子どものいる家庭にとって、とても重要な「児童手当」。引越しの際にきちんと手続きをしておかないと、支給が止まってしまったり、受け取る額が減ったり、損をしてしまうことも。引越しには必要な手続きがたくさんありますが、児童手当の手続きも忘れずに済ませておきましょう。ここでは、引越しをしたときの児童手当の手続きについてまとめます。
児童手当は、中学校卒業までの児童の養育者に支給される
「児童手当」とは、子育て支援の一環で、0歳から中学校卒業までの児童を養育している人に給付金が支給される制度のこと。2012年4月に、「子ども手当」から「児童手当」に名称が変更になりました。支給額は子どもの年齢、その家庭の子どもの人数によって異なり、一人あたり5000円から1万5000円です。
児童手当の支給額
児童の年齢 | 児童手当の額(一人あたり月額) |
3歳未満 一律 | 15,000円 |
3歳以上小学校修了前 | 10,000円(第3子以降は15,000円) |
中学生 | 一律10,000円 |
2012年6月には、所得制限が導入されました。養育者の所得が所得制限限度額以上の場合、児童の年齢に関わらず、手当は「特例給付」として月額一律5000円。「児童手当」も「特例給付」も、子どもがいる家庭にとっては大事な収入源となります。引越し後もきちんと受け取れるように、手続き方法をチェックしておきましょう。
同じ市区町村内の引越しなら、「転居届」の提出でOK
児童手当は、児童の養育者である受給者が住民票を登録している市区町村から支給されます。近距離の引越しで、旧居と新居が同じ市区町村の場合、受給元は変わりません。市区町村の役所の窓口に、「転出届」と「転入届」2つの役割がひとつで済む「転居届」を提出するだけで、これまで通り児童手当を受け取ることができます。児童手当に関する特別な手続きは、必要ありません。
別の市区町村への引越しなら、2つの手続きが必要
長距離の引越しで、旧居と新居が別の市区町村になる場合は、児童手当の受給元が変わります。旧居の役所と新居の役所でそれぞれ手続きが必要になるので、ポイントを押さえておきましょう。
旧居の役所には、「児童手当受給事由消滅届」を提出する
引越し先の市区町村から児童手当を受給するためには、まず、旧居の市区町村の役所に「児童手当受給事由消滅届」を提出します。児童手当受給事由消滅届は、役所の窓口でもらえるほか、ほとんどの市区町村では、ホームページからダウンロードできます。必要事項をあらかじめ自宅で記入して持っていくとスムーズです。請求者の印鑑を忘れずに持っていきましょう。
児童手当受給事由消滅届は、引越し日の15日前から引越し当日まで提出が可能です。一部では、「転出届」に記入した「転出予定日」で、児童手当の受給資格が自動的に消滅する自治体もあります。その場合、児童手当受給事由消滅届の提出は必要ありません。
新居の役所には、「児童手当認定請求書」を提出する
新居の市区町村の役所には、引越し日から15日以内に「児童手当認定請求書」を提出します。児童手当認定請求書は、役所の窓口でもらえるほか、ほとんどの市区町村では、ホームページからダウンロードできます。手続きに必要なものは、以下の通りです。
- 児童手当・特例給付 認定請求書
- 請求者の健康保険証のコピー
- 請求者名義の口座がわかるもの … 通帳、または、カード
- 印鑑 … 本人による署名でも可
- 請求者及び配偶者の個人番号(マイナンバー)がわかるもののコピー …個人番号カード、個人番号通知カード、個人番号が記載された住民票のいずれか
- 窓口へ手続きに来た人の本人確認書類 … 運転免許証やパスポート、個人番号カード、健康保険証など
- 戸籍の附票 … 請求者、または、配偶者が該当年の1月1日の時点で国外に居住していた場合に必要。受給開始月が1月から5月のときは前年の1月1日時点、受給開始月が6月から12月のときは本年の1月1日時点
- 委任状 … 請求者と住民票上で別の世帯の人が、代理で手続きをする場合に必要
役所が請求者と配偶者の所得状況を公簿などによって確認できない場合、請求者と配偶者の「住民税課税証明書」の提出が必要になります。旧居の市区町村の役所に行った際、発行してもらいましょう。また、単身赴任などで子どもと別居する場合、請求者が公務員の場合など、ケースにより必要なものが変わることがあります。あらかじめ役所に確認しておくと安心です。
「児童手当認定請求書」は、郵送でも申請できる
「児童手当認定請求書」は、郵送でも申請できます。その場合、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類は、コピーを同封します。前述の通り、児童手当は手続きが遅れると、支給されなかったり、受け取る額が減ったりしてしまいます。多くの市区町村では、郵送で申請した場合、書類が役所に到着した日を申請日として取り扱っています。簡易書留など、決められた申請期限までに確実に届く郵送方法を選ぶといいでしょう。
遅れると、児童手当の支給額が減る!手続きは引越しから15日以内に
児童手当は、請求のあった翌月分から支給されます。このため、月末にほかの市区町村から引越しをしてきて請求が翌月になった場合は、児童手当を受給できない月が発生してしまいます。
この状況を防ぐため、児童手当に適用されるのが「15日特例」。引越しから15日以内に手続きを行えば、申請が月をまたいで翌月になっても、前の月の分も児童手当が支給される制度です。
児童手当を確実に受け取るために、必ず引越しから15日以内に手続きを済ませましょう。