仲手無料で物件数は半分以下に!? お部屋探しの仲介手数料が0円に近づいていかないたったひとつの理由

こんにちわ。引越しラクっとNAVI(@hikkoshinavi)の横川です。

最近、不動産系のスタートアップの企業が、仲介手数料0円などのサービスを展開されています。

ユーザーとしては、すごく魅力的にで、素晴らしいと思います。ですが、将来的に0円にどんどん近づいていくのか?と言われると、”まだ”先に思えます。

今日は、そのたったひとつの理由をお伝えします。

実例で考える

いろんなサイトでも書かれていますが、仲介手数料が無料になるのは、オーナーさんから広告料が出る物件のみです。

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例えば、この不動産業者が見る図面だと、右下に書かれている、ADと言うのが広告料です。この場合、家賃の50&出るということなので、仲介手数料とは別に、60,000円(家賃の50%)が手数料としてもらえます。

他にも

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とか、

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と言った形で、広告料をオーナーさんが負担して仲介する不動産会社にお客さんを紹介してもらっています。

 

では、どの程度の物件がこの広告料が出るのでしょうか?割合を調べるために、知り合いの不動産会社にお願いして、僕たちの会社の近く(渋谷区渋谷1丁目)で調べてもらいました。

結果
渋谷区渋谷1丁目の賃貸物件(全29件)
このうち、広告費(AD)が
出る(相談できる)物件は、13件
出ない物件は、16件となりました。

 

暮らしっく不動産さんでも同様の調査をされており、30%程度の物件が広告料が出る物件となっていたようです。

仲介手数料無料でもやっていける不動産屋の仕組み

ストップ!広告料! 正しい部屋探し

参照:暮らしっく不動産さん

 

今回も、44%の物件しか広告料が出ないので、仲介手数料が無料の場合、残りの56%の物件は紹介してもらえません。

これをどう捉えるかですが、仲介手数料を無料にする弊害がこの物件数の減少につながります。

法人ではすでに物件が見つからないという苦情が多発

法人で社宅代行会社を利用している企業の場合、すでにこのような「物件が見つからない。」という苦情が多発しています。

それは、社宅代行会社に支払う手数料が高すぎて、オーナーさんから広告料が出る物件しか紹介できないのです。

ですが、このような仕組みになっていることを、法人の担当者さんは知らないので、社宅代行会社に手数料を支払いつつ、物件が見つからないという従業員の苦情という、ダブルの負担を強いられています。

まあ、この辺りのお話はまた別途お伝えします。

新築物件に仲介手数料無料で入居できますか?

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都心でも物件が供給過多で、空室率が上がってる。空き家が増えている。なんて記事を見ることもありますが、人気のある物件、例えば新築物件に入居する際に、仲介手数料が無料で入居できるでしょうか?

前述の通り、仲介手数料が無料になるための原資である、広告料。これはオーナーさんが負担しています。

ここで考えてみてください。新築物件という人気のあるお部屋に、わざわざオーナーさんが広告費を出すでしょうか?

 

新築だけではありません。立地が良くて、募集をかけるとすぐに埋まるような物件や、ペット入居可の物件、防音になっていて楽器を弾くことができる物件など、付加価値が高い物件(人気がある物件)のオーナーさんが、わざわざ広告費を出すでしょうか?

普通に考えると、出しませんよね?だって、広告費を出さなくても、お客さんが来るわけですから。

つまり、広告費=人気がない。 → だから不動産屋さんに手数料払うから、入居させてね。という物件なのです。

 

ここが理解できると、仲介手数料が0円に近づかない理由がわかると思います。

何でもそうですが、需要と供給によって価格は決まりますので、人気のある物件(付加価値が高い物件)に住みたい場合は仲介手数料を支払ってでも抑えなくてはならない。ということです。

 

とはいえ、仲介手数料が無料でも大丈夫な物件は、仲介手数料を無料で手配してもらうことは大事です。

ですので、不動産屋さんについても、仲介手数料が無料のネットを中心とした、スタートアップ企業と、リアル店舗を持つ不動産屋と、両方と話していくことが、お部屋探しをする上で、大事なのではないでしょうか。

仲介手数料が無料で、たくさん物件が紹介できるよ!という不動産屋もあるかもしれません。でもね、今回説明した大前提が覆らない限り、何かしらの手数料が乗るだけなんです。それは例えば、礼金が本来1ヶ月のお部屋だったのに、仲介手数料を無料にできる代わりに、2ヶ月になるとか・・・

まとめ

そんなわけで、お部屋探しは仲介手数料無料だけで判断すると、出て来る物件数は、大まかに言えば半分以下になると言えます。(東京都の場合)

その中で満足する物件があればいいですし、そうでない場合は、仲介手数料が発生しても、別の不動産会社で契約をしたほうがいいと思います。

 

ですが、将来的に仲介手数料無料で出来ないか?というと、出来ないことはないと思います。不動産の契約について、宅地建物取引業の免許が必要で、完全に法律で守られている間は、特に変わることはないと思います。ですが、法律が変わって、対面ではなく、ネット申し込みが簡単にできるようになって、オーナーと個人が簡単にマッチングする世の中になった場合、仲介する、宅地建物取引業者は、ほとんど無用になります。

そうなると、仲介手数料は、無料に近づいていくと思います。ですが、ロビー活動が盛んな業種ですから、期待は薄いでしょう。なぜなら、Airbnbのような民泊についても、宅地建物取引業を持つことで有利になるような法改正が進んでいるという話が出ているくらい、業界団体が政治に影響を及ぼしています。

お部屋を契約する際に、100%宅建事業者が間に入らなくてはならないという法律を変える以外、仲介手数料がなくなることはないと思います。

 

ここは考え方を変えて、仲介手数料をなくすことよりも、仲介手数料に見合ったお仕事をしてもらうことに注力してもらう方がいいんじゃないかと思います。

多くの人が、不動産会社に支払う仲介手数料1ヶ月分が、手数料を支払うに見合った対価を得られていると感じていないので、仲介手数料を無料にすることを売りにする企業が出て来るわけですから。

本日は、以上です。

著者投稿者 横川
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