引越会社の訪問見積りは、見知らぬ担当者を家に上げることになるので、一人暮らしの女性や、家族世帯でも日中に一人で対応しなければならないことに、不安を感じたり抵抗感を覚える方も。今回は、女性が安心・安全に訪問見積もりを利用する方法について解説します。
引越訪問見積りは絶対必要? 訪問見積りのメリット・デメリット
そもそも引っ越しの訪問見積もりは絶対に必要なのでしょうか。この点は、単身世帯かファミリー世帯か、あるいは荷物の多い少ない、特別な荷物があるなどの特殊事情があるかどうかなどによって事情が異なってきます。
一人暮らしの場合
引越会社の中には、学生や単身者向けの格安パックを用意しているところがあります。こうした単身パックは、一定のサイズのコンテナボックスに荷物を積んだり、運べる段ボール箱の数に制限が設けられていたりするもので、初めから運べる荷物の量が決まっているため、訪問見積もりは不要とされています。
また、コンテナボックスを使用しない場合でも、一人暮らしは「2トントラックロング」で運べる量であることが多く、基本的には訪問見積りなしで問題ありません。
ただし、一人暮らしでも、荷物の量が多い場合や特殊な荷物がある場合には、事前に相談をし、場合によっては訪問見積もりをしてもらった方が安全。当日、荷物が積みきれない…や、そもそも積載不可の荷物があると判明して余分な対応や費用が発生することを防ぐためにも、迷ったら確認するようにしてください。
二人以上、家族の場合
二人以上や、ファミリー世帯の引越しの場合には、引越会社の担当者が運ぶ荷物の量や内容をチェックしたうえで、積載量に対応したトラックや作業スタッフの人数を決めなくてはならないので、訪問見積りが基本となります。
ファミリー世帯であっても引っ越しの見積もりを電話やネットでできるものもありますが、家に来てもらってプロの目で運び出す荷物量などを確認してもらったほうが、適切な人数のスタッフや荷物の量に合ったトラックを手配することができ、無駄な料金を支払うことなくリーズナブルに引っ越しを行える可能性が高くなります。
逆に言うと、まだどの荷物を新居に持っていくかや、引っ越し先・日程が固まっていない段階で訪問見積もりをしてもらっても、具体的な金額は出せないこともあります。このような段階では、ネットの見積もりサイトで概算料金をシミュレートする程度にとどめ、引っ越しの内容が確定してから訪問見積もりを依頼した方がいいでしょう。
訪問見積もりのデメリットとしては、まず立ち会いに要する時間と手間がかかるということがあります。ファミリー世帯の場合であれば、見積もりの所要時間は30分から1時間程度です。たいていの方は3~4社程度から相見積もりを取るでしょうから、そのたびに立ち会わなくてはなりません。
また、引越会社にとって訪問見積もりは、顧客候補の家に入って直接対面できる、またとないセールスの機会です、単なる見積もりだけでは済まず、しつこいセールスをかけられることが多くあります。相見積もりで各社の料金を比較した上で決めることを事前に伝えておいても、「きょう即決してもらえばこれだけ値引きできる」といった強引な売り込みで、契約するまでなかなか帰ってもらえなかったという声も聞かれます。独り暮らしの女性や、平日の日中で主婦が一人で見積もりに立ち会わなければならない場合などは、こうした強烈なセールス攻勢に対応するのはなかなか大変なことでしょう。
訪問1回で複数社の見積もりが可能「訪問見積り代行サービス」
そこで、複数の引っ越し会社に代わって中立の立場から訪問見積もりをしてくれる訪問見積もり代行サービスを利用するという手があります。このサービスを使えば、見積もりへの立ち会いが一度で済む上、各引っ越し会社から売り込みをかけられることもないので、安全かつ便利です。
訪問見積もり代行サービスは、引っ越しの専門知識を持ったコンシェルジュが自宅を訪問して、引っ越し先に運ぶ荷物の内容などをチェック。その情報を元に、複数の引越会社からその場で見積もりを取り、料金交渉も代行してくれます。こうして出そろった各社の料金を比較した上、その場で引っ越しの手配もすることができます。
複数の業者から相見積りをしてもらう場合は、発注しなかった業者には断りの連絡を入れる手間もかかりますが、訪問見積もり代行サービスを使えば、こうした連絡も不要です。引っ越し業者側には発注をするまで顧客情報が流れることもありません。
このほか、コンシェルジュには、不用品の処分やエアコンの移設など、引越しに伴うさまざまな相談ごとにも対応してもらえます。
こうした訪問見積り代行サービスとして、株式会社リベロが運営する「引越しラクっとNAVI」があります。サービス利用は無料で、不動産会社の窓口のほか、ネットからも申し込むことができます。ただし、サービスに対応しているエリアは今のところ、首都圏のみとなっています。
訪問見積りを絶対に女性にお願いしたいなら
引っ越しの訪問見積りで男性の担当者を家に上げることにどうしても抵抗があるという方は、引っ越し会社に女性のスタッフを派遣してもらえるよう頼んでみる手もあります。
引越会社の中には、アート引越センターの「レディースパック」やSGムービングの「レディースムービング」のように、女性向けの引っ越しプランを用意しているところがあります。両社のプランは、引っ越し作業の際に男性スタッフが部屋に上がったり荷物に触れたりすることに抵抗を感じるという女性顧客の声から生まれたものです。
このうち、見積もりの段階から「お客様のご要望に合わせて」女性スタッフが対応すると明記しているのはSGムービングの「レディースムービング」のみですが、他のところでも、女性のスタッフをそろえている大手業者の大都市にある支店であれば、要望に対応してもらえる可能性があります。
ただ、引越会社のスタッフは圧倒的に男性が多いため、中小の業者や、大手でも地方の小さな支店では、女性による訪問見積もりは難しい場合もありますが、まずは業者に交渉してみましょう。