敷金精算でどうしても納得できない場合
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トラブル事例の多さからもわかるように、敷金の精算は深刻な対立に発展することも少なくありません。貸し主と借り主、当事者同士の話し合いで解決できるのが理想ではありますが、どうしても解決できない場合、どうすればいいのでしょうか。
段階的に、いくつかの解決方法を挙げておきます。
◆第三者に間に入ってもらう
貸し主(大家さん)との直接交渉が行き詰まってしまった場合は、まず、仲介した不動産業者の担当者に間に入ってもらって話し合うのがいいでしょう。あなたの主張が正当であれば、貸し主との信頼関係がある不動産業者の意見を伝えてもらうことで、合意に至りやすいといえるでしょう。
◆国民生活センターなどの公的機関に相談する
それでも話し合いが難航するようであれば、『国民生活センター』や『法テラス(日本司法支援センター)』などに相談してみましょう。
こうした機関では多くの類似した事例を扱っており、適切なアドバイスなどが得られるはずです。
◆『少額訴訟』を利用する
さまざまな手を尽くしても話し合いが決着せず、貸し主が敷金を返金してくれないようなケースでは、最終的には裁判で争うことになってしまいます。
とはいえ、敷金の金額はおおむね数十万円程度。弁護士を立てて民事訴訟で争うのは大変ですし、金額的にも見合いません。
こういうケースのために、知っておきたいのが『少額訴訟』という手段です。少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払請求について争う裁判制度です。訴訟に必要な書類などは簡易裁判所の窓口やウェブサイトから入手でき、弁護士などでなくても、自分で申立をすることも可能です。
少額訴訟では、原則として1回の審理で結論が出るので、通常の裁判のように長期化して負担になることもありません。ただし、判決の結果に不服があっても、控訴することはできません。1回だけ異議申立はできますが、その後の判決については不服の申立もできないことは踏まえておきましょう。
また、少額訴訟の手続きを請求しても、被告が通常訴訟での審理を希望した場合、通常訴訟となります。
いずれにしても、当事者同士の話し合いで解決できるのが望ましいことは言うまでもありません。月並みなアドバイスにはなってしまいますが、まずは、誠意をもって話し合うことを心掛けましょう。