「ひっこし」の漢字は何が正しい?「引っ越し」、「引越し」、「引越」
「ひっこし」と書くとき、どんな漢字を当てはめますか?
引越し? 引越? それとも、引っ越し?
どの書き方も使われているのを目にしますよね。そこで今日は、そんな「ひっこし」の使い分け方について、解説してみます。
結論からいうと、どの漢字の使い方も不正解ではありません。- 口語的な感じで使用する場合は「引っ越し」
- 文章の中で名詞的に使われる場合は「引越し」
- 社名などで使用される場合は「引越」
と表記されている場合が多いようです。それでは詳細をみていきましょう。
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ひっこし会社を見てみよう
まずは、引っ越し業者の名称でチェックしてみましょう。
サカイ引越センター
アート引越センター
ハート引越センター
ハトのマークの引越センター
日本通運(引越しは日通)
このように、 引っ越し業者さんは、引越センターと、漢字2文字の引越で表記されることが多いようです。
引っ越し派の意見
では、4文字の「引っ越し」について考えてみましょう。
意外とこの4文字引っ越しを使っている人は、多そうです。昭和五六年一〇月一日内閣告示第三号 改正の、「送り仮名の付け方」の中では、
複合の語(通則7を適用する語を除く。)の送り仮名は,その複合の語を書き表す漢字の,それぞれの音訓を用いた単独の語の送り仮名の付け方による。
〔例〕 (1) 活用のある語
書き抜く 流れ込む 申し込む 打ち合わせる 向かい合わせる 長引く 若返る 裏切る 旅立つ
聞き苦しい 薄暗い 草深い 心細い 待ち遠しい 軽々しい 若々しい 女々しい
気軽だ 望み薄だ
このように書かれています。つまり、ひっこしは、「引く+越す」の複合の語になっているので、「引っ越し」が正しいということになります。
ところが、この「送り仮名の付け方」には、続きがあります。
読み間違えるおそれのない場合は,次の( )の中に示すように,送り仮名を省くことができる。
〔例〕
書き抜く(書抜く) 申し込む(申込む) 打ち合わせる(打ち合せる・打合せる) 向かい合わせる(向い合せる) 聞き苦しい(聞苦しい) 待ち遠しい(待遠しい)
田植え(田植) 封切り(封切) 落書き(落書) 雨上がり(雨上り)
日当たり(日当り) 夜明かし(夜明し)
入り江(入江) 飛び火(飛火) 合わせ鏡(合せ鏡) 預かり金(預り金)
抜け駆け(抜駆け) 暮らし向き(暮し向き) 売り上げ(売上げ・売上) 取り扱い(取扱い・取扱)
乗り換え(乗換え・乗換) 引き換え(引換え・引換) 申し込み(申込み・申込) 移り変わり(移り変り)
有り難み(有難み) 待ち遠しさ(待遠しさ)
立ち居振る舞い(立ち居振舞い・立ち居振舞・立居振舞)
呼び出し電話(呼出し電話・呼出電話)
このように、読み間違えるおそれのない、引っ越しは、「引越」と送り仮名を省くことができます。ということは、「引越し」でも正解になりそうです。
まとめ「ひっこしの法則性」
つまり、「引っ越し」が、正解ではありますが、「引越し」でも、「引越」でも大丈夫ということになります。
ただし、実際にこの「ひっこし」という言葉は、前述のように引越会社では、一律「引越」だったりするので、ある程度の法則がありそうです。
あくまで筆者が感じる法則性ですが、
2文字の「引越」
前述のように、引越センターや、引越会社といった、名詞で活用する場合、2文字の「引越」を使うことが多そうです。○○引っ越しセンター、△△引越しセンター。
3文字の「引越し」
3文字の「引越し」に出番はないのでしょうか? 個人的には、企業やサイトなどでは、この3文字の「引越し」が増えてきていると感じています。私たちのサービスである、「引越し」ラクっとNAVIもそうですし、ウィキペディアは「引越し」になっています。
さらに、ヤフーのカテゴリーも「引越し」と、3文字バージョン。
最後に、Googleの月間検索ボリューム数と、検索結果数を見てみましょう。検索ボリューム数は、ユーザーがこのキーワードで検索した数。検索結果数は、このキーワードを使っているコンテンツとしてヒットした数です。
キーワード | 検索ボリューム | 検索結果数 |
---|---|---|
引越し | 37,000 | 約 306,000,000 件 |
引っ越し | 82,000 | 約 128,000,000 件 |
引越 | 6,300 |
コンテンツとしては、3文字の「引越し」の勝利。一般のユーザーが検索で使う表記は「引っ越し」の圧勝でした。
ただ、現在は検索エンジンは表記の揺れを考慮して検索結果を表示してくれますので、その点は安心してくださいね。