由に決められる余地が大きく、引越しの件数が多い時期には業者も強気になって料金が割高になりますし、同じ条件で複数の業者に見積もりを取ると、業者ごとに金額にかなりの差が出ることはよくあります。だからこそ、引越しの際には複数の業者に相見積もりを取ることが重要になってきます。
引越しが集中しがちな土日は割高に
そして、平日の方が引越し料金が安くなるのも、週末の土曜日や日曜日に引越しが集中することによるものです。
転勤に伴う引越しであれば、転勤休暇を取って平日に引越しする人も多いでしょうが、そうでない限り、一般的には勤め人や学生の場合、なるべく仕事や授業に影響の出ない土曜・日曜を選んで引越しをしようとする傾向にあります。こうして週末に引越しが集中するため、平日に比べて料金も高くなりがちです。
逆に、平日は休日に比べて引越し件数が少なくなるため、業者側は休日への引越しの集中を緩和するためにも、平日の料金を割安にすることでお客さんを平日の引越しへ誘導しようとします。
また、休日出勤は従業員に割増賃金を支払う必要があることから、引越し業者の中には引越運送約款や料金表に、日曜・祝日について割増料金を定めているところもあります。
こうした事情から、一般的には週末は平日に比べて料金が高くなりがちなのです。
土曜日の方が日曜日より高くなりがち
週末でも土曜日と日曜日の料金には違いがあります。1週間の中で最も引越しが集中するのは土曜日です。土曜日に引越しをすれば、日曜日に余裕を持って荷解き(にほどき)をすることができ、週明けには通勤・通学など平常通りの生活を始められるからです。このため、1週間の中では土曜日の引越し料金が最も割高となります。
土曜日の次に引越しが集中するのは、やはり休日である日曜日で、これも平日に比べて料金が割高になります。
平日でも月曜と金曜は割高
週末に比べると、平日の引越しは少なく、それだけ料金は割安になりますが、月曜から金曜まですべて同じというわけではありません。引越しが少なくなるのは火曜から木曜までの間で、料金も最安となります。
月曜日と金曜日が他のウイークデーに比べて高くなりがちなのは、これらの曜日に休暇を取ることで、週末の土日と合わせて3連休を引越しに当てることができるためです。
そして、月曜日と金曜日を比べてみると、金曜日の方が引越しは多くなります。これは、週明け早々の月曜日に比べ、金曜日の方が休暇を取りやすいことによるのかもしれません。
また、月曜日に休暇を取る場合でも、土日の間に引越し作業を済ませて、役所が開庁する月曜日には転居手続きをする人が多いことが想像できます。
引っ越す曜日により1.5倍の料金差
以上のように、1週間の各曜日を引越しの多い方から順番に並べると、
土曜日>日曜日>金曜日>月曜日>火・水・木曜日
となります。連休を取りにくい火~木曜日が、最も料金を割安に抑えられる可能性が高いということです。最も料金が高い土曜日と、最も安い火・水・木曜日の間では、1.5倍程度の料金差が出るともいわれています。
単身引っ越しでは曜日による料金差はない?
ただ、こうした曜日による料金差は、長距離の家族引越しの場合を前提としたものです。一般的に、運送距離が長く、荷物の量が多くなるほど、平日と週末の料金差は大きくなっているようです。
逆に同一都道府県内の単身引越しの場合では、平日と土日の間で引越し料金にほとんど差はないという試算もあります。単身引越しでは、曜日よりも、むしろ引っ越しの繁忙期と閑散期の料金の違いに気をつけるべきでしょう。
単身者の引っ越しは毎年春に大学進学などで急増するため、料金も高騰します。2019年春には日本通運とヤマトホールディングスがそれぞれ、単身引越しについて台車1台あたり5000円の割増料金を設定しました。この時期に引っ越す必要がなく、近距離で荷物も少ない人であれば、閑散期を選んで引越しすれば、週末でも料金をさほど気にする必要はなさそうです。
一方、家族引越しであれば、火曜から木曜の間を引越し日にすれば、単に料金が割安になるだけでなく、作業時間帯などについても融通が利きやすいのでおすすめです。
まとめ
いかがでしたか? 引越し料金は、平日・休日の違いのみならず、曜日によっても差があることがおわかりいただけたかと思います。
仕事や学校があると、安いからといってなかなか好きな曜日に引越しすることはむずかしいかもしれませんが、調整が可能ならば、曜日も含めて引越し日を検討するのもいいかもしれませんね。