引っ越しなどにより自動車の使用の本拠となる場所が変わる場合は登録変更手続きが、さらに管轄運輸支局も変わる場合はナンバー変更の手続きが必要とされています。これらの手続きを怠るとどうなるのでしょうか？
自動車のナンバーを変更しないのは違法
道路運送車両法では、 引っ越しなどで自動車の使用の本拠地が変わった場合は15日以内に変更登録の手続きをするよう義務づけられています。
使用の本拠が別の運輸支局の管轄地域へと変わった場合には、ナンバープレートも付け替えなくてはなりません。
違反すると50万円以下の罰金
これに違反した場合は50万円以下の罰金に処せられることが定められています。もっとも、この規定違反で摘発されることは実際にはあまりないようで、引っ越してもナンバー変更をしないままの人もかなりいるようです。
それでも、車のナンバー変更をしないままだと、いつ摘発されても文句は言えません。
いまのところは黙認・放置されているとしても、そのうち警察の方針が変わって厳しい取り締まりに乗り出さないとも限りません。法律にしたがってナンバー変更の手続きをしておいた方が安心でしょう。
なぜナンバー変更を嫌がる人がいるのか
引っ越しても車の変更手続きをしない人は、なぜ多いのでしょうか？ ひとつには、手続きが非常に面倒な上、費用もかかることが挙げられます。
駐車場の確保から車庫証明までとにかく面倒
変更登録の手続きの際には、まず引っ越し先で自宅から2km以内の場所に新たに駐車場を確保します。
駐車場の所有者・管理者から自動車保管場所の使用承諾証明書をもらい、駐車場の見取り図と一緒に警察署に提出して車庫証明をもらいます。
さらに車庫証明を運輸支局に提出して手続きを行います。これらを平日の日中に行わう必要があるので大変ですね。
愛着のあるナンバープレートを変えたくない
一方、これまで使っていたナンバーに愛着があるため、ナンバーを変えたくないという人も。「横浜」とか「品川」といった特定地域のナンバープレートに誇りや優越感を持っているとか、田舎に引っ越したけど都会のナンバーをつけていたい、といった人たちです。
2018年から一部地域で図柄入りナンバープレートが導入されましたが、せっかく高いお金を払って図柄入りにしたのに変えたくない、という人もいるかもしれません。
ナンバー変更しないとこんな不便が！
しかし、車の使用の本拠が変わったのに変更登録やナンバー変更をしないままだと、法律違反になること以外にも、さまざまな不便・不利益が生じます。
廃車や下取りの際の手続きが大変になる
何度も引っ越しをしたのにナンバー変更をしていなかった場合には、車を買い換える際に今まで乗っていた車を廃車にしたり、下取りに出して名義変更しようとするにあたって、手続きが大変になります。
1回引っ越してナンバー変更をしていないだけであれば、住民票で手続きできますが、引っ越し2回以上でその間にナンバー変更がされていないと、その車の購入時までさかのぼって住所の履歴を証明する書類が必要となります。
自動車税の支払い通知が届かない
普通自動車であれば自動車税は毎年1回、自動車の使用の本拠がある都道府県に納めます。
引っ越したのにナンバー変更をしないままだと、その車のナンバーを管轄する地域の都道府県に支払い続けることになりますが、そのままでは納税通知書が現住所に届きません。そして納税済みであることがが確認できなければ、次の車検を受けることもできません。
どうしてもナンバーを変更したくないのであれば、引っ越し前に車の使用の本拠地だったところの都道府県に自動車税を納めて、納税済みの証明書を送ってもらえば、車検を受けることもできます。その場合は当該の都道府県税事務所に連絡して、納税通知書を現住所宛てに送ってもらうしかありません。
交通違反や事故の際の手続きに時間がかかる
速度違反や駐車違反などで摘発されたときに、自動車の使用の本拠が変わったのに変更登録をしないままだと処分手続きに時間がかかる場合があります。車を運転していて交通事故の当事者となった場合も同様です。
リコール通知が届かない場合も
乗っている車種に不具合が発覚してリコール対象になった場合、車の変更登録がされていないと、リコール通知が現住所に届かない場合もあります。リコール対象となった車を修理しないまま運転し続けるのは危険です。
まとめ
以上の通り、引っ越しで自動車の使用の本拠地が変わったのに変更登録やナンバープレートの変更をしないままだと、ひょっとすると罪に問われる恐れがあるばかりか、さまざまな不利益も生じます。引っ越しの際は車の変更登録の手続きを忘れないようにしましょう。