車を持っている人が引っ越した場合、車に関する手続きも発生します。転居先での運転免許証や車検証の住所変更手続きのほか、契約している自動車保険(自賠責保険、任意保険の両方)の契約内容変更手続きも必要なので、忘れないようにしましょう。
運転免許証の住所変更手続き
運転免許証の記載事項(住所など)に変更があった場合は、速やかに手続きをするよう道路交通法で義務づけられています。
第九十三条 免許証には、次に掲げる事項(次条の規定による記録が行われる場合にあつては、内閣府令で定めるものを除く。)を記載するものとする。一 免許証の番号二 免許の年月日並びに免許証の交付年月日及び有効期間の末日三 免許の種類四 免許を受けた者の本籍、住所、氏名及び生年月日五 免許を受けた者が前条第一項の表の備考一の2に規定する優良運転者(第百一条第三項及び第百一条の二の二第一項において単に「優良運転者」という。)である場合にあつては、その旨
引用:道路交通法
第九十四条 免許を受けた者は、第九十三条第一項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、速やかに住所地を管轄する公安委員会(公安委員会の管轄区域を異にして住所を変更したときは、変更した後の住所地を管轄する公安委員会)に届け出て、免許証に変更に係る事項の記載(前条の規定による記録が行われる場合にあつては、同条の規定による記録)を受けなければならない。
引用:道路交通法
実際には住所変更手続きを怠ったまま車を運転している人も多いのですが、運転免許証は現住所の証明書類としてさまざまな場面で提示する機会が多いうえ、住所変更をしておかないと免許更新時期の通知はがきが届かず、運転免許証の失効に気づかなくなってしまう恐れもあるので、早めに手続きしましょう。
免許証の住所変更ができる場所
運転免許証の住所変更手続きができるのは
- 警察署
- 運転免許更新センター
- 運転免許試験場
のいずれかで、手数料は無料です。
本人が申請する場合
運転免許証の住所変更の際には、下記を持参してください。
- 運転免許証
- 新しい住所が確認できる書類(住民票、マイナンバーカード、健康保険証、消印付き郵便物、住所が確認できる公共料金の領収証、在留カードなど)の提示も必要になります。
同居する家族が代理人申請する場合
運転免許証の住所変更は、本人の他に代理人による申請も可能です。ただし、住民票で同一住所に同居していることを証明する必要があるため、代理人になれるのは同居している家族のみとなる点に気をつけましょう。
- 運転免許証
- 本人と代理人が併記された住民票
- 代理人の本人確認書類
自動車保管場所証明書(車庫証明書)の申請手続き
車庫証明書は、車検証の住所変更手続きの際に必要となるので、先に手続きしておきましょう。なお、車の使用者の引越し先の住居または事業所の所在地によっては、車庫証明の必要がない地域もあります。
申請は地域を管轄する警察署に出向いて、交通課の車庫証明窓口に、
- 自動車保管場所証明申請書
- 保管場所標章交付申請書
- 保管場所の所在図・配置図
- 保管場所の使用権原を疎明する書類
の4種類の書類を提出します。貸し駐車場の場合には、(4)については保管場所使用承諾証明書となり、駐車場の所有者または管理者に記載してもらう必要があります。いずれの書類も、警察署に備え付けの用紙か、あるいは各都道府県警察のウェブサイトからダウンロードしたものに必要事項を記入して提出します。
申請の際には、使用の本拠の位置を確認できるもの(住所変更済みの運転免許証など)を提示する必要があります。車庫証明と標章交付には手数料がかかり、その金額は都道府県ごとに異なっています。
申請から車庫証明書や標章の交付までには3~7日程度かかります。交付日になったら再び警察署の車庫証明窓口に行って、納入通知書兼領収書を提示して受け取ります。
