ヤマトホームコンビニエンスによる過大請求についてコメントしてみる。
こんにちわ。引越しラクっとNAVI(@hikkoshinavi)の横川です。
ヤマトHD、引っ越しで水増し請求 4万8000件 https://t.co/Cv94BFrh5Y
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) 2018年7月24日
今日はこの案件について、コメントしたいと思います。
事実、この件で法人のお客様からお問い合わせをいただいております。結論から言いますと、当社(株式会社リベロ)の転勤ラクっとNAVI(法人向けサービス)をご利用いただいているお客様については、過払い請求がゼロ件だったことを、ヤマトホームコンビニエンスさんより、確認が取れております。
もちろん、引越しラクっとNAVIのお客様も、対象外(過払い請求していない)であることを確認取れています。
とはいえ、再発防止の体制が整うまでは、ヤマトさんは新規の引越しの受付をストップしてしまいます。これは、当社からの依頼分も含まれておりますので、当面の間、ヤマトホームコンビニエンスさんへの見積もり依頼ができない状況になってしまいました。
こんな事件が起こった理由は結構シンプルで、引越し会社と企業とで、あらかじめ引越し料金を決めていたから。なんです。
引越し件数が多い企業の場合、毎回毎回、相見積もりを取るのは大変です。特に同時多発的に発生すると、どの転勤者の件でどこの引越し会社と話をしているのか、わからなくなってしまいます。
そこで、対策をとった企業は、時期と、荷物量と、距離だけで、あらかじめ価格を決めた価格表というもので引越し会社と契約をしているケースが存在します。今回のヤマトさんの件もまさにこれに該当しています。
例えば、東京から大阪(距離510km)で、荷物量が10㎥だと、繁忙期は25万円、閑散期は19万円。という感じで価格表が定められているとします。イメージ的にはこんな感じ。
0〜100km | 101〜300km | 301〜500km | 501〜1,000km | 1001km〜 | |
5㎥ | 50,000 | 80,000 | 120,000 | 180,000 | 250,000 |
10㎥ | 60,000 | 90,000 | 130,000 | 190,000 | 260,000 |
15㎥ | 70,000 | 100,000 | 140,000 | 200,000 | 270,000 |
20㎥ | 100,000 | 130,000 | 170,000 | 230,000 | 300,000 |
30㎥ | 200,000 | 250,000 | 300,000 | 350,000 | 400,000 |
※あくまでイメージです。セル内の数字は参考ですので、相場とは関係ありません。
ここで、今回のスクープを最初に報じた、しんぶん赤旗によりますと、実際に運んだ荷物量よりも多くの荷物量を運んだとして、企業側に過剰に請求していた。とのことです。これは、しんぶん赤旗にも書いてありますが、企業とあらかじめ専任契約を結んでいたからこそ(相見積もりを取らなかった)起こりうる事件です。
とはいえ、現場レベルでは、こういった話も聞いています。当初、聞いていた荷物量から、引越し当日、荷物が減った時に、本来ならば、荷物が減った分、安くして請求しなきゃいけないものが、元々の金額で請求されていた。というケースもあるとのこと。
つまり、当初、申告された荷物量よりも当日減ってしまったことで、意図的ではなく、謝って過払い請求してしまった。という話です。だからといって、許されるという話ではありませんが、悪意があったかどうか。という点においては、考え方が分かれそうな気がします。悪意を持って過剰請求した人や支店もあったかもしれませんし、悪意を持っていなかった人や支店もあったかもしれません。
悪意を証明するのはかなり難しいのですが、とにかく、真面目にお仕事をされていた営業マンさんや、現場の人がかわいそうだなという風に感じます。
#赤旗スクープ が社内調査につながり、事実が明らかになりました。
記者会見でヤマトHD山内社長は「(不正は)全国に広まっていた」と述べました。
ヤマト 引っ越し過大請求/法人向けで17億円 被害2640社 日曜版スクープ認める https://t.co/GgXenJ2Xyo pic.twitter.com/0OH1qRhMx6
— 日本共産党 (@jcp_cc) 2018年7月25日
というわけで、組織ぐるみで過払い請求を行っていたのか、個人なのか、悪意があるのか、悪意がないのか。それは僕にはわからないですが、相見積もりではなく、専任契約の悪い部分が出てしまった事件だと感じます。
※専任契約が全て悪いわけではありません。業務負担を減らすための施策の一つとしてはありだと思います。
今回、一番の懸念点は、ヤマトホームコンビニエンスが、この先引越し事業を縮小していくのではないか?という不安です。実際に、ヤマトホームコンビニエンスのグループ内の売上比率は3%です。今後、引越しをなくすことはないと思いますが、わずか3%の売上の引越し事業でトラブルが続くならば、人材不足の続く、物流の方に人員やトラックを移動される可能性もあります。
そうなると、業界4位の引越し件数を受託しているヤマトさんの縮小で、さらに引越しの需給が逼迫します。ただでさえ、働き方改革で引越し料金が値上がりしている中、さらなる価格上昇の要因となりそうな、ヤマトさんの動向には、注視しなければなりません。
最後に
というわけで、引越しの相見積もりではなく、専任契約をすることで、起こってしまった今回の事件。
僕たちが推奨する、相見積もり方式では、価格を抑制することや、価格を低減する事に注目が行きますが、こういった悪意を持った攻撃から守るという点でも意味があります。さらには、従業員が不正をする(余計なものを見積もりに含めてしまう)事の防止にも利用できるシステムです。
何が起こるか、わからない世の中だからこそ、常にどんな状況が起こっても、対応できる「猫足立ち」でいきていきたいですね。