転勤のルーツは江戸時代にあり?!江戸時代の転勤に関する引越し費用を調べてみた。

さて、本日は日本最大級のお引越しである、江戸時代の大名行列(参勤交代)についてのエントリーです。参勤交代という制度は、日本各地の大名の財政を圧迫させる目的のために行われていた制度とも言われています。

参勤交代は、今でいう転勤だ

日本各地の大名が大勢の家臣を引き連れ、江戸と領国を1年おきに往復するのが大名行列です。

イメージしやすく現代の制度でいうと、

江戸幕府の転勤(参勤交代)という制度の中で、引越し(大名行列)を1年おきに行っていた。

と言い換えることができますね。今回は、そんな江戸時代の引越し(大名行列)の費用を調べるべく、こんな書籍を購入してみました!その名も、「大名行列の費用はどのくらい?」というズバリなタイトルです。

この本を参考に、大名行列という名の引越し費用をチェックしてみましょう。

大名行列というだけあって、行列だった

大名行列の人数と構成は、藩の石高(こくだか)によって決められていたそうです。

100万石で有名な石川県の加賀藩、前田家の場合は、多い時で2,500人が大名行列に参加していたそうです。

想像してください。2,500人が、石川県から、東京まで行列をなして歩いているわけです。ひとりの間隔が1メートルとして、2人1列で並んだとしても、1km以上は行列になるわけです。ものすごい光景ですよね。

もっとこの前田家の引越しを詳しく知るべく、「参勤交代道中記 加賀藩史料を読む」なる本で調べてみました。江戸から金沢までは、中山道、北国下街道を通行すると、約120里あります。1里=4kmですから、約480kmになります。この道のりをどのくらいかけて移動したのでしょうか?

結論からいうと、平均して、12泊13日でした。つまり、1日平均10里(40km)ほど歩くわけです。現代のように、道が整備されているわけでもなく、わらじで歩くわけですから、すごいですね。

そして、12泊するわけですから、この道のりの途中の宿場町は、大にぎわいです。同時に2,000人もの人が宿を手配して、ご飯を食べて、中には地域の特産品を買ってくれるわけです。

今の中国からの爆買いを想像させるような、江戸時代の大名行列ですね。

引越し費用はいくらだったのか?

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1両をいくらで換算するかで大きく変わりますが、今回は1両を10万円とします。先ほどの大名行列の本に書いてある費用を見てみると、鹿児島の薩摩藩(77万石)の島津家の場合、約1,200人が1ヶ月半~2ヶ月かけて、薩摩ー江戸間を移動したそうです。

かかった費用は、なんと約17,000両です。これを現代に換算すると?

17,000×100,000=1,700,000,000円!(17億円)

17億円の引越し費用。恐ろしいですね。

また、石高(こくだか)の小さい大名の場合も紹介されていまして、鳥取藩(32万石)の池田家の場合、約2,000両でお引越しできたそうです。それでも、2億円ですから、これを続けると、各大名の財政は圧迫しそうですね。

経費の内訳も書いてありました。現代風に直してみると、

・人足費:人件費(約40%)
・馬にかかる費用:車両費(約25%)
・わらじなど:消耗品費(約20%)
・川越賃:高速代金(約8%)
・宿泊費:宿泊費(約7%)

となります。これを池田家(約2億円の引越し)に当てはめると、

人件費:8,000万円
車両費:5,000万円
消耗品費:4,000万円
高速代金:1,600万円
宿泊費:1,400万円

という結果になりました。参勤交代は、恐ろしく費用がかかります。

まとめ

ただいま、転勤シーズンの真っ盛りでして、10月着任の方々のお手配をお手伝いさせていただいてます。中には、1週間後に着任という方もいらっしゃって、他の企業の方で社命とはいえ、大変だな。と感じるわけです。

ところが、江戸時代の転勤もあまり変わらないなと感じました。1年おきに17億円をかけて、お引越しをしなくてはならない江戸時代の大名は、大変ですが、江戸幕府という会社の社命とあらば、致し方がないのでしょう。

この辺りは、江戸時代も現代も変わらない主従関係ですね。大名みたいに高額な報酬もらってないよ!という声も聞こえてきそうですが、耳をふさいで聞こえないふりをしたいと思います。

本日は、以上です。

著者投稿者 横川
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