その地域は大丈夫?マンションや一戸建てを買う前に考えたい、東京での水害について
梅雨真っ盛りです。連日の雨の中をいかがお過ごしでしょうか?電車も遅延気味で、困りますよね。
ところで、この雨や、地震が起きた際の津波。東京はどこの地域が水害に強いか、ご存知でしょうか?
東日本大震災の際には、地盤の強いところが選ばれ、湾岸の高層マンションが全く売れないという時期がありましたが、現在はどこ吹く風、湾岸のマンションも売切御免のようです。
今回は、東京の水害に強い地域はどこか?を考えてみます。
都心部の標高は?
まず、思いつくのは、都心部の標高ですね。水害ですから、水は高いところから低いところへ流れるわけです。つまり、標高の低い地域は水が溜まりやすく、津波が発生した場合の被害も大きいと考えられます。
そこで、今回は「国土交通省 国土地理院」のサイトから、東京の標高マップをご紹介します。まずは、標高マップをご覧ください。
(出典:国土交通省 国土地理院のサイト上の地図のみを切り出し)
左はじのオレンジ色の部分が標高50m程度で、青色が標高0mです。これを見ると、ある地域を境に、標高が一気にかわります。黄色の地域の標高は約20mですが、グリーンは4m程度の標高しかありません。
もうちょっと詳しい写真がありました。これを見ると一目瞭然です。ちょっと見にくいかもしれませんが、A-Bと線が引かれていて、その断面図が下の図になります。
(出典:国土交通省 国土地理院のサイト上の地図のみを切り出し)
これを見ると、昔の江戸城を境に、高台の「山の手」と標高の低い「下町」に分かれているのですね。江戸時代には、山の手には武家屋敷や神社や寺院があり、下町には職人や商人の住まいと、はっきりとわかれていたそうです。
この山の手を含む台地を「武蔵野台地」といって、浅間山や富士山の火山灰が5〜15mほど積もった地域です。この新宿、渋谷、池袋などもこの台地の中に存在します。この地域は、下町エリアに比べると、水害には強そうです。
海水面が上昇すると?
東京では、江戸城(今でいう、皇居周辺)から西側が、武蔵野台地として標高が数十メートルあって、安心そうです。ですが、全てが大丈夫というわけではなく、地域によってバラツキがあるわけです。そこで、このサイトで、海水面がなんメートル上昇すると、どこが水没するかを調べてみました。
まずは、5メートル上昇した場合の水没地域が下の図になります。
東側の、いわゆる下町エリアは広範囲にわたって水没してしまいそうです。
つづいて、海水面が13メートル上昇すると。
江戸川区、江東区、北区、墨田区はかなりのエリアで水没してしまいそうです。
では、海水面が20メートル上昇するとどうなるでしょうか?
目黒川や神田川沿いに水没エリアが増えますが、それでも新宿、渋谷、池袋などはまだ水没エリアには入ってきません。
さらに、海水面が30メートル上昇するとどうなるでしょうか?
ついに、新宿、渋谷、池袋にも水害が進出してきましたが、まだなんとか耐えていそうです。
それでは、海水面が40メートル上昇するとどうでしょうか?
ついに、新宿、渋谷、池袋も、水没しました。それでも、新宿の都庁から区役所にかけてのエリアはまだなんとか耐えていそうな雰囲気もあります。新宿すごい!
といったわけで、新宿、渋谷、池袋あたりは、海水面が30メートルほど、上昇しない限りは、なんとか大丈夫そうですね。それにしても、最近はゲリラ豪雨なんかも発生して、日本は温帯地域と言われていましたが、亜熱帯地域と言ってもおかしくない気象ではないでしょうか?ゲリラ豪雨というか、スコールというかの違いのような気もします。
渋谷駅は谷底だった
またもや、国土交通省国土地理院のサイトで面白い写真がありましたので、ご紹介します。まずはこちらをご覧ください。
(出典:国土交通省 国土地理院のサイト上の地図のみを切り出し)
これは、渋谷駅を中心としたエリアを標高別に色分けしたものですが、これをみると、渋谷駅は渋谷川、宇田川の合流地点に存在し、そこからは宮益坂や道玄坂など、渋谷駅からは基本的に上り坂が続きます。
こういった「谷」の地形の地域は、ゲリラ豪雨(スコール)が起こると、谷に水が集中します。渋谷駅その名の通り、渋い「谷」ですから、スコールの際は気をつける必要がありますね。
また、渋谷駅の地下鉄銀座線乗り場をご存知でしょうか?地下鉄なのに、ホームが地上3Fにありますよね?これも、渋谷駅が「谷」である理由から、こんな状況になっています。
まとめ
これまでをまとめますと、やはり武蔵野台地の方が、水害に関しては優位であることは否めません。特に、大きな買い物(不動産)をする場合は、台地の物件の方がいいのではないでしょうか?
喉元過ぎれば熱さを忘れるという言葉もありますが、湾岸地域のマンションはどうでしょうか?マンション自体の耐震性能は、デベロッパーさんが力を入れているので大丈夫かもしれませんが、そもそも住む地域が水没や液状化など、住むに値しない状況になると、マンションだけが生き残っても、結局住めない地域になってしまいます。
長雨であまり外にでれないこの時期だからこそ、おうちで、地震や、水害について考えてみてはいかがでしょうか?