引っ越しで病院が変わるときも安心。紹介状はどうもらう?

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引越しで病院が変わるときの紹介状の受け取り方

引っ越しでかかりつけ医(ホームドクター)が変わる場合だけでなく、大病院で診療を受ける際もかかりつけ医から紹介状をもらうのが原則となっています。紹介状とはどんなもので、どうやって発行してもらえばよいのでしょうか?

大病院の受診で求められる紹介状(診療情報提供書)とは?

医師の紹介状は、正式には「診療情報情報提供書」といいます。その名の通り、患者の診療を担当してきた医師が、病状やこれまでの治療経過などの診療情報を伝えて、別の医療機関へスムーズに診療を引き継ぐためのものです。

大病院の受診には、かかりつけ医の紹介状が必要

大病院を受診する際には、かかりつけ医からの紹介状を提出するのが原則となっています。紹介状がなくても診療を受けることはできますが、2015年に成立した医療保険制度改革法に基づき、高度の医療機能を備えた「特定機能病院」と呼ばれる病院や、ベッド数500床以上の大病院を受診する際には、初診の患者が紹介状を持ってこなかった場合には、「選定療養費」という名目で、初診時に初診料や診療費とは別に5000円以上の料金を徴収されることになっています。病院によっては再診時にも特別料金を徴収するところがあります。

どうして紹介状が必要になったの?

大病院での受診に紹介状が必要となった背景は、患者の診療は基本的には診療所や医院、中小病院などの地域の医療機関が担当し、入院や手術、救急医療や高度医療が必要な場合には大病院が受け持つという、医療機関の役割分担の考え方に基づいた制度です。

地域医療機関の診療を経ずに初めから大病院を受診しようとする患者に特別な課金をすることで、大病院に患者が集中することなく、本来の役割である高度医療や救急搬送への対応に専念できるよう誘導しているわけです。

かかりつけの地域の医療機関からの紹介状を携えていけば、大病院でも「選定療養費」を徴収されることなく診療を受けることができるので、まずはかかりつけ医に診断してもらい、紹介状をもらいましょう。

なお救急患者の場合は、紹介状がなくても「選定療養費」は徴収されません!

引っ越しで医療機関が変わる場合も紹介状が役立つ

引っ越しに伴って受診する診療所や医院が変わる場合には、大病院を受診する場合と違って、紹介状がなくても初診時に選定療養費を徴収されることはありません。

それでも、紹介状があった方が、患者本人にとっても新しいかかりつけ医にとっても役立ちます。これまでの治療経過などの申し送り事項が引き継がれることで、担当医が初診時に患者の症状を迅速に知ることができるほか、最近受けたばかりの検査を二重に受けたりする無駄もなくせることから、診療の効率化や医療費の節約につながるからです。

紹介状のアリ・ナシは待遇には無関係

なお、大病院を受診する場合も、引っ越しで別の診療所にかかりつけ医が変わる場合でも、紹介状があれば待遇が良くなるとか、逆に紹介状がないと診療がおざなりになるということはありません。

「紹介状」には何が書かれている?

紹介状といっても、「この患者さんをよろしくお願いします」といった挨拶文が書かれているわけではありません。

医療機関によって書式は異なりますが、おおむね、以下のような項目が記載されています。

  • 紹介先医療機関の担当医の名前
  • 紹介元医療機関の担当医の名前
  • 患者の氏名、生年月日、性別、住所
  • 傷病名
  • 紹介目的
  • 既住歴
  • 症状や検査経過
  • 現在処方している薬
  • 薬剤アレルギーの有無

このほか、診療に当たっての特記事項が記載されていたり、必要に応じて血液検査やX線写真、心電図など各種検査結果のデータが添付されていたりすることもあります。

紹介状の書式例

相手方の医療機関の書式に則って、必要項目を記載するのが原則とされていますが、実際には担当医師によって、どのように記載されるか、どの程度詳しく記載されるかはさまざまなようです。

紹介状の中身は自分では確認できない?

紹介状は封筒に入れられて封がされており、患者本人であっても勝手に開封して中を見ることはできません。内容が気になるのであれば、紹介状を書いてくれた先生に尋ねてみるとよいでしょう。

紹介状のもらい方。引っ越し前に余裕をもって依頼

引っ越しに伴って医療機関が変わる場合には、普段、受診している病院で、かかりつけ医の診察を受ける際にその旨を伝えれば、紹介状を書いてもらえます。ただ、内容によってはその場ですぐには作成できないこともあるので、余裕を持って依頼するようにしましょう。

すでに引っ越し先で受診する医療機関が決まっている場合には、その医療機関の担当医に宛てた紹介状を書いてもらいます。まだ決まっていない場合には、宛名となる医療機関名の記載なしで紹介状を書いてもらうことも可能です。

紹介状は有料。ただし保険適用

医師の紹介状をもらうには、診療情報提供料として料金がかかります。健康保険の適用対象になり、保険適用の場合は自己負担額は1000円程度です。検査結果などの添付データがある場合には追加料金が発生することもあります。

まとめ

紹介状(診療情報情報提供書) が、どういうものなのか、どんな意味を持っているのかをご紹介させていただきました。

引っ越しの際は、病状の引継ぎの意味でも紹介状を書いていただくと安心ですね。引っ越し先によい病院がないかなど不安なときは、かかりつけ医に相談するのもおすすめです。持病を持っている方はとくに、引っ越し後に慌てないように事前に準備しておきましょう。

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