老後を見据えた住み替え、引越し事情とは?

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老後の住み替えマンション? 戸建て?

「人生100年時代」と言われるように、平均寿命が長くなった現代では、60歳で定年を迎えたとして、人生の残り3分の1をどのように過ごすかは大きなテーマです。セカンドライフを快適に過ごすため、これまで住んでいた家からの住み替えを考える人は少なくありません。シニア世代の住み替えにはどんな形があるでしょうか。

マンションへの住み替えで生活をコンパクト化

人々がセカンドライフを考えるのは、子どもの独立や定年退職がきっかけになっていることが多いようです。三井不動産が首都圏の自宅からの住み替えを検討している50~80歳の人々に行った2011年のアンケート調査によると、子どもが就職や結婚で巣立っていき、夫婦二人暮らしとなるのをきっかけに、一戸建ての家から、よりコンパクトなマンションへの引っ越しを考える人が多く見られます。

引用: シニア世代の“住みかえ”に関する意識調査 ( 三井不動産販売株式会社 )

一戸建てからマンションへの住み替えの理由としては、一戸建て住宅は維持・管理により手間がかかり、老後になるとこれがより煩わしくなると考えられることや、郊外にあって車なしでは不便な家より、鉄道やバスなど公共交通機関へのアクセスの良い地域に住み替えたいこと、老朽化した一戸建てよりも、1981年以降の新耐震基準のマンションの方が耐震性にも優れ、セキュリティーも充実していること、さらに将来の相続時に子どもにかかる負担も少なくなることなどもあります。

また、リタイアを機に通勤の便を考えなくてよくなることから、買い物や通院などに便利な場所に引っ越したいという需要もあります。

セカンドライフは都心回帰の傾向

どんな場所に引っ越すかについては、住み慣れた現在の住まいの周辺にするか、生活利便性の高い都心部にするか、あるいは思い切って自然に恵まれた新天地の田舎に引っ越すかといった選択肢があります。

調査によると、全体の75.6%にあたる4分の3の人がセカンドライフに当たっての住み替え先としては都会を選んでおり、田舎暮らしよりも利便性の高い都会暮らしが好まれる傾向にあります。

引用:シニア世代の“住みかえ”に関する意識調査(三井不動産)

自然に囲まれた田舎暮らしを望んでいる人も24.4%と4分の1に上っており、リタイアをきっかけに新天地でのんびりした第二の人生を歩みたいと考える人も根強いようです。

一方で、全体の6割近い57.6%の人が、現在住んでいるエリアと同じエリアへの住み替えを希望しており、住み慣れた現在の住生活環境をあまり変えたくないという傾向もうかがえます。

子どもとの同居や近居志向も

子どもや孫たちと同居したいと考える人は、調査では57.4%と全体の6割近くに上っています。また、子ども帯と同居まではしなくても、近居や隣居により、互いに支え合いながら楽しく安心して暮らしたいという人も多いようです。

子ども世帯と同居したいという人には、現在住んでいる一戸建て住宅を2世帯住宅に建て替えることも選択肢に入ります。

1975年から2世帯住宅を商品展開している旭化成ホームズの調べでは、一時期減少傾向にあった2世帯住宅の注文数は、2008年ごろから再び増加傾向に転じています。2世帯住宅の構造も、かつては同じ建物でありながら、いったん玄関を出なければ互いに行き来できない「完全分離型」が多かったのですが、最近は親世帯と子世帯の交流スペースを設ける「融合型」が主流となっています。

2世帯住宅の人気が再燃してきた背景には、夫婦共働き家庭が増えてきたこともあります。かつて専業主婦が多かった時代には、一つの家の中で嫁としゅうとめのどちらが台所の主導権を握るかといった感情的対立も生まれました。しかし、共働きが増えたことによって、嫁としゅうとめが日中に顔を合わせる時間も減る一方、子世帯にとっては育児を親に手伝ってもらえ、親側もこれにより孫を育てる楽しみを味わえるようになりました。

なお、「完全分離型」の2世帯住宅であれば、将来、親世帯と子世帯のどちらかがいなくなったときに、空いた部分を貸し出して家賃収入を得ることも可能になります。

サービス付き高齢者向け住宅も検討対象に

年齢に伴って日々の暮らしにだんだん不便や不安を感じるようになったが、介護施設に入るにはまだ早いというシニア層の住み替えでは、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への入居も検討対象となってきます。

サ高住とは、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)に基づく高齢者向け住宅で、バリアフリー化されているうえ、安否確認・生活相談サービスが付いています。

高齢者ばかりのところはいやだという人には、集合住宅の一部の住戸だけをバリアフリー化した「分散型」のサ高住もあります。

たとえば、東京・板橋区の「ゆいま~る高島平」は、高島平団地に点在する空室を改修した分散型のサ高住で、隣室には子育て中の若い世帯が暮らしていたりと、地域に溶け込んだ環境で暮らせるのが特徴です。

まとめ

住み替えのための引越し先選びに加え、引越しそのものも体力が必要です。まだまだ先のこと…と考えてしまう方も多いと思いますが、快適なセカンドライフを過ごすためにも、老後はどこに住みたいのか、引越しはどうするべきか、早めに検討してみるのもいいかもしれませんね。

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