引っ越しのオフシーズンとなる毎年6~8月は安い料金で引っ越しができるだけでなく、賃貸不動産市場の閑散期でもあるため、好条件でお得に部屋を借りられる可能性もあります。暑い夏にダラダラ汗を流しながら引っ越し作業をするのは大変かもしれませんが、この時期ならではの部屋探しのメリットも知っておきましょう。
引越料金を安くするのに重要な部屋探しのオフシーズンとは?
引越しにかかる費用は、引越会社に支払う料金だけではありません。賃貸物件に住むなら、家賃はもちろん、敷金、礼金、仲介料や諸手続きの費用といった、住居そのものに発生する費用も考慮する必要があります。
敷金、礼金、仲介料は、家賃を基準として設定されていることが多いため、家賃自体が下がる賃貸業界の閑散期を狙うことは、引越し総額を抑えるポイントのひとつです。
だからこそ、引越会社の見積り料金だけではなく、家賃の高騰する時期、比較的安くなる時期も知っておきましょう。
では、部屋探しの繁忙期と閑散期はいつ頃でしょうか?
部屋探しのオフシーズンは6~8月
不動産屋が最も忙しくなるのは、毎年12月ごろから翌年4月上旬にかけての時期。繁忙期が落ち着き、5月のゴールデンウィーク明けともなると、部屋を探そうとする人は徐々に少なくなり、6~8月は閑散期になります。9月以降は秋の人事異動の時期になり、再び部屋探しをする人が増えてきます。
部屋探しをする人が極端に少なくなる6~8月ごろになると、賃貸の空き物件はなかなか埋まらなくなります。そうなると不動産屋や家主としては、借り手がつかず空き物件のまま家賃が入らないよりは、多少家賃を下げてでも入居してもらった方が助かるので、好条件で物件を借りられる可能性が高まるわけです。
オフシーズンに部屋探しをするメリット
このように、オフシーズンに部屋探しをする最大のメリットは、賃貸不動産が「借り手市場」になるため、目ぼしい物件が見つかりさえすれば、繁忙期に比べて好条件で借りられる可能性が高くなることです。
初期費用が安く抑えられる
月額家賃が安くなれば、毎月の固定費が節約できるだけでなく、敷金や礼金、仲介料は、家賃の何ヵ月分という形で設定されるため、契約時の初期費用が抑えられます。引っ越し料金が閑散期で安くなることと相まって、転居に伴う費用負担が軽減されるのです。
集合住宅の場合、月額家賃を下げたことが他の居住者に知れると不都合があるとして値下げをいやがる家主もいますが、その場合は敷金や礼金を安くしてもらうよう交渉することもできます。また、一定期間居住することを条件として何ヵ月分かの家賃を免除する「フリーレント」にしてもらえる場合もあります。
じっくり部屋探しができる
加えて、転居や引越しのオフシーズンでは、ゆっくり落ち着いて部屋探しができ、不動産屋にも丁寧に対応してもらえるという利点もあります。
繁忙期だと、好条件の賃貸物件は早い者勝ちなので、これは思う物件が見つかったら、すぐに手付け金を支払って押さえておく必要があります。ほかの借り手に契約されてしまうのを防ぐためですが、じっくりと物件や周辺の状況を検証している暇がありません。不動産屋もたくさんの客の対応に追われて忙しいので、時間をかけて対応してもらえないこともあります。
部屋の問題点を発見しやすい
引っ越しの失敗談としてよくあるのが、引越し後に物件のマイナスポイントが露わになるという事例。内見のときは気づかなかったけれど、住んでみたら壁の薄さや、雨の日に下水のにおいがした…などです。
壁の薄さは、住人がいる時間帯の内見でないと気付きにくいですが、少なくとも室内の悪臭や蒸し暑さ、カビの発生など、衛生面の問題は、とくに夏場に顕著になります。この時期に物件の状態を確認することで、春先だったら見落としてしまいそうな部屋の欠陥を探知しやすくなります。
オフシーズンに部屋探しをするデメリット
一方、オフシーズンの部屋探しにはデメリットもあります。それは、繁忙期に比べて出回っている物件の数が少なく、良い物件が見つかりにくいということです。
この時期に入居者を募集している賃貸物件は、完成したばかりの新築物件や繁忙期を避けて退去した人がいない限りは、繁忙期に入居者が決まらずに5月を過ぎても借り手が見つからなかった「売れ残り」物件の可能性があります。
あるいは、あまりに好条件の物件がオフシーズンに空いている場合は、以前の居住者が何らかのトラブルで突然退去したり、人が亡くなったりといった理由で空き物件になったなどの「訳あり物件」である可能性もあります。
あるいは、あまりに好条件の物件がオフシーズンに空いている場合は、以前の居住者が何らかのトラブルで突然退去したり、人が亡くなったりといった理由で空き物件になったなどの「訳あり物件」である可能性もあります。
以前の居住者が部屋で殺されたり、自殺したり、孤独死して長期間放置され、白骨化した状態で見つかったというような理由で空き家になった不動産は「事故物件」と呼ばれています。
こうした物件には「心理的瑕疵(かし)」、つまりそのことを知っていたら入居しないだろうと思われる欠陥があるとされ、不動産仲介業者には事故物件であることの告知義務があります。ただし、「事故物件」に該当する範囲がどこまでかや、「事故」があってからどのぐらいの期間「事故物件」扱いすべきかの基準はあいまいで、不動産業者によって対応が異なっています。
もし希望の物件を見つけて、周辺の相場に比べてあまりに家賃が安すぎるなど不自然な点があった場合は、不動産屋にその理由を尋ねてみましょう。もし「事故物件」であることを知らせずに入居させた場合には損害賠償責任が発生することもあるので、よほど悪質な業者でない限りは、聞けばきちんと教えてくれるはずです。