引っ越し先の病院はどうやって探す!?かかりつけ医の見つけ方から紹介状のもらい方まで徹底解説
引っ越しにおいて準備しておくべきことの1つに、転居先での病院探しがあります。今ではあまりないことかも知れませんが、必要な病院が近所に一軒もなかった、となるといざという時に困ったことになりかねません。
特に現在持病などで病院に通院している方は、新居の近くでも新しいかかりつけ医を見つける必要があります。そこでこの記事では
(1)引っ越し先での新しいかかりつけ医の見つけ方
(2)事前に探しておくべき病院の種類
(3)転院に伴う紹介状のもらい方
などを解説していきますので、どうぞ最後までお付き合いください。
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引っ越し先の病院を探すタイミング
新しいかかりつけ医(ホームドクター)は、引っ越した後や、新居が決まってから探す人も多いかもしれませんが、できれば引っ越しすることが決まった時点、物件探しの段階で探しておくほうが賢明です。
とくに持病があって定期的に通院する必要があったり、小さなお子さんがいるような場合は、家探しをする段階で、医療機関の所在地や通院の便も考慮した上で新居を決めるようにしましょう。
ペットを飼っている方は、動物病院についてもあわせて探しておくと安心です。
引っ越し先のかかりつけ医を探す方法
そうはいっても、土地勘のないエリアで信頼できるかかりつけ医を見つけるには、どうすればいいのでしょうか?
引っ越し先のかかりつけ医を見つけるには、いままでのかかりつけ医の先生に新居の近くにある自分の症状に合った信頼できる医療機関を紹介してもらう方法や、各都道府県が開設している「医療情報ネット」を使って探す方法などがあります。
現在の「かかりつけ医」に紹介してもらう
いままで住んでいた土地にかかりつけ医がいる場合は、その先生に転居先の医療機関を紹介してもらう方法があります。
専門医の全国的な横の繋がりがあるため、医療機関のリストは担当医が持っています。
信頼できる医療機関を紹介してもらえることもありますので、新居から通える範囲でどこに医院があるか、相談してみましょう。
ただし大病院ならともかく、小さな医院や診療所では、かかりつけ医が全国津々浦々の専門医の評判や信頼度などを、くわしく知っているわけではありません。単に新居から通える医療機関をいくつか教えてもらえる程度ということもあり得ますので、その点はご注意を。
そして1つ重要な点として、これまでのかかりつけ医に引っ越し先の医療機関を紹介してもらう際には、紹介状を書いてもらいましょう
本記事後半で詳しく解説しますが、ひとまず簡単にご説明すると、紹介状は正式には「診療情報提供書」といい、患者の既往症や治療経過、その患者を診察する際の留意点などが記載されているほか、検査結果などのデータが添付されることもあります。
この紹介状を引っ越し先での新しいかかりつけ医に渡せば、初診時の診察が安くなる&短縮されたり、直近に受けた検査を重複して受ける必要がなくなるなど、スムーズに治療が引き継がれます。
ネットで情報収集をする
各地域の自分に合った医療機関をネットで探せる公的な検索サイトとして「医療情報ネット(医療機能情報提供制度)」があります。
2007年施行された改正医療法により創設されたシステムで、各都道府県から地域の医療機関に関する情報が提供されており、それぞれの医療機関について、診療科目や診療日、診療時間、対応可能な疾患や治療内容などを参照し、客観的に比較することができます。
このネットが創設される以前は、住民や患者が医療機関の情報を得るには、それぞれの医療機関の広告やウェブサイトなどを探すしかなく、その情報の内容も医療機関や地域によって差がありました。
そこで、法改正により、病院などは医療機能に関する情報を都道府県に報告するよう義務づけられ、報告を受けた都道府県はその情報を住民に提供することになったものです。
医療情報ネットと併せて、各都道府県には住民・患者向けに、医療機関に関する相談対応や助言を行う「医療安全支援センター」も設置されています。
一方、ネット上には医療機関を評価する口コミサイトがあり、地域ごとの病院・医院の評価が書き込まれています。
ただ、こうした書き込みは必ずしも客観的な評価とは言い難く、匿名の書き込みには個人的な主観による偏った評価や、中傷なども混じっているので注意が必要です。あくまで参考程度に留めましょう。
地元の人に評判を聞く
引っ越し先の土地に親類や知人が住んでいるようであれば、その地域の評判の良い医療機関を聞いてみるのも一つの方法です。
また、新居探しで現地を訪れた際などに、地元の人に評判の良い医師を教えてもらうのも良いかもしれません。
引っ越し先で押さえておきたい病院の種類とは?
