いかにお客様に喜んでいただくかという思いがサービス向上の決め手｜アップル引越センター

2020.12.18

アップル引越センターという引っ越し会社をご存知でしょうか？

同社ではAIによる引っ越し料金自動見積もりシステム「ラクニコス」を始めとした「引越しtech（引越し×IT）」を業界でもいち早く掲げ、業務効率化による高品質・低価格を実現。サービス面においてもお客様アンケートの全公開や引っ越し当日までキャンセル料無料など、型破りな施策を実現しており、その結果口コミやリピートによるサービス利用がお客様の4人に1人を数えるなど、熱い支持を集めています。

「すべてはお客様の笑顔のために」を会社理念として掲げる同社が考える「人気の秘訣」とは？株式会社アップル社長室マネージャー高江洲義大さん、同東京本社石田麻美さん（以下敬称略）にお話を伺いました。

「お客様に喜んでほしい」という気持ちこそ弊社の強み

本日はよろしくお願いいたします。御社ではお客様から寄せられたアンケートをネガティブな内容も含めて全て公開していたり、引っ越しのキャンセル料金を当日まで無料にしていたりと、引っ越し業界ではなかなか他に見られないサービスを展開しています。そんな中、御社の特徴、強みと言えばどのあたりになるでしょうか？

石田：はい、他社であまりやられていないという点で言えば、弊社の強みは2つあると思っています。

まず1つ目はNPS（編注、ネット・プロモーター・スコアのこと）経営を取り入れていることで、NPSとはお客様がある商品について、「どれだけ周りの人に薦めたいか」を数値化するものです。

参考：NPS^®(ネットプロモータースコア)とは？（NTTコムオンライン）

引っ越し業界は長らくお客様に喜んでいただくという観点がなく、あくまで時間の対価として料金をお支払いいただくというのが常だったと思うのですが、それを変えていこうということで、弊社ではサービスをご利用いただいたお客様の約半数からアンケートと一緒にこのNPSをご回答いただいて、その結果をサービスにフィードバックしています。

お客様の半数からアンケートが返ってくるという時点でまず凄いですね。

石田：はい、そのあたりもどんな質問なら回答しやすいかなどを考えて、工夫をしています。そして返ってきた回答についてはどんどん現場に反映させていまして、例えば現在作業スタッフが着ているユニフォームは抗菌、消臭タイプのものになっていますが、これも「作業中のスタッフのにおいが気になる」というお客様の声を受けてリニューアルしたものです。

これは現場の作業スタッフだけではなく、営業メンバーも同様にNPSでお客様から評価をしていただいていまして、その結果を見ながら話す内容から声のトーンまで、いかにお客様の不安を取り除くかということを考えつつ、日々改善をしています。

さらにいえばこのNPSは社内の人事評価にも反映されていて、お客様にご満足いただいたスタッフは、高い報酬を得られる仕組みになっています。面白いことに最初は報酬目当てでNPSを高めようとしていたスタッフも、お客様の喜ぶ顔を目の当たりにすると、段々意識が変わってくるんですね。今では多くのスタッフが「お客様に喜んでほしい」という気持ちの方が強いと思います。

こうした取り組みを続けた結果、弊社のサービスは運送業界の平均NPSスコア（どれだけ周りの人に薦めたいか）が約1のところを、約75という高い評価をいただいています。実はこれ、アメリカのアップルやリッツ・カールトンといった超有名企業よりも高い数値だったりします（笑）

かなり衝撃的な数値ですね…。続いてもう一つの特徴も教えてください。

石田：はい、もう一つは「引越しtech」というもので、これは「引越し×IT」を表す弊社の造語です。

一番わかりやすい部分で言うと、弊社では「ラクニコス」というオンライン見積もりシステムを開発運用していまして、こちらでは過去に貯めてきた約100万件の引越し見積り実績を活用して、全自動で見積もりを算出しています。引っ越し業界全体では紙やFAXが当たり前だった中で、早い段階からデータを整備して、4年前に実装にこぎつけました。

さらに言えば統合的ERP（統合基幹業務システム）も弊社の「引越しtech」を表しているかと思うのですが、こちらのシステムでは配車管理、生産管理、入出金管理、人事など、会社のあらゆる業務を全て1つのシステム上で行っています。

このシステムの中にはAIを使った引っ越しの需給予測や、アルバイトなどの人員配置の最適化も含まれているのですが、なぜ弊社がこうしたIT化に力を入れているかと言えば、簡単に言うと作業の効率化による人件費の削減です。この部分のコストを減らせば、お客様からいただく費用を上げずに済むわけで、最終的にはいかにお客様に喜んでいただくか、というところに行き着くんですね。

