日経新聞の、引越し代金がネットの見積もりで下落している。は、本当か?現場と記事の相違点を探ってみた。

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3月12日、日本経済新聞に、お引越しに関する記事が掲載されていました。

引っ越し代金、ネットでの見積もり普及で下落続く

会員専用の記事かもしれませんが、要約すると

・ネットの一括見積もりで単価が下がっている。
・繁忙期だけ、引越しに参入してくる物流会社がある。
・繁忙期だけの引越し会社(物流会社)はトラブルが多い。
・核家族化が進んでいるので、そもそも安くなる要因でもある。
(荷物量が減るため)

この話題、ただいま取材中だったのですが、折角なので、ここいらで一旦まとめて、現場の人たちから聞いたお話と比べてみたいと思います。

賛成な部分

核家族化が進んでいるので、単価が下がっている。

これは、真実だと思います。今までは、家族全員で転勤というケースが、旦那さんだけ単身赴任。といった家族が増えていますし、一人暮らしの人の数も増えていますので、間違いなく核家族化が、単価の下落につながっています。

日経さんの記事でも、数字で核家族化が進んでいることを紹介されているので、間違いありませんね。

ですが、記事内で触れられていない点では、核家族化が進んでいるので、引越しをしやすい環境(気軽に移動できる)になっています。

つまり、引越しの単価は下落しているものの、件数は増えています。

それが、毎年毎年、繁忙期の引越し会社のトラック不足に拍車をかけています。

反対な部分

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繁忙期だけ、引越しに参入してくる物流業者が、価格を下げている。

という内容が書かれていました。ですが、今、トラックを保有している企業や個人は、引越しを受けるよりも、物流の仕事を受ける方が、安定的に収益を得られるので、メイン業務を引越しから物流に切り替える中小の業者が増えています。

引越し業を廃業しているわけではないのですが、看板だけ掲げておいて、実際は物流がメイン事業になっている運送会社が増えています。

それも、ものすごい勢いで。

 

例えば関東圏では、過去にテレビCMもしていて、名前の知られている、全国14拠点で営業していた中堅どころの引越し会社も、この繁忙期でさえ、引越し業務を受けずに物流業務を受けています。

物流の業務がちょっと空いた、その隙間に、お引越しを入れ込むというやり方をしており、引越しを無理に受けなくても、収益が確保しているので、低単価の引越しを受けてくれません。

ですから、記事にあるような物流企業の引越し参入は、数年前ならそうだったのですが、ここ直近のお話では、全く逆の状況になっています。

ただし、どこの業界でも、ダメな会社はありますよね。物流でうまくいかず、引越しに流れてくる会社があるのは知っています。ですから、そんな物流でうまくいっておらず繁忙期の高単価のお引越しを受ける引越し会社は、本当に気をつけたいです。

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どちらとも言えない

そして、タイトルにもなっている引越し代金がネットの見積もりで安くなったのか?

という、皆さんが一番気になる点ですが、僕からの答えは

 

ネットを使って相見積もりを取ることは、安くなる。

 

という煮え切らない答えですいません。

事実、引越し料金の単価も下落していますが、それはネットの見積りが主要因というよりも、ファミリー層の移動と単身層の移動の比率が変わってきたことが要因だと考えます。

むしろ、同じ荷物量、同じ距離で、単純に比較した場合、ここ数年、料金は上がっています。

なぜなら、ガソリン代、人件費が上がっている上に、小規模事業者は物流にシフトし、引越しという業務のプレイヤーが減少しており、引越し業界も大手の占有率が上がっています。

ですから、全体的に、値上がりされた引越し料金の中から、安い料金を見つけるために、ネットを使う。というのが正しい表現ではないでしょうか。

まとめ

僕が中小の引越し業者や、大手の引越し会社の中の人たちから、ヒアリングした内容をまとめますと、

・引越し業務を受けるプレイヤーが減少している。(小規模引越し会社の実質廃業)
・引越しをする人は増えている。(核家族化の結果)
・比較が簡単になったので、ネットを利用する人としない人の差が生まれている。

この結果、引越し業界全体の単価は下がっているものの、各個人のお引越し単価は、むしろ上がっていると言えます。

 

タクシー業界で、長距離のお客さんを捕まえるより、1,000円くらいのお客さんをたくさん拾う方が、利益が出るのと同じで、引越し業界でも、長距離のお引越しよりも、近場の単身のお客さんをたくさん捕まえる方が利益が出ます。

その結果、全国にネットワークを持つ大手の引越し会社が、利益を出しやすく、中小にとっては厳しい状況になったのですが、ネット通販の拡大による物流の業務が増えたことで、中小引越し業者が物流に流れ、大手の寡占が進み始めた業界が、今の引越し業界だと言えます。

中小業者も、潰れたわけではなく、看板は掲げたままなので、外から見ると引越し業界が寡占化されてきつつあることが、わかりにくいとは思います。

 

記事の中で、「昔は電話帳で引越し業者を探したが、今はネットで価格勝負になっている」と大手の引越し会社のお偉いさんがおっしゃっていますが、それって

情報弱者ビジネスが成り立たなくなった。

と、嘆いているだけだと感じるのは、僕だけでしょうか?

これでも大手の引越し会社ですから、まだまだ業界が変わるのは先のようです。

本日は、以上です。

著者投稿者 横川
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