ところで引っ越しが決まったら、現在は通院の必要がない場合でも、万一に備えて駆け込める医療機関の場所をチェックしておくことをお勧めします。
引っ越してから病院不足に悩まされることがないように、こちらも物件探しの段階から必要な病院探しもできるのが理想ですが、それではどのような病院を探しておくべきでしょうか?
まずはかかりつけとなる内科の診療所を確保
現在の日本の医療制度では、患者の意思で小さな診療所から大きな総合病院まで、自分の受診する医療機関を自由に選べます(余談ですが、これは世界的に見ると意外と珍しいシステムで、例えば国営医療制度を採用している英国では、事前に登録をしていない診療所や病院に直接行っても、受け付けてもらえません。米国でも自分が加入した保険会社のリストにある医療機関しか、原則として受診できません)。
そこで、まずは大規模な医療機関などよりも、体調不良などを気軽に相談できるかかりつけ医として、診療所などの地域医療機関を見つけることが大切です。
ちなみに法律上、診療所とは入院のためのベッド数が19床以下、または入院設備のない医療機関のことをいい、「医院」「クリニック」といった名称を掲げているところもあります。
病院とはベッド数20床以上の医療機関のことで、500床以上の大病院を医師の紹介状なしで受診すると、特別料金がかかります。
診療所 | ベッド数:19床以下 または、 入院設備がない医療機関 |
---|---|
病院 | ベッド数:20床以上 |
基本的には、かかりつけ医は内科の医院や診療所となるでしょう。内科は生活習慣病などの幅広い診療領域に対応しているほか、軽い皮膚炎や目の病気などについても治療薬を処方してくれることもあります。
子どもがいる場合は小児科、小児歯科も
小さなお子さんがいる場合は、かかりつけ医となる小児科と小児歯科も見つけておきましょう。
小児歯科は、厚生労働省の認可を受けた、高度な小児歯科に関する専門的知識並びに治療技術を有する歯科医師です。
お子さんにとってはじめての歯医者さんは、お子さんの口の健康を一生左右すると言っても過言ではなく、子どもの歯や口内を良く知っている先生に診療してもらうことが大切です。
小児科医・小児歯科医の探し方
かかりつけにする小児科医や小児歯科は、健康診断や予防接種を受けるチャンスを利用するなどして見つけられます。
また小児歯科の専門医は、日本小児歯科学会の公式サイトからも探せます。
地域によっては、妊娠中に小児科医に赤ちゃんのことを相談できるプレネイタル・ビジット(出産前小児保健指導)という公的サービスがあります。
将来のかかりつけ医・かかりつけ歯科医を探す機会として活用してみましょう。
夜間・休日の医療体制をチェック
夜間や休日に診療可能な医療機関がどこにあるかも確認しておきましょう。仕事を持っている人の場合、平日の日中にはなかなか通院できないため、夜間まで診療をやっているかどうかが重要です。
また、夜間や休日に具合が悪くなった場合にも備えておく必要があります。
最近では、小規模な医療機関でも曜日によって夜間診療に対応しているところが増えています。かかりつけ医となる診療所が夜間診療に対応しているかもチェックしておきましょう。
夜間・休日診療を行う医療機関については、各自治体のホームページに掲載されています。
休日に急病になってしまった場合には、自治体によっては休日急患センターを設けているところがあり、最低限の応急処置をしてもらえる場合があります。こうした施設の有無もチェックしておきましょう。
がん治療のための拠点病院も
持病の中でも特にがんの治療を受けている人については、厚生労働省が、どこにいても誰でも安心してがんの治療が受けられるように「がん診療連携拠点病院」の指定を進めています。
がん診療連携拠点病院では、
- がんに関する診療体制(診療機能、専門的な医師や他医療従事者の配置、治療機器や治療室等の設置)
- 情報の収集と提供の体制(相談支援センターの設置な)
- 他の医療機関との連携
など、国が定めた基準を満たしています。
各地域のがん診療連携拠点病院の情報は、国立がん研究センターがん対策情報センターの「がん情報サービス」のホームページで調べましょう。
大病院の受診で求められる紹介状(診療情報提供書)とは?
ここまで、引っ越し先での病院探しに見てきましたが、実際に通院を開始する際に大切になるのが、元のかかりつけ医からの紹介状です。
医師の紹介状は、正式には「診療情報情報提供書」といいます。その名の通り、患者の診療を担当してきた医師が、病状やこれまでの治療経過などの診療情報を伝えて、別の医療機関へスムーズに診療を引き継ぐためのものです。
大病院の受診には、かかりつけ医の紹介状が必要
大病院を受診する際には、かかりつけ医からの紹介状を提出するのが原則となっています。
紹介状がなくても診療を受けることはできますが、2015年に成立した医療保険制度改革法に基づき、高度の医療機能を備えた「特定機能病院」と呼ばれる病院や、ベッド数500床以上の大病院を受診する際には、初診の患者が紹介状を持ってこなかった場合には、「選定療養費」という名目で、初診時に初診料や診療費とは別に5000円以上の料金を徴収されることになっています。
さらに病院によっては、再診時にもこうした特別料金を徴収するところもあります。
どうして紹介状が必要になったの?
