引越屋はミタ #001 ~営業マン編~
今回は、趣向を変えて引越し会社の方々に実際にあった、お話をインタービューしたいと思います。引越し会社の営業マンさんは、いろんな方々の人生の転機に遭遇しています。そんな中での印象的な出来事などをお伺いしたいと思います。
まず、第一回目は営業マン編になります。匿名を希望されているので、匿名さんとなります。
簡単に匿名さんの略歴をご紹介します。
お名前:匿名さん
年齢:30代
性別:男性
引越し会社名:秘密(東京の引越し会社)
引越し営業歴:8年
引越し見積件数:7,000件
引越し会社の営業というお仕事
まずは、引越しの営業マンということですから、お客様のお家へ訪問して、お見積を出すお仕事ということですよね?
繁忙期の多い日だと、10件近く周ることもありますが5件くらいでしょうか。
高額な引越しのお話
早速ですが、今まで見積をした中で、一番高額だったお引越を教えて下さい。
私の最高金額のお引越しは、千葉県の一戸建ての建て替えのお引越でした。
4tトラック2台、2tトラック1台分の荷物を、繁忙期に入る2月下旬に取り壊して、新居が完成したのがゴールデンウィーク。
3ヶ月間の保管料を含めての金額ですが、日取りも人気の日でしたので、高額なお引越になりまして総額、126万円でした。
126万円!ちなみに、3ヶ月間の保管料はいくらぐらいだったのでしょうか?
そうなんです。着物や桐箪笥(タンス)などがあったので、空調付きのコンテナを用意しなくてはならない上に、14畳のお部屋の天井までフルフルでいっぱいになるくらいの荷物量だったので、これくらいの金額がかかりました。
印象に残っているお客様
1人目は、赤ちゃんを子育て中の奥さんとのお見積でした。僕の目の前で赤ちゃんにお乳をあげ始めてしまったので、固まってしまいました…ずっと横を向いて引越しの話をしていました。
2人目は、離婚を控えたご夫婦で、これも奥さんとのお見積です。ご主人に内緒で見積を取りたいとのことだったのですが、見積中に「主人が帰ってきた!」と言われ、靴を隠して僕も寝室のクローゼットに隠れるよう言われました…
結局、ご主人ではなかったのですが、非常に気まずかったです。
やっぱり一番嬉しいのは、お客様からお礼を言われることです。
後日、お礼のお手紙を頂くこともあり、とても嬉しかったです。
あるおばあちゃんのお引越では、お一人では荷造りが大変そうでしたので、近所に住むご家族を呼んで頂いて見積に同席してもらい、荷造りの手順やスケジュールについて一緒に考えて、手作りのスケジュール表お渡ししました。後日、そのおばあちゃんから「娘たちを呼んでいったい何をするのかと思ったけど匿名さんのおかげで無事に引越すことができた」とお礼のお手紙を頂きました。
また、最初は『■■センター(引越会社名)さん』と私のことをと呼んでいたお客様が、見積が終わる頃には「匿名さん」と僕の個人名で呼んでくれるようになるのが
嬉しいです。
別のお客様ですが、お荷物が非常に多く、足の踏み場がないお宅(ゴ○屋敷?)の見積がありまして、まず、どの部屋の荷物を捨てて荷造りのスペースを作るか、などお客様と一緒に部屋を見ながら相談をしました。このお客様からも後日お礼の連絡を頂きました。こういったお客様からは、次の引越が決まったときも指名で私に見積をして欲しいとご連絡を頂くことがあります。それが一番嬉しいですね。
『匿名さんのおかげで息子と向き合えます。』
ご家族の引越で、お父さんとお話をしていたのですが、壁に息子さんが空けたという穴がたくさんありました。息子さんの愚痴を言うお父さんに、「それは何年前の穴ですか?今はそんなことしてませんよね?きっと息子さんも口には出せないけど反省しているはずです。僕も若い頃、親に迷惑をかけたことがありますが後悔しています。」と言ったところ、お父さんが泣き出してしまい、上記の言葉をおっしゃいました。長い間、息子さんと話もしていなかったようです。仲直りが出来ていると良いなと思います。
『元気になったら、また見積に来てくれますか?』
拒食症の女性のお引越でした。実家の新潟県に帰るとおっしゃっていました。「これ以上痩せちゃったらどうしよう…」と言うお客様に、「ご飯を食べたら良いんですよ。新潟はお米が美味しいですよね。」と言ったんです。今、思えば何も考えずに軽はずみな言葉だったなと思うのですが、お客様はポロポロと泣き出して、「元気になったらまた東京に戻ってきます」とおっしゃっていました。その時に言われたのがこの言葉です。
最後はちょっと感動しちゃいますね。やはり、引越しには様々なエピソードがありますね。ご紹介して頂いた方々が仲直りできていたり、元気になって東京に戻ってきているといいですね。