賃貸住宅市場が個人間取引を始めると、どうなるのか?

0154001

世間がポッキー&プリッツの日などと浮かれている間に、おもしろいサービスが発表されていました。

未解約物件専門の物件流通プラットフォーム「店舗市場」です。

何がすごいの?

店舗を出店する場合、飲食店なんかは特に、業務用冷蔵庫や業務用コンロ、テーブルにイスなど、とにかく初期投資が大きくなります。ですから、居抜きと呼ばれるように、設備をそのままにして、次の入居者に引き渡すということが、よく行われています。

ですが、その場合も、テナントが退店をして、希望者が入店する間には、不動産会社による仲介が発生します。仲介が発生すると、仲介手数料も当然にかかります。一般的な仲介手数料に比べて店舗の場合は高く設定されています。

そしてなにより敷金礼金が膨大になります。内装や設備を居抜きで抑えても、初期費用はどうにもならないのが現状です。

それを、この店舗市場では、不動産会社を通さず、中抜きすることで、低コストを実現しています。

内輪で物件を回す飲食店オーナー

飲食店のオーナーさんは、独自のネットワークがあって、退店予定の場合は、不動産会社を通すことなく、別の飲食店オーナーに店舗を譲っています。

つまり、店舗市場がやっていることと同じことを、自分たちのネットワークですでにやっているんです!

この店舗市場は、そのネットワークを自分で構築することなく、利用できるのが素晴らしいですね!

この店舗市場、不動産会社を飛ばすために、会員制にしたり、不動産会社は登録できなかったり、工夫されています。

さらに、退店予定の方には成約すると20万円の報酬がでたり、活性化の工夫がなされています。

これが個人の賃貸住宅市場で実現すると?

0154002

このサービスは、「法人」の「店舗」という、手数料の単価が大きい市場だからこそ、できるサービスです。

ですが世の中のトレンドは、法人間取引で上手くいく仕組みは、個人向けにもうまくいく傾向があります。

例えば、ベネフィット・ワンさんが、「法人」向けの「福利厚生」サービスを個人向けに展開しているように、

私たちが、転勤ラクっとNAVIで「法人」向けの「引越し」サービスを個人向けに展開しているように。

遅かれ早かれ、個人向けにも似たような仕組みはでてくるとおもいます。すると、現在の賃貸不動産市場が大きく変化します。

 

例えば、個人間取引でマッチングだけさせて、仲介手数料は家賃の10%に抑えるとかできちゃうわけです。今後は、仲介の際の重要事項説明も、オンラインでもできるようになりますし、仲介業務に関わるコストはどんどん下がっています。

さらに、現在行われている退去時のクリーニング。現在は、次の入居者のために必須になっています。ですが、初期費用を抑えたい入居者と、退去費用を抑えたい退去者のニーズが一致すれば、クリーニングなしでもいい。という選択肢が生まれます。

同様に、不用品なので処分したい退去者と、新しく運び込むのが面倒なので、捨てるなら利用したいと考える入居者のニーズが一致すれば、不用品処分のコストが減るだけでなく、エコなリサイクルシステムになるわけです。すると、新しい家財を持ってくる必要がないので、引越し代金も安くなります。

 

敷金だって、物件ごとに収めたり精算したりするのではなく、敷金担保機構のような組織がでて、ある一定の敷金を預かってもらいながら、お部屋は自由に移動するような仕組みができてもいいのです。

今の賃貸住宅市場は、とにかく移動するのにコストがかかりすぎだと考えています。金銭的にもそうですし、手続き的にも面倒すぎるのです。ですから、このような個人間取引ができるような環境を整備することで、もっと自由にお部屋を移動することができれば、空き家の劣化対策にもなりますし、その結果、地域の防犯対策にもなるのです。

 

こういった、新しい取り組みは、金銭的なメリットが大きく出てくると、市場は一気に変わると思います。

例えば、日本ではグレーとなっているAirbnbですが、利用者の数が無視できない規模になったり、ホテルや旅館のお部屋の数が足りていない状況で、見て見ぬ振りをされているのが現状ではないでしょうか?そんな状況でも、利用者がいるのは、ホテルよりも安価に泊まれるという、明確なメリットがあるからです。

まあ、トラブルも増えているようですが。。。

0154003

空いている駐車場の時間貸である、「akippa」なんかも、個人間取引を提供するサービスです。もっと、個人間取引のサービスは今後、増えていくでしょうし、既存の市場を大きく破壊していくでしょう。

そういった意味でも、このサービスが「店舗市場」が市場をとることができるのか?注目したいと思っています。

本日は、以上です。

著者投稿者 横川
ページトップ
申込フォームへ