大病院での受診に紹介状が必要となった背景は、患者の診療は基本的には診療所や医院、中小病院などの地域の医療機関が担当し、入院や手術、救急医療や高度医療が必要な場合には大病院が受け持つという、医療機関の役割分担の考え方に基づいた制度です。
地域医療機関の診療を経ずに初めから大病院を受診しようとする患者に特別な課金をすることで、大病院に患者が集中することなく、本来の役割である高度医療や救急搬送への対応に専念できるよう誘導しているわけです。
かかりつけの地域の医療機関からの紹介状を携えていけば、大病院でも「選定療養費」を徴収されることなく診療を受けることができるので、まずはかかりつけ医に診断してもらい、紹介状をもらいましょう。
なお救急患者の場合は、紹介状がなくても「選定療養費」は徴収されません!
大病院以外での受診でも紹介状が役立つ
新しいかかりつけ医が大病院ではなく診療所や医院の場合は、紹介状がなくても上記のような選定療養費を徴収されることはありません。
それでも、紹介状があった方が、患者本人にとっても新しいかかりつけ医にとっても役立ちます。
これまでの治療経過などの申し送り事項が引き継がれることで、担当医が初診時に患者の症状を迅速に知ることができるほか、最近受けたばかりの検査を二重に受けたりする無駄もなくせることから、診療の効率化や医療費の節約につながるからです。
とばいえ大病院を受診する場合も、引っ越しで別の診療所にかかりつけ医が変わる場合も、紹介状があれば待遇が良くなるとか、逆に紹介状がないと診療がおざなりになるということは、制度上はありません。
「紹介状」には何が書かれている?
なお紹介状といっても、「この患者さんをよろしくお願いします」といった挨拶文が書かれているわけではありません。
医療機関によって書式は異なりますが、おおむね、以下のような項目が記載されています。
- 紹介先医療機関の担当医の名前
- 紹介元医療機関の担当医の名前
- 患者の氏名、生年月日、性別、住所
- 傷病名
- 紹介目的
- 既住歴
- 症状や検査経過
- 現在処方している薬
- 薬剤アレルギーの有無
このほか、診療に当たっての特記事項が記載されていたり、必要に応じて血液検査やX線写真、心電図など各種検査結果のデータが添付されていたりすることもあります。
紹介状の書式例
相手方の医療機関の書式に則って、必要項目を記載するのが原則とされていますが、実際には担当医師によって、どのように記載されるか、どの程度詳しく記載されるかは異なるようです。
紹介状の中身は自分では確認できない?
紹介状は封筒に入れられて封がされており、患者本人であっても勝手に開封して中を見ることはできません。内容が気になるのであれば、紹介状を書いてくれた先生に尋ねてみるとよいでしょう。
紹介状は有料。引っ越し前に余裕をもって依頼を
引っ越しに伴って医療機関が変わる場合には、普段、受診している病院で、かかりつけ医の診察を受ける際にその旨を伝えれば、紹介状を書いてもらえます。
その際に診療情報提供料として料金がかかり、公的医療保険で定められている値段が2,500円(自己負担3割なら750円)となりますが、検査結果や画像診断の情報などの添付データがある場合には、追加料金が発生することもあります。
なお、内容によってはその場ですぐには作成してもらえないこともあるので、余裕を持って依頼するようにしましょう。
すでに引っ越し先で受診する医療機関が決まっている場合には、その医療機関の担当医に宛てた紹介状を書いてもらいます。まだ決まっていない場合には、宛名となる医療機関名の記載なしで紹介状を書いてもらうことも可能です。
まとめ:引っ越しで忙しくなる前の準備を
以上、本記事では引っ越し先におけるかかりつけ医の探し方や、それ以外に探しておいた方がいい病院の種類、そして紹介状(診療情報情報提供書) が、どういうものなのかをご紹介させていただきました。
今では各地の病院に関するたくさんの情報をネットで見つけることができますが、それが本当に信頼に足る情報であるかどうかは、常に意識しておきたいところです。
いずれにしても引っ越しの際は、様々な準備や手続きで何かと忙しいものですので、持病を持っている方は特に、引っ越し後に慌てないように事前に準備しておきましょう。
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