バイクを持っている人が引越しする場合、近距離であれば自分で運転して新居まで行けばいいのですが、自走して行けないような長距離のときは、(1)引越会社に依頼する、(2)専門輸送業者に依頼する、(3)レンタカーに積んで自分で運ぶ、のいずれかの方法を選ぶ必要があります。それぞれの運搬方法の特徴を見ていきましょう。
バイク輸送を引越会社に頼む場合
バイク輸送を簡単に行うおすすめの方法は、引越会社にバイクの輸送を一緒に頼むことです。引越会社に頼めば、ほかの荷物と一緒に見積り依頼ができ、申込みも支払いも窓口を一つに集約できるので、手間がかからず手続きが簡単だという利点があるからです。
しかも、引越会社に依頼した場合も、実際に運ぶのは、専門の車両陸送業者なので安心です。ただし、バイクは大きさや排気量によっては対応してもらえないこともありますので、事前に確認しましょう。とくにハーレーなど大型バイクに乗っている人は、運送対応してもらえるかどうかの確認は必須です。
引越会社にバイクの輸送を依頼する際の注意点
バイクは排気量・大きさによって運搬方法や料金が変動
バイクは排気量、大きさによって運搬方法や料金が変わります。引越会社に見積り出しをお願いする段階で、バイクの排気量などの情報を必ず伝え、具体的な運搬方法を確認しておきましょう。
50cc以下の原付バイクを混載運送する場合
とくに、50cc以下の原付バイクなどを、引越会社のトラックにほかの荷物と混載する場合には、注意が必要です。燃料タンクにガソリンが入ったままだと危険物扱いされて運んでもらえないため、事前にガソリンやエンジンオイルを抜いておく必要があります。
自分で手動ポンプで抜いてガソリンの携行缶に移す方法もありますが、ガソリンはちょっとした静電気などで引火する恐れがあります。慎重な取り扱いを要するうえ、手間もかかるので、無理をせずにバイクショップなどに依頼して抜いてもらった方が安全・確実です。
引越会社の提携する車両陸送業者に運んでもらう場合の流れ等は、申し込みの手続き以外は「車両陸送専門業者にバイクの輸送を頼む場合」の項目を参照してください。
バイク輸送に対応する引越会社
では、どんな引越会社がバイクの輸送に対応しているのでしょうか。主な引越会社を見ていきましょう。
引越会社 | 内容 |
日本通運 | すべての車種のバイクに対応 。 輸送は専門業者に委託。 メインルートはキャリアカーなどに積んで運び、ローカルルートは自走 |
アート引越センター | バイクはほかの家財と別に運搬。 引き取りから引越し先での引き渡しまでに最短で6~7日 |
アーク引越センター | 50ccまでの原動機付自転車は、引っ越しプラン内の料金で運搬が可能 。 50cc以上のバイクの運搬はオプションサービス |
ハート引越センター | すべての車種のバイクに対応 。 輸送は専門業者に委託 |
アリさんマークの引越社 | オプションの有料サービスとしてバイクの輸送に対応 |
サカイ引越センタ- | バイクの排気量に関わらず、車両陸送として提携輸送業者が輸送 |
ヤマトホームコンビニエンス | 大型バイクの輸送にも対応。 輸送は提携の専門業者に委託。 ※料金不正請求の発覚で2019年1月に国土交通省から事業改善命令と行政処分を受けたことに伴い、引越しの新規受け付けを休止(2019年6月末) |
車両陸送専門業者にバイクの輸送を頼む場合
車両陸送専門の会社であれば、さまざまな排気量のバイクの全国輸送に対応しており、バイク輸送のノウハウも持っているので、安心して任せられます。
とはいえ、バイク輸送に対応している引越会社も、これらの専門輸送業者に委託している場合がほとんどなので、どちらを選んでも輸送の安心感という点では、変わりはないと思ってよいでしょう。
気になる費用面ですが、車両陸送専門業者に直接頼むと、仲介手数料がかからない分、引越会社に依頼するより、割安になることもあります。
しかし、引越業界において車やバイクの「車両陸送」は一般的。引越会社経由で依頼した場合も、価格は安く設定されていることがほとんどです。時間に余裕がある場合は、どちらが安くなるのか、見積りを取ってみる…程度でもよいかもしれません。
なお、車両陸送専門業者の場合は、原則前払いとなっているところがほとんどですので、その点は気をつけましょう。
車両陸送専門業には自動車メーカーゆかりの企業が多い
