引越しはキャンセルできる? キャンセル・延期の注意点

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引越しはキャンセルできる?

いったん引越会社に発注した後で、転勤が中止になったり体調を壊したりといった利用者側の都合により、引越し予定日の直前になってキャンセルあるいは延期せざるを得ないことがあります。そんなとき、キャンセルや延期は可能なのでしょうか?また、キャンセル費用が発生するのはいつからで、いくらくらいかかるのでしょうか?

引越しは自己都合でキャンセルできる?

引越会社との契約後、この契約を利用者の自己都合で契約を解除することは可能です。ただし、引越しの契約に限らず、一般的に、契約を相手方の不利な時期に解約する場合には、契約解除を申し入れる側が損害分を負担する必要があります。

引越し契約の場合についてみると、引越予定日の直前になってから利用者側の都合でキャンセル・延期すると、引越会社側としては手配済みのドライバーやトラックが無駄になるなどの損失が発生してしまうため、利用者側は損失補償として解約手数料(キャンセル料)その他の費用を請求されることになります。

自己都合によるキャンセルや延期の場合、解約手数料(キャンセル料)がいつから発生するか、どのぐらいかかるかは、運送業界の監督官庁である国土交通省が「標準引越運送約款」というモデル約款で一律に定めています。

それぞれの引越会社の契約約款には、この「標準引越運送約款」をそのまま使っている場合と、各引越会社で独自の約款を使っている場合がありますが、独自の約款を定める場合も、その約款には国土交通省の認可が必要とされているので、解約手数料などの重要な項目については、同省の定めた基準に準拠していると考えて問題ありません。

解約手数料が発生するのは引越し予定日の2日前から

標準引越運送約款は2018年6月1日に改正され、解約手数料の発生日や料率についての規定が変わりました。これは、近年、引越し業界でドライバー不足が大きな課題になっているなどの事情を踏まえたもので、引越会社側に有利な改定となっています。

キャンセルタイミングキャンセル料
引越し3日前無料
引越し2日前運賃および料金の20%以内
引越し前日運賃および料金の30%以内
引越し当日 運賃および料金の50%以内

改正後の同約款によると、解約手数料がかからないのは引越し予定日の3日前までです。2日前にキャンセルした場合は運賃および料金の20%以内前日のキャンセルでは30%以内、当日のキャンセルでは50%以内の解約手数料がかかります。

ただし、解約手数料を請求できるのは、事業者(引越会社)が荷物の受け取り予定日の3日前までに、見積書の記載内容に変更などがないかどうか確認を行っている場合に限られます。

解約手数料以外のキャンセル費用がかかる場合も

注意しなくてはいけないのは、利用者側の自己都合で引越しをキャンセル・延期した場合、解約手数料以外にも引越会社から費用も請求されることがある点です。

着手済みのオプションサービスの費用

標準引越運送約款では、利用者側の自己都合によるキャンセル・延期の場合、引越会社側は解約手数料とは別に、既に実施あるいは着手した「附帯サービス」に要した費用についても、見積書に明記されていれば請求できることになっています。

「附帯サービス」とは、オプションのこと。具体的には、自家用車の陸送、ペットの搬送、エアコンの取り外し・取り付け、ピアノの搬送、電気・ガス・水道の手続き代行など、引越会社がオプションとして設定しているサービスのことです。

こうした附帯サービスの中には、自家用車の陸送などのように、引越会社が実際の作業を専門輸送業者に委託しているものもあります。そのような附帯サービスでは、実際の作業がまだ行われていなくても、すでに引越会社が委託業者へ委託料金を支払っていた場合などは、着手したのと同等と判断され、引越会社からその費用を請求されることもありますので気をつけましょう。

梱包資材の返送費用など

また、金額としてはそれほど大きくありませんが、引越会社から無料サービスとして送られてきた段ボール箱などの梱包資材について、利用者側の自己都合によるキャンセルの場合、利用者側の送料負担による返送を引越会社から求められることがあります。

なぜ無料なのに返さなくてはならないのかといった苦情が、各地の消費生活センターには数多く寄せられています。 梱包資材については法令や標準引越運送約款には特に規定がないため、キャンセル時の返送や買い取りをめぐってトラブルになった場合には、利用者と引越会社の間の話し合いで解決するしかありません。

キャンセル時には利用者負担で梱包資材を返送しなくてはならない旨が契約書面に明記されているような場合もあります。その場合は、返送費用を負担しなければならないこともあります。

もしキャンセルで約款の規定を超える手数料などを請求された場合(たとえば当日のキャンセルで見積料金の50%を超えている場合など)には、解約手数料以外の費用が上乗せされている場合もあるので、必ずその内訳を明示するよう請求しましょう。

引越しキャンセル・延期前に知っておきたい注意点

いったん結んだ引越し契約をキャンセル・延期した場合、同じ引越会社に再度発注しようと思っても、以前に提示された見積もり料金は適用されず、時期によっては料金が上がってしまう場合もあることに注意しましょう。

また、とくに転勤や新入学で引越しが混み合う春の繁忙期などには、当初の引越し予定日の直前になって日程を変更しようとしても、なかなか次の予定日が入れられないこともあります。こうした点も踏まえて、引越会社の選択や引越し日時の設定は慎重に検討を重ねた上で行うようにしましょう。

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