なるほど。実際にIT化を推し進めてみて、現場でのお客様の反応はいかがですか？

石田：正直なところ、ラクニコスを利用する上で不安感がある、というお声をいただくこともあります。というのも、オンラインで本当に正確な料金が分かるのかとか、後から追加費用がかかるのでは、という懸念がおありの方もいらっしゃるんですね。引っ越し業界では現場などで追加料金が発生することはそれほど珍しくないので、仕方がない部分もあるかなと思います。

ただ実際にはラクニコスで表示された金額は、よほどのことがない限り変更にはなりません。例えば見積もり時より段ボールが数箱増えたとしても、それがお客様の意図したことでない場合は、追加費用が発生しても弊社側で負担しています。何しろ弊社のシステムがそれを読み切れなかったという責任もありますので…。ただ、全国の集合住宅の間取りデータなども持っていますので、部屋数に対して明らかに荷物量が少ないな、という時はお声がけさせていただく場合もあります。

ついでに言えばキャンセル料無料について、他の引っ越し会社から「そんなわけないので、一度アップルさんに聞いてみて下さい」と言われた、と仰るお客様が時々いらっしゃるのですが、これも本当に、当日までキャンセル無料です（笑）

そういったところで無理に料金をいただくよりも、1人1人のお客様から高いスコアのNPSをいただいたほうが、スタッフとしても会社としても嬉しい、という考え方ですね。

会社といえば御社では、国際医療NGOを支援するなど、引っ越し以外の取り組みについても盛んに行われていらっしゃいますよね。

元々弊社代表の文字は、社会貢献があってこそ企業として成り立つという思いが強く、熊本が大雨の被害を受けた時にも会社のトラックで支援物資を運ばせていただいたりしていましたが、その代表が今回ジャパンハートというNGOの「医療の届かないところに医療を届ける」という理念に感銘を受けて、支援を決めました。

引越し1件につき100円を寄付させていただくということで、前期は約380万円を寄付させていただきましたが、サービスをご利用いただいた方にもご一緒いただいて、皆で社会に貢献していくという仕組みが今後も作れたらいいなと思っています。

コロナ禍においてこそ最大限の「提案力」を発揮したい

素晴らしい企業方針ですね。最後になりますが、今年に入ってからの新型コロナウイルス感染症の影響と、会社としての対応についてもお伺いできますでしょうか？

高江洲：新型コロナウイルスの影響は、数字で言えばやっぱりありましたね。3月から6月あたりは特にそうした傾向が強かったのですが、4月に福岡本社を設立したことなどもあって、6月からは売上ベースで昨年を超えています。ただ、通常3月から4月にある引っ越し繁忙期がそのまま消えたので、そういう意味では業界的に厳しいという側面はありますね。

なるほど…。現場での新型コロナウイルス対応についてはいかがでしょうか？

石田：社内では現場スタッフも内勤のスタッフも全員毎朝検温して、それを全て記録に残しています。また、執務スペースや引っ越し現場ではマスクの着用や消毒も徹底していますし、あとはコンサートやイベントなど、人の多いところにはなるべく行かないよう、社内で呼び掛けたりしていますね。

そうした細かい積み重ねが大事ということですね。新型コロナウイルスに関してお客様にお願いしたいことはあったりしますか？

石田：お客様について言うと、やはり新型コロナウイルスへの警戒をきちんとされている方が多くいらっしゃって、最近では訪問見積もりのご依頼をいただいた時に、玄関先でアルコールを構えて待っている方がいらっしゃいました。もちろんご納得いただくまでアルコールを吹きかけていただきましたし、お客様の求めているものに対して、可能な限り対応をしていきます。

ただ一方で、あるお客様からは引っ越しに使うトラック全体をアルコール消毒して、さらに1日置いてほしいというご要望をいただいたのですが、他のお客様のことも考えると、それは対応が難しかった、ということがありました。お話を伺うとお体に疾患がおありということで、何とかして差し上げたかったのですが日程的、作業工程的にどうしても難しく…。お客様に何かあってからでは遅いので、やむを得ずお断りしました。

もちろんお客様皆様において、新型コロナウイルスへの不安が非常に大きいことは理解していますし、弊社からもこれまでの実績の積み重ねの中で、「ここまでだったら出来ます」という最大限のご提案をさせていただきたいと思っています。ただ、引っ越しというものはどうしても対面しての作業を伴いますので、そうした中でお客様におかれても、ここまでだったら許容できるけど、ここから先はできないなという、ある程度の線引きをしておいていただけるとありがたいな、と思っています。

福岡支店を設立し、いまや全国のお引越しに対応できるようになった御社の更なるご活躍に期待しております。本日はありがとうございました。