全国に輸送網を持っている車両陸送会社には、トヨタ輸送や株式会社ゼロ(旧日産陸送)のように、もともとは自動車メーカーが自社の車両を全国に運ぶために設立した系列企業だったところが多く、こうした業者は今でも企業からの受注が事業のメインとなっていますが、最近は個人のマイカー輸送のサービスにも力を入れており、ネットで見積もり依頼ができるところが多くなっています。
日本自動車連盟(JAF)の会員であれば、JAFの会員サイト経由でネットを通じて優待料金で申し込める業者もあります。
車両陸送専門会社の中には、車両変更登録の手続きを代行してくれる業者もあり、こうしたサービスを利用すれば、引越し先を管轄する運輸支局に出向いて面倒な手続きをする必要もなく、新しいナンバープレートに付け替えられた状態で納車されるので便利です。
車両輸送を依頼するときの注意点
車両陸送専門業者でバイクを運ぶ場合は、車両の引き取り時と納車時に車両の状態(へこみ、傷など)を本人立ち会いで点検し、図面に記入します。念のために、自分でも引き渡し前に車両を点検し、スマホなどで車両各部の写真を撮っておくとよいでしょう。
輸送方法については、メインルートを大型のキャリアカーで高速道路などを使って運び、そこから自宅までは業者の社員が自走するか手で押すかして運ぶことが多いようです。
燃料タンクからガソリンを抜いておく必要があるかどうかは、事前に業者に確認しておきましょう。ガソリン抜きの必要がない場合でも、輸送中のガソリン漏れの危険を少なくするため、タンク内の残量はできるだけ少なくしておきましょう。
また、暴走族がやっているようなマフラーを取り外すなどの違法改造を施したバイクは輸送を断られてしまう場合もあるので注意しましょう。
バイク輸送料金の目安
バイクの輸送料金は、移動距離と排気量によって決まります。大手の輸送業者であれば、ネット上で料金の見積り可能です。下記は、株式会社ゼロ(旧日産陸送)の場合の、東京-大阪間の輸送価格です。
東京-大阪間のバイク輸送価格一例
排気量 | 東京-大阪間 |
小型バイク (125cc以下) | 59,400円 |
中型バイク (750cc以下) | 71,280円 |
大型バイク (750cc超) | 82,080円 |
バイク輸送に対応する主な専門輸送業者
個人向けにバイクの輸送を行っている主な業者を見ていきましょう。
陸送車両運送専門業者 | 内容 |
株式会社ゼロ | 元・日産自動車の系列企業だった車両輸送業者。 個人の引越し向けに、マイカーを指定日に新居に届ける「マイカー宅配便」があり。 バイクの輸送にも対応 |
トヨタ輸送 | トヨタ自動車系列 メーカー問わず、車・バイクを全国輸送可能 ナンバーの付いていない車両でも輸送可。 キャリアカーのほか、船舶や自走(社員が運転) ※ 2019年6月末現在、輸送力不足を理由に、マイカー輸送の受け付けを一時休止中。 夏頃をめどに輸送力を確保のうえ、再開予定 |
株式会社シンキ | 個人向けに引越しの際の車両全国輸送に対応 引越しで車両ナンバーが変わる場合、引越し先を管轄する運輸支局での変更登録代行サービスあり |
代行.net | バイク専用トラックで運搬 引越しで車両ナンバーが変わる場合、 引越し先を管轄する運輸支局での変更登録代行サービスあり |
バイクを自分で運ぶ場合
バイクを自分で運転して運ぶことができれば、費用は有料道路料金とガソリン代だけで済むので、最も経済的です。しかし、長距離の引越しの場合は、移動の時間もかかるうえ、引越し作業で疲れている中での長距離運転は危険度も増すため、あまりおすすめできません。
とくに、排気量125cc以下のバイクは、高速道路や自動車専用道を通行できないため、一般道を通って目的地まで行かなくてはならず、いっそう時間がかかり、疲れも増してしまいます。
そこで、長距離を自分で運ぶ場合には、バイクを乗り捨て可能なレンタカーの荷台に載せて運搬する方法も考えられます。一般的なバイクであれば、軽トラックで十分積み込めるでしょう。バイクは事前にガソリンやエンジンオイルを抜いた上、荷台にしっかり固定しましょう。
まとめ
引越しの際、大切なバイクをどう運んだらよいのか、イメージは沸きましたか? 引越会社に依頼する、車両陸送運送業者に依頼する、自分で運ぶ、それぞれを比べて、納得できる方法を選びましょう。
なお、輸送方法だけでなく引越しに伴う住所変更などの手続きも忘れずに! バイクについては排気量によって引越しに伴う手続きが異なるので、注意してくださいね。