債権に関わる民法が改正されると、敷金は全額返ってくるのか?

こんにちわ。引越しラクっとNAVI(@hikkoshinavi)の横川です。

今現在、民法改正が行われていて、結構、引越しにまつわる(特にお部屋探しのところですが)部分も大きいので、まとめてみたいと思います。

ポイントとしては

・敷金返還を明示する
・退去の際の責任範囲を明示する
・保証人の責任範囲を明示する

という部分が、変更点として挙げられます。

敷金返還

これまで、敷金は預けている金額という意味に加えて、何かあった時に差し引かれるもの。という意味合いも強かったように思います。

これが、敷金は基本的に借主に返還されるもの。と明文化されることで、敷金は基本的に返ってくるもの。という意味合いが大きくなりました。とはいえ、お部屋を破壊したり、適切な原状回復費用も支払わない場合などには、敷金から補填されるのはこれまでと変わりません。

変わったのは、敷金は返ってくるもの。という明文化されたことで、適切な利用をしたにもかかわらず、借主がオーナー(貸主)や管理会社の言いなりになって、敷金が返ってこないトラブルを防止できるようになったということです。

消費者を保護する姿勢が明確になったけれども、何かしら、消費者側の問題で通常の使用の範囲以上に補修費用がかかるものの、借主が支払う意思がない場合、敷金を使うことができる。という、あるべき姿になるという感じでしょうか。

退去の際の責任範囲

国土交通省の「原状回復を巡るトラブルとガイドラインについて」という指針がありますが、これを全国的に広めていこう、明文化しよう。ということです。

これは非常にいい取り組みだと思います。関東ではよく利用されているガイドラインですが、関西地域などは「敷引き」という商慣習が存在し、敷金から一定金額を自動的に引かれるというケースがまだまだ残っています。

これは、お部屋をどんなに綺麗に使用しても、一定割合の敷金が引かれるという、利用者にとっては残念な仕組みです。今回の敷金返還が、明示されることで、敷引きという商慣習から、礼金に移行すると考えられます。

敷引きも、礼金も、どっちも取られるだけだから、一緒だと思うかもしれませんが、お部屋探しをする際に複数のお部屋の条件を揃えることで、選ぶ側が正確な判断がしやすくなるという点では、いいと思います。

全国的に、このガイドラインが生きてくるということで、いい取り組みだと思います。

保証人の責任範囲

これまで、連帯保証人は、借主と同様の責任を負うという契約でしたが、これからは連帯保証人の責任範囲を明文化することになります。

具体的には、お部屋の原状回復費用として、50万円を上限とする。という具合です。

連帯保証人は、いくらの保証をしているのかが分からなかったのですが、これでどの程度のリスクなのかを知ることができるようになります。

とはいえ、明文化されることで連帯保証人を守ることにもなりますが、連帯保証人を拒否される可能性も高まります。すると、入居者は希望のお部屋に入居できなくなってしまいます。そこで、これからの時代は、保証会社が保証をするケースが増えていくと予想されます。

貸主側にとっても、そもそも保証ができるかどうか分からない連帯保証人よりも、保証会社の方が安心できます。保証費用は1ヶ月分の家賃額くらいが相場ですので、今後は、ユーザーの初期費用が高くなることが予想できます。

いつから適用されるか

現在、衆議院を通過していますので、あとは参議院を通過すれば成立となります。

衆議院は与野党の賛成多数ですから、参議院も通過することがほぼ確実と思われます。この国会で成立すると、2019年の秋から順次導入されていくようです。

基本的には消費者保護という改正ですが、責任の所在を明文化させて、トラブルを減らせそうな改正法ですので、悪徳の管理会社やモンスター入居者以外にとっては、プラスな方向だと思われます。

ちなみに、連帯保証制度も改正されます

賃貸借契約書の連帯保証だけでなく、中小企業が、金融機関からお金を借りる際の、連帯保証についても改正されます。現在、中小企業が銀行からお金を借りようとすると、銀行は代表者の個人保証を求めてきます。さらに、地方の場合は、親族の保証を求めてくるようなところもあります。

親族などは、どの程度のリスクがあるのかも知らされることなく、銀行と中小企業経営者しか本当の財務諸表を知らない中で、連帯保証人として名を連ねることもあります。

その結果、中小企業の経営がうまくいかなくなった時に、連帯保証人がバカをみる状況が起こっています。連帯保証人になったのは「自己責任」という意見は、まさにその通りですが、地方になればなるほど、親族のつながりや、断るに断れない状況が生まれやすいのも事実です。

そんな時に、リスクをしっかりと理解してもらい、第三者が入ることで、余計な連帯保証人をなくすことで、無駄に不幸になる人を減らすことが可能です。

それだと、中小企業がお金を借りれないよ。という声もあるかもしれませんが、親族の財産を担保にしないとお金を借りれない事業こそ「自己責任」ではないでしょうか。本当のリスクを知らせることなく、会社の財務状況を知らせることなく、持ち家や土地などの資産を担保に、事業を見ないで担保以上のお金を貸すような地銀は、潰れてしまえばいいと思います。

おっと、最後は思いっきり感情を込めてしまいました。

とはいえ、担保の価値の3倍以上を貸し付ける、北○銀行、許すまじ。

著者投稿者 横川
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