もう迷わない! スプレー缶の安心で正しい捨て方チェック

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スプレー缶の捨て方

ごみの収集作業員や清掃工場にとって最も危険なごみのひとつが、整髪料、ペンキなどのスプレー缶や、カセットボンベです。これらについては、2018年12月に札幌市で起きた爆発事故をきっかけに、多くの自治体が収集方法を変えているので注意が必要です。

スプレー缶のごみ処理で事故が多発

私たち消費者が何の気なしに捨てるものであっても、収集作業員や清掃車、清掃工場にとっては火災や爆発を招き得る危険なごみはけっこう含まれています。東京では2002年5月に京浜島ごみ処理センターで、不燃ごみが発火元とみられる火災が発生し、死傷者が出ています。ほかにも清掃工場や清掃車の火災事故がたびたび発生しています。

スプレー缶やカセットボンベは、よく捨てられるごみのなかで最も危険なもののひとつです。整髪料、ライターのガス、塗料など幅広く使われていますが、捨てる際にどうすればいいのか知らない人も多いようです。

東京では2019年6月13日、千代田区の三崎町中継所で収集車から船にごみを積み替える作業中、不燃ごみとして出されたごみの中に、ガスが残ったままのスプレー缶が入っていたために火災が発生しました。同年4月5日にもスプレー缶が原因で車両火災が発生しています。

スプレー缶は空にして捨てるのが原則

スプレー缶の捨て方については、 従来は自治体によって穴を開けてから出すことになっているところと、穴を開けないで出すところに分かれていましたが、2019年4月からは収集方法を変更して穴開け不要とする自治体が多くなっています 

穴開け不要のところでも、多くの自治体が、中身を完全に空にしてからごみ出しするよう求めています。現在のスプレー缶には内容物を空にするための「ガス抜きキャップ」が装着されているので、これを使って空にする必要があります。

スプレー缶を「資源ごみ」とするか「有害ごみ」とするかなど、収集の細かいルールは自治体によって異なっているので、引越し先では自治体の定めるルールに従って出す必要があります。

東京23区では資源ごみとしてリサイクル

東京23区では従来から、スプレー缶を捨てる際は穴を開けないことになっていました。使用済みスプレー缶は資源ごみとして回収し、アルミ缶やスチール缶にリサイクルしています。

たとえば東京都文京区では、スプレー缶を捨てる際の注意点として、

  • 中身を使い切って、穴は開けずに出すこと
  • キャップやボタン(ノズル)は可燃ごみに出すこと

を呼びかけています。

スプレー缶本体は、空き缶と同じ「資源」として透明または半透明のビニール袋に入れて、資源の回収日に、飲食料用の缶と同じ青いコンテナに出すことになっています。

 どうしても使い切れず、まだ中身が残っているスプレー缶やカセットボンベなどをごみとして出す場合や、塗料、劇薬(薬剤)のスプレー缶は、不燃ごみの回収日に、中身の見えるビニール袋に入れた上、「キケン」と書いて、なるべく収集職員に直接手渡すこと とされています。それができない場合も、他の不燃ごみとは混ぜずに出すよう指定があるので気をつけましょう。

東京都大田区では「スプレー缶やカセットボンベの穴あけは、大変危険です。絶対に行わないでください」と警告しています。

爆発事故きっかけに収集方法変更した自治体も

一方、同じ東京都でも立川市や武蔵村山市などは、以前はスプレー缶については穴を開けてから有害ごみとして出す決まりとなっていました。しかし、2019年4月からは、穴を開けずに出すようルールが変わっています。

これは、2018年12月に札幌市でスプレー缶の処理方法を誤ったのが原因で爆発事故が起きたことがきっかけです。環境省が事故防止に関する通知を出したのを受け、これらの自治体でもスプレー缶の収集方法を変更し、使用後の穴開けを不要とすることとしました。

事故のあった札幌市の場合は、すでに2017年からスプレー缶の収集方法を変更し、穴開けを不要としていました。これは、2015年5月に市内で2人が死亡した民家火災の焼け跡から穴の開いたスプレー缶が多数見つかったことがきっかけでした。

スプレー缶の穴開けはなぜ危険になったのか?

昔は普通に行われていたスプレー缶の穴開けが、なぜ現在は危険となったのでしょうか。これには地球環境問題が大きく関係しています。

噴射剤のフロンガス規制によって可燃性ガスに変わったため

スプレー缶には内容物を噴射するための噴射剤が入っています。噴射剤にはかつては不燃性のフロンガスが使われていましたが、オゾン層を破壊するということで国際的に問題となり、日本でも1988年のオゾン層保護法でフロンガス使用が規制されました。

この結果、現在使われているスプレー缶の噴射剤は、可燃性の液化石油ガス(LPG)とジメチルエーテル(DME)が中心となっています(一部では不燃性の炭酸ガスや窒素ガスを用いたスプレー缶もあります)。

こうした可燃物を噴射剤に使っているスプレー缶では、穴を開けると可燃性のガスが勢いよく噴出し、周囲に火気があると爆発や火災を引き起こす危険があるのです。

ガス抜きキャップを使う際は屋外の火気のない場所で

可燃性の噴射剤を使っている最近のスプレー缶には、捨てる際に中身を完全に出し切るための「ガス抜きキャップ」が付いています。

ガス抜きキャップを使ってスプレー缶を空にする際には、風通しが良く、火気のない屋外で、風下に向けて、人にかからないように注意しながら使いましょう。また内容物によっては飛散防止のため新聞紙などに吹き付けるとよいでしょう。

中身の残ったスプレー缶の扱いは自治体により異なるので注意

穴開けをしないとしても、スプレー缶の中身を抜く作業には危険が伴います。できればそのままごみとして収集してもらいたいところですが、その扱いは自治体ごとに異なっています。

立川市の場合は、未使用のものや中身が残ったスプレー缶は収集できないとしています。一方、文京区のように「キケン」と掲示して出せばOKというところもあります。

札幌市では、中身を使い切れないスプレー缶とカセットボンベについては、各清掃事務所、消防署、地区リサイクルセンターで引き取りをしており、これらの場所に持ち込む必要があります。

お住いの自治体がどんなルールになっているのか、確認してから捨てるようにしましょう。