老後に備えて引越しを検討。失敗しないためには何が必要?

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老後の引越しのために必要なこと

リタイア後の第二の人生では、郊外の一戸建てから便利な街中のマンションに引っ越そう、あるいは新天地で田舎暮らしを始めるのもいいかも…など、さまざまなプランを立てている方も多いでしょう。ただ、シニア層の住み替えに当たっては、気をつけるべき点があります。失敗する前に、注意点を知っておきましょう。

老後に住み替え引越しを検討。資金はどうする?

住み替えに当たって第一に問題になるのは、資金です。それは老後用の住宅への住み替えでも同様。

新しい住宅を購入する場合、定職・定収入があるのなら住宅ローンを組むことも可能ですが、金融機関によっては借入時の年齢を71歳未満に制限しているところもあります。

これまで住んでいた家を売却して新しい家の購入資金に充てる場合には、そのタイミングが重要になります。新しい住居への入居が可能になる前に売却してしまうと、それまでの間は仮住まいが必要となってきます。逆に住み替え先の引き渡し時までに売却ができなければ、購入資金も捻出できません。

これまでの住居は転居3年以内の売却がお得

預貯金や退職金で購入資金を賄えるようであれば、これらを使って新居を購入し、それまで住んでいた家はゆとりをもって売却するのがベストです。

ただ、転居から3年経過後の年末までに売却すれば、譲渡所得から最高3000万円を差し引いて税額を計算できる特別控除が適用されるので、税金対策を考えて3年以内には売却するようにしましょう。

購入費用以外の維持費も計算必須

購入後もマンションであれば毎月の管理費や修繕積立金がかかる上、固定資産税などの負担もあります。病気やけがなどで思わぬ出費が出てくる可能性もあるので、これらも考慮した余裕ある資金計画を立てる必要があります。

入居審査を考えるとサ高住も選択肢に

一方、退職後のシニア層が賃貸住宅を借りようとする場合、一般の民間マンションなどでは審査で落とされてしまう恐れもありますが、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などのシニア向け物件を選択するという手もあります。

サ高住ならバリアフリーに設計されているうえ、見守りや訪問のサービスもあり、一人暮らしのシニアでも安心して住めるというメリットがあります。ただし、その分、月々の固定費が一般の賃貸マンションに比べて多くかかりますので、事前によく調べましょう。

老後の引越しでマンション購入をする場合の注意点

老後を見据えた住み替えでは、子どもが巣立って夫婦二人暮らしになったのを機に、郊外の一戸建てから、買い物や交通の便が良く、維持・管理も楽な市街地のマンションへの引っ越しを考える人が多くいます。

なかでも、駅前や中心市街地に立地し、耐震性や防音、セキュリティーも万全なことで人気を集めているのが、タワーマンションです。最近では地方都市にも続々建設されています。低層階には容積率緩和策として図書館などの文化施設や商業施設が入ることも多く、マンションからほとんど出ないで生活できる場合もあります。

ただ、タワーマンションの購入契約には注意点もあります。新築物件の場合、募集・契約から完成までに2~3年を要するのが一般的です。契約から3年ともなると、その間に家族構成や勤務地、生活感などが変わったり、高齢者の場合は死んでしまったりすることもあり得ます。実際、さまざまな理由で手付金を放棄して解約せざるを得なくなる人はかなりいるようです。

また、窓がはめ殺しや全開できないものだったり、自然通風による換気ができなかったり、ベランダに洗濯物を干せない物件も多い点などは、それまで一戸建てに住んでいた人は戸惑うかもしれません。高層階に住む人は部屋にこもりがちになるともいわれています。

田舎への移住には思わぬ落とし穴も

定年後の終の棲家(ついのすみか)として新天地の田舎への移住を計画する人は多くいます。しかし、慣れない土地での暮らしには思わぬ落とし穴もあります。

ある県の行政当局者から聞いた話です。その県は年間を通じて温暖な気候で、フルーツ王国として知られ、近くに原子力発電所もなく、都会でリタイアした人の移住先として絶大な人気を誇っています。ところが、移住生活に挫折して引き返す人々もかなり多いというのです。

当局者はその主な原因として、よそ者に冷たい排他的な住民気質のせいで、移住者が地域社会になかなか溶け込めない点を挙げていました。

もっとも、最近は移住者同士のコミュニティーも形成されているそうなので、状況は変わりつつあるのかもしれません。いずれにせよ、初めて暮らす土地が自分にとって本当に住みよいかどうかは、実際に住んでみないことにはなかなかわかりません。移住に失敗した場合のことも考えて余裕を持った計画を立てることが重要です。

買い物や通院の利便性も要チェック

また、長年都会暮らしをしてきた人が地方に移住するに当たっては、将来、体が不自由になったときのために、買い物や通院の便の良さ、公共交通機関が利用できるか、シニア向けの行政サービスがどの程度充実しているかといった点も重要になります。

地方都市では中心市街地の商店街が郊外型ショッピングセンターに取って代わられ、車なしでは日常生活が成り立たないところが多くなっています。近い将来には自動運転が実用化されるといわれていますが、自分で車を運転できなくなった場合の対策も検討しておきましょう。

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