受け取った自動車保管場所証明書(車庫証明書)は、証明日(交付予定日)から1カ月以内に運輸支局に提出する必要があります。保管場所標章は車のリアウインドーなどに貼ります。
車検証の住所変更手続き
車検証の住所変更手続きは、引越しから15日以内に行うよう法律で定められています。
普通自動車の場合
普通自動車の場合、車検証の住所変更手続きは、引越し先の住所地を管轄する運輸支局に出向いて行います。運輸支局の場所は「全国運輸支局等のご案内(国土交通省)」で検索可能です。
必要書類など
- 申請書(OCRシート第1号様式)
- 自動車検査証(車検証)の原本
- 自動車検査証に記載の使用者の印鑑
- 使用者の印鑑(使用者と所有者が異なる場合)
- ナンバープレート(使用の本拠の管轄が変更となる場合。車の持ち込みも必要。ナンバープレート代もかかります)
- 住民票の写し(発行されてから3カ月以内で、マイナンバーが記載されていないもの)
- 車庫証明書(車庫証明が必要な地域のみ)
- 委任状(代理人が申請する場合)
費用は登録手数料350円のほか、これまでとは別の運輸支局の管内に引っ越した場合は登録番号(ナンバープレートの番号)も変わるため、ナンバープレート交付手数料約2000円もかかります。
軽自動車の場合
軽自動車の場合、車検証の住所変更手続きは、軽自動車検査協会で行います。管轄は「全国の事務所・支所一覧(軽自動車検査協会)」で調べましょう。
必要書類など
- 自動車検査証(車検証)の原本
- 自動車検査証に記載の使用者の印鑑
- 所有者の印鑑(車検証に記載の使用者と所有者が異なる場合)
- 使用者の住所を証する書面
- ナンバープレート(使用の本拠の管轄が変更となる場合。車の持ち込みも必要。ナンバープレート代もかかります)
- 自動車検査証記入申請書(軽第1号様式)
- 事業用自動車等連絡書(事業用として使用している場合)
- 軽自動車税申告書(協会事務局・支所・分室近隣の関係団体窓口で入手可能)
自動車保険の住所変更手続き
引越しで住所や車のナンバープレートが変わった場合は、強制加入の自動車損害賠償責任保険(自賠責)保険でも、任意加入の自動車保険でも、契約内容変更手続きが必要となります。
自賠責保険の場合
自賠責保険は強制加入の保険で、車を持っている人は全員加入しています。保険会社や保険番号などが記載された自賠責保険証明書は、車検証と一緒に車内に備えられているはずです。
加入している保険会社のカスタマーセンターまたは営業店に電話で連絡すれば、郵送で手続きをすることができます。
契約内容の変更を電話で伝えると変更書類が郵送で届くので、必要事項を記入します。住所だけでなく、登録番号や標識番号(ナンバープレートの番号)が変わった場合は、新しい番号も記入します。
この書類を返送すれば、異動内容確認書が到着し、変更手続きが完了します。異動内容確認書は、自賠責保険証明書本紙と一緒に車内のダッシュボードなどに入れておくようにしましょう。
営業店の窓口に出向いて手続きする場合は、下記の必要書類を持参してください。
- 自賠責保険証明書
- 契約者の印鑑
- 登録番号や標識番号も変わる場合は新しい番号が確認できる書類
任意保険の場合
任意加入の自動車保険の場合、契約内容変更手続きについては、必ず契約者本人が保険会社または保険代理店に連絡する必要があります。保険会社によっては、インターネットの契約者ページから手続きできるところもありますので、確認してみましょう。
まとめ
車に関する手続きは、引っ越し先によって陸運支局の管轄が変わると、ナンバープレートの変更も必要となり、車の持ち込みなどなかなか大変。引越し前に、どんな手続きが必要なのか、手続きをする場合はどこに行けばよいのか、確認しておくと安心ですね。
また、そもそも遠距離引越しの場合はとくに、車の輸送方法も要検討。見積もりを取る前に、どんな方法がいいか目ぼしをつけておくといいかもしれませんね。