2017年から宅配便最大手であるヤマト運輸の当日再配達受付時間が19時までに繰り上げられ、1人暮らしで昼間在宅していない人にとって、その日のうちに再配達を受けることが厳しくなりました。
一方でその対策として、コンビニでの受け取りや宅配便ロッカー設置など、利用者の都合のいい時間帯に自宅以外で受け取れるサービスが強化されています。
運転手不足と働き方改革で「宅配会社」のサービス内容変更
配達をしてくれる宅配スタッフの方たちの待遇改善のために、宅配サービスの変更が増えてきています。
- 再配達の受付時間の締め切りが前倒し
- お昼の時間の配達時間指定ができなくなった
ヤマト運輸では、2017年4月から、不在再配達の宅配便を当日のうちに再配達してもらえる電話受付の締め切り時刻を、それまでの20時から19時に変更しました。
また、それまでは配達時間帯を、8〜12時、12〜14時、14〜16時、16〜18時、18〜20時、20〜21時の6つの時間帯から選べるようになっていたのを、12〜14時の配達時間帯が選べなくなったほか、最終の時間帯が19〜21時に変更されました。
12〜14時の配達時間帯がなくなったのは、運転手が昼食時の休憩をきちんと取れるようにするためです。また、最終の時間帯については、従来の20〜21時の時間帯に再配達依頼が集中し、時間内に配達できないこともあったため、時間帯に余裕を持たせて19〜21時としたものです。
料金の値上げも実施
一方で同社では同年10月1日から、27年ぶりに宅急便の料金値上げに踏み切りました。理由については「これからも宅急便のネットワークを維持、発展させていくため、また、その担い手である社員の健全な労働環境を守るため」と説明しています。
つまり、 再配達受付時間や配達時間帯の変更、宅急便の値上げは、いずれも運転手の待遇改善のために実施されたもの です。
ヤマト運輸がこのような改革に踏み切ったのは、ネット通販の拡大により宅配便の配達が急増し、運転手が過酷な労働を強いられるようになっていたためです。
ちなみに、こうした宅配便の労働条件・待遇改善に伴い、引越し業界から宅配便業界に運転手が一気に流入したため、今度は引っ越し業界の人手不足が深刻化したという話もあります。
一人暮らしの宅配便受け取りをどうするか?
宅配便最大手のヤマト運輸のサービス変更により、一人暮らしの人が荷物を受け取るのはますます難しくなりました。
仕事が終わるのが18時として、残業も買い物も道草もしないで1時間以内に自宅に着かなければ、その日のうちに荷物を再配達してもらうことはできません。
翌日以降の再配達をリクエストしたとしても、一番遅い配達時間帯でも19〜21時なので、やはり19時までに帰宅していなければ確実に受け取れるとは限りません。
結局、自宅で荷物を確実に受け取ろうとすれば週末を選ぶしかなくなり、土・日・祝日の配達業務が混み合うことになってしまいます。
そもそも、日本では単身者世帯や夫婦共働きが増え、平日日中は不在にしている家が多くなっているため、自宅ではなかなか宅配便を受け取りにくい状況になっています。
対策として打ち出されているのが、集合住宅などに設置する宅配ボックスや、コンビニエンスストアでの受け取り、複数の宅配便会社が共同で使える宅配便ロッカーなどです。
コンビニ受け取り
コンビニでの受け取りであれば、24時間いつでも都合の良いときに荷物を受け取ることができます。また、一人暮らしの若い女性など、玄関を開けて荷物を受け取ることに抵抗がある方にも向いているかもしれません。
集合住宅の宅配ボックス
マンションなどの集合住宅では、宅配ボックスを設置するところも増えてきました。不在配達票に記載された暗証番号にダイヤルを合わせてボックスを開けるもので、駅やスーパーなどに設置されている共用型の宅配便ロッカーと違い、あらかじめ宅配便会社に会員登録しておく必要もないので、手軽に利用できます。
オープン型の宅配便ロッカー
一方、駅やスーパー、コンビニなどに設置されて、複数の会社の宅配便に対応し、誰でも利用できるオープン型の宅配便ロッカーも増えています。
「PUDOステーション」という宅配便ロッカーは、ヤマト運輸をはじめ、日本通運や佐川急便などの宅配便の受け取りに使えます。
設置場所によっては24時間いつでも荷物を取り出せるものもあります。マンションなどに設置の宅配ボックスと同様、荷物を受け取る人がロッカーの使用料を支払う必要はありません。
オープン型の宅配便ロッカーを使うには、あらかじめ宅配便会社に会員登録しておく必要があります。ロッカーを開けるためのQRコードはメールで宅配便会社から送られてくるので、これをスマホの画面からロッカーのスキャナーに読み込ませて解錠します。
クール便や大きな荷物は受け取り不可
ただ、宅配ボックスや宅配便ロッカーは、クール便などには使えない上、入れられる荷物の大きさも限定されています。「PUDOステーション」の場合、縦・横・高さの合計が100cm以上の荷物については利用できません。また、重い荷物の場合は外で受け取って自宅まで運ぶのも一苦労です。
まとめ
2017年のヤマト運輸の宅配便サービス変更は、「働き方改革」をめぐる一つの問題提起ともなりましたが、これにより、一人暮らしの人にとっては、なかなか荷物を受け取りにくい状況ともなってしまいました。
対策として最近増えている宅配便ロッカーやコンビニ受け取りの利用も、自宅まで荷物を配達してもらうのに比べると、やはり面倒くささは否めません。
結局、宅配便を利用する側も、無駄な残業をせず早く家に帰るとか、テレワークを活用して在宅勤務するといった「働き方改革」をすることが、自宅で楽に宅配便を受け取るためにも重要と言えそうです。