住民基本台帳からもわかる、2018年の繁忙期は引越しの手配が厳しい理由
こんにちわ。引越しラクっとNAVI(@hikkoshinavi)の横川です。
総務省から、人口移動状況が発表されました。各報道でも出ていますが、東京圏が22年連続で、転入超過となったようです。
東京圏への一極集中続く 22年連続「転入超過」 #nhk_news https://t.co/d5S1KIEJ8J
— NHKニュース (@nhk_news) 2018年1月29日
ここでは、総務省の人口移動状況をチェックして、東京圏の転入超過以外でどんなことが起こっているのかをご紹介したいと思います。本エントリーで使用している図表は、特別に記載がなければ、全て総務省統計局が発表した、住民基本台帳人口移動報告 平成29年(2017年)結果を参照しています。
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引越しをする人が増えた!
まずは、2017年の年間移動者数を見てみましょう。厳密には、移動者数ではなく、市区町村間移動数なので、同じ市内で移動した人は、含まれていませんし、住民票の移動をしていない人も含まれていませんが、間違いなくこの人数は引越しをした。という意味では意味のある数値と言えます。
2017年における日本人の市区町村間移動者数は489万3581人となり,2年ぶりの増加
都道府県間移動者数は228万7310人となり,2年ぶりの増加
都道府県内移動者数は260万6271人となり,2年ぶりの増加
ざっくり500万人が引越しをしている計算になります。1日あたり、13,500人くらいが移動している計算になりますね。2016年のデータで恐縮ですが、厚生労働省のデータでは、日本の人口は、1億2500万人ですから、1年のうちで国民の4%が引越しをしていると言えそうです。
また、世帯数でいうと、同じく厚生労働省のデータでは、1世帯あたりの人数が2.26人とのことですので、220万世帯が市区町村間移動の引越しをしたと言えそうです。1日あたりでいうと、6,000件のお引越しが発生しているようですね。
ちなみに、引越し業界最大手のサカイ引越センターさんの年間引越し件数は、約37万件です。前述の世帯数で割ると、17%のシェアを持っていると言えそうです。果たして、本当でしょうか?
体感の数字で申し訳ありませんが、住民票の移動をしていない人は、かなりいると思われます。なぜなら、サカイ引越センターのIR資料に書かれた、大手6社の売上高から大手の引越し件数を予想して見ます。すると、上位6社で約150万件の作業件数となり、これは全体の68%という数値になりますが、これはあまりにも上位が受注しすぎており、体感と異なる数値です。実際には、上位6社で半分も取れていればいい方だと思います。
(出典:サカイ引越センターIR資料より)
東京圏以外の転出転入状況は
東京圏が、一人勝ちでそれ以外は転出過多というニュースでしたが、個別の都道府県の数字が出ていますのでご覧ください。
このグラフは、東京が際立っており、東京圏である、神奈川、埼玉、千葉も転入超過ということがよくわかります。そして東京圏以外の転入超過の都道府県は、「愛知県」「大阪府」「福岡県」の3府県のみです。意外だったのは京都府も転出超過なんですね。観光では人を惹きつけても、住民は思いの外増えていないようです。
ちなみに、故郷である石川県も残念ながら転出超過です。ですが、転出超過の中でも一番転出数が少ないのが、石川県です。ですから2016年から2017年への人口増減ランキングをまとめてみると、
1)東京都(+75,948)
2)千葉県(+16,203)
3)埼玉県(+14,923)
4)神奈川県(+13,155)
5)福岡県(+6,388)
6)愛知県(+4,839)
7)大阪府(+2,961)
8)石川県(-628)
9)滋賀県(-715)
10)香川県(-962)
このような結果になりました。石川県、意外と頑張ってますね!来年は転入超過を目指して欲しい。(出て行った僕が言うのもどうかと思いますが。。。)
東京圏に転入している人は、どこからきているのか?
東京圏が約11万人の転入超過ということは記事内で書かれていましたが、ではどこからの転入が多いのでしょうか?こちらも調べたデータがありましたので、ご紹介すると
グラフをみると大阪と、兵庫からの転入が多い!!ということがわかります。ツイッターでも、こんなつぶやきが。
働くなら東京だなhttps://t.co/Q0QgdEKD9Z
— 寝る (@_____QAO) 2018年1月29日
北陸新幹線が開通すると、北陸は東京圏になると言われていましたが、実際には転出という形では現れていないようです。まあ、それほど他県に引越しをするという人が多くない地域なので、北陸新幹線ができても、それほど影響がないだけかもしれません。。。
どの年代が引越しをしているのか?
続いて、引越しをしている年代をまとめた資料がありました。
これをみると、圧倒的に20代の引越しが多く、20代で約89万人で全体の約37%は20代のお引越しと言うことがわかります。30代も約50万人で構成比でいうと22%。つまり、20代、30代で全体の約6割を占めることがわかります。
引越しというサービスは、若者向けのサービスという風にも考えられるのではないでしょうか。
まとめ
というわけで、住民基本台帳をチェックしてみました。ざっとまとめると
・引越しをする人は、年間約500万人(約220万世帯)
・転入転出は、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)が一強で、それ以外の地域は、軒並み転出超過
・転入超過は、7都府県だけ
・東京圏に来る人は、大阪府、兵庫県、愛知県など、西日本から来る人が多い
・引越しをする人の60%は、20〜30代で高齢になる程、引越しは少ない
という傾向がわかると思います。
これに加えて、このブログでは何度もお伝えしていますが、
・宅配便が増えて、引越しトラックの手配が困難
・キツイ仕事である、引越し作業スタッフの手配が困難
・働き方改革で引越しスタッフの作業時間の制限がきつく、受注件数が過去に比べて減っている
という引越し業界の現状を加味すると、引越しの件数はここ数年、減っておらずむしろ増えているのに、引越しを受ける方の会社のトラックは減って、作業員が減って、作業件数も減らさざるを得ない状況にあります。
これは何を意味するかというと、引越し料金の大幅な値上げ です。
宅配便が値上げをしても、荷物量が減らなかったように、引越しも値上げをしても件数が減らないことがわかっています。以前は、自由化で競争が激化していた引越し業界も、大手による寡占化と、中小の引越し会社が引越しから宅配事業への業態転換が進み、完全な売り手市場となっています。
これは、ダイヤモンドの物流に関する記事ですが、この内容は引越しにも当てはまります。物流の危機は、引越しの危機でもあるのです。近い将来で、引越し料金がやすくなる。という未来は難しいでしょう。
物流危機が止まらない、10年後もドライバーは24万人不足する – DOL特別レポート https://t.co/WNMFN2sZUU
— ダイヤモンド・オンライン (@dol_editors) 2018年1月30日
毎年毎年、厳しいですと言っていますが、今年は、間違いなく去年に比べて引越し料金は値上がりします。断言します。上がり幅は、10%程度は上がるでしょう。
以前に引越しした時の金額を基準として、同じ金額で引越しをしよう。と考える人は多いと思いますが、それが2、3年前のお引越しだと、今はその金額に10%程度、上乗せするくらいが今の相場の金額と言えると思います。
すでに、3月末のお引越しのご依頼が増えてきています。引越し日が決まった人は、早めの依頼をしないと、今年は引越し難民が出ますので、